第24話 緊急クエスト3
城壁の上に立っているエリスからドラゴンまではかなりの距離がある。
ドラゴンを地面に落とすって言ってたけど、どうするつもりなんだろうか?
するとエリスは剣をドラゴンに向けて垂直に構え、剣先に魔法力を込め始めた。
そうかエリスには遠距離射撃の魔法がある。
それなら僕もエリスを信じて攻撃の準備をするまでだ!
「はああああああああああああ!」
僕はなるべく大きなモーションで左肘を前に突き出し剣先を後方に向ける構えをとって、身体中の全魔法力を剣に注ぎ込む。
剣がバチバチという音を立てて青く眩い光を放ち始めた。
「な、何だ少年!? 一体何をするつもりなんだ!?」
冒険者達の視線が僕に集まっているのを感じる。
これで準備は整ったはず。
エリス、頼んだぞ!
「気を付けろ少年! ドラゴンがまた息を吸い込み始めた! ブレスが来るぞ!」
次の瞬間ドラゴンのブレスよりも早く、空を切り裂くような音と共に上空に眩い閃光が走った。
ドラゴンの片翼が千切れ飛ぶ!
エリスの魔法だ!
ドラゴンは何が起こったのか分からないといった驚愕の表情を見せ、バランスを崩しながら地面へ向けて落下してきた。
今だ!
僕は魔法力を限界まで注ぎ込んだ剣をドラゴンに向けて突き出し飛び込んで行った。
弾丸!
自分の身体を、全てを貫く光の弾丸と化して撃ちぬくイメージ!
それがエリスから教えて貰った僕のユニークスキル、必殺技の形だった。
ドラゴンが地面と激突するのと同時、その瞬間に光の弾と化した僕の身体はドラゴンの鋼鉄のような皮膚と肉をものともせず胴体を貫き通していた。
ドラゴンの身体に風穴が空く。
反対側まで駆け抜けた僕は勢いがつきすぎて上手く止まることができず、ごろごろと地面に何回転か転がってそのまま倒れ込んだ。
――エリスと一緒に修行をしていた時の話だ。
僕もエリスの
僕に合った形って何だろうと悩んでいると、エリスがかけてくれた言葉は次のようなものだった。
『ユウは突っ込むのが得意そうだから、突破力に身を任せて突撃するのがいいんじゃない?』
自分ではあまり自覚がなかったのだけど、突き破るイメージが僕には合っているらしい。
そしてエリスのアドバイスを自分なりに突き詰めた結果、生まれたのがこの技だった。
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