第44話 魔王と幹部(5)

魔王 「ええい、遅い! 

    報告はまだか! 

    ルークはまだ戻らんのか!」


兵士 「ご報告致します! 魔王様!」


魔王 「おお、やっと伝令が来たか! 

    奴らはどうなったのだ!」


兵士 「それが……。

    ミリア様、ルーク様共に勇者たちに敗れ、

    その軍門に下ったとの報告が入りまして……」


魔王 「……な、何だと! 

    有り得ん! 

    あの二人が敗れるはずが無かろう! 

    出鱈目を申すな!」


兵士 「申し訳ありません! 

    魔王様へそう伝えるようにと、

    ルーク様からの伝令がありまして……」


魔王 「な!? ルークの奴、裏切りやがったな! 

    何を考えてやがる!」


兵士 「ま、魔王様!? 

    どうか気をお鎮めください」


魔王 「い、いや。すまぬ。少し取り乱した。

    しかし、如何にエリスといえども、

    あの二人を相手にして倒すのは容易ではないはずだ。

    一体、何があったというのだ?」


兵士 「それが……。

    ルーク様は勇者との一騎打ちの末、敗れたとの事でして……」


魔王 「待て! いま勇者との一騎打ちと言ったか!? 

    エリスの間違いではないのか!?」


兵士 「はい。エリス様はミリア様を倒したのち、

    ルーク様に敗れ、

    その後、勇者とルーク様との戦闘になり、

    ルーク様が敗北したと……」


魔王 「な……。勇者の野郎……。

    いつの間にそんなに力をつけていたのだ……」


兵士 「それとあともう一つ、

    ルーク様から魔王様へ伝えておくようにと

    言われている事がありまして」


魔王 「何だ? 申してみよ」


兵士 「エリス様が勇者からの告白を受け入れ、

    お二人は正式に恋仲になられたとの事です」


魔王 「…………は? 今、何と申した? 

    何かの聞き間違いであろう……? 

    聞き間違いだと言え!」


兵士 「ももも、申し訳ありません! 

    る、ルーク様からのそういう伝令でありまして……。

    怒りをお鎮め下さい! 

    い、命ばかりはお助けを!」


魔王 「ぐがああああああああああああああ! 

    許さんぞ勇者ああああああああああああああああああ!!」

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