第5話 いつのまにか

 そんな夢の中のような(悪夢?)初体験を、この数時間で済ませたかと思うと、ぜんぜん思い出せないくらいあっという間に過ぎ去ってしまい、

気がついたらその部屋を出されるところだった。

「もうすっかり終わって、ほとんどの人も帰って、もう夜も遅くなったから、送っていこうか」

と先輩が言っている。ここに残ったのは、俺と、先輩と、えっとたしか、

「ほら、行こうよ。ねっ。」

の女の子、たしか一番最初にセックスした子だったよね?

「あ、ちゃんと覚えててくれたんだ。嬉し。」

と、俺の腕にしがみついてきてる。あ、あと、あの人。2番目にセックスした人。もう帰った?

「あぁ、シオン?もう帰ったみたいね。」

シオン?シオンっていうんだ。そういえば初めて名前聞いたな。

「さっきLINE登録しておいたから、あとで教えてあげるよ。あのスマホ、お兄ちゃんのでしょ?」

お?にぃ?えっと、やっぱり歳下だよねえ(あの胸の膨らみの浅さは、Aくらいか?)…。いくつ?

「ひみつ。」

何度聞いてもハグラカサれながら、途中でLINEを確認しながら家路についた。家路と言ってもアパートの一人暮らしだが。

 布団の上に、一息ついて、あのシオンという人のセックスの映像が、頭の中を駆け巡っている。俺のペニスの上から、ぬぷっと尻の穴に入っていく光景、感触、

ギューンとボクサーの中で窮屈になって痛みが走る。



 夜の間に、昼間のセックスプレイの写真がLINEに次々と送られてきていた。それもあの子だけじゃない。スマホ撮影していた3人からも来た。けっこうな枚数撮られていて、そのたびに腰が引けてしまうので、思い切って全裸で布団の中に入った。

 その枚数の画像から、俺はシオンの姿を追っていた。頭だけ、背中だけの写真が見えたが、全身の画像はなかなか無く、体の一部が誰かの裸体で隠れている写真ばかりだった。

 その中から、一番キレイに写っている画像をピックアップできた。紫色のエロい下着が正面から写っている。…。………。のに。妙な違和感。

 エロい赤らめた顔、華奢な胸〜腹〜腰のくびれ、エロい下着、細い脚、ほぼ正面から写っているのに。

「シオンって、男、だよなぁ…?」

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