第6話 シラフで再開

 悶々とした感情が解消されることはなく、ある程度予想通りの大学キャンパス。

ドタキャンしたあの(歳だけ先輩の)クラスメイトが横にいる。

「見たまんまの寝不足顔だなあ。よっぽどいい思いしてきたんだろ?あぁ?」

と、半分当たっていることを言ってきて、俺はその肩に回した腕を振りほどいた。それにしてもなんで来なかったんだ?たしかにアレは誰でもセックス相手が着いてくれるけど。

「…俺は、女とセックスするんだったら喜んで行くけどさ。」

という口を、俺はつい途中で被せてしまった。『なに、行くメンバーって知ってたの?』って。

「いくら顔がキレイでも、男の、それもケツの穴に入れるのなんて嫌だからよぉ。」

あー…、シオンって、やっぱり男なのかあ。まぁ男だよなあ。そりゃそうだ。見りゃわかるよ。違和感あったけど。

「お前はそいつに犯されたのか?どうだ?男に犯されるのは。」

なんだかヤな言い方するなぁ。ひょっとしてトラウマになってるのかなあ。俺は、初めては女の子相手だったよ。だから別にいいんだけど。まあ、たしかにアレは、相手は誰でもいいよな。みんなアタリだったもん。

「そうだろ?そうだよな?お前もそう思うよな?アレ経験したら、誰でもって言っちゃうだろ?みんなビッチで可愛くてJKで、俺でも相手してくれるんだぜ。そりゃ何度も行きたくもなるよ。」

…一部のセリフはカットして忘れるようにしますが、…そっかぁみんな歳下かあ…。

とりあえず、今日がシオンが来る曜日じゃなかったからよかった。コイツに会わせられないもんな。



 と思っていたのに、講義が終わってキャンパスから出てすぐに、シオンの姿が目に入った。しかも、近所の高校生と同じ制服を着て、俺の方に歩いてくる。

「あ、この前の…。なにボーゼンと突っ立ってるの?」

そんな声を掛けてくるくらいだから、よほどアホな顔していたんだろうか。

「え、知ってる人?」

「なに、今度はナニ繋がり?」

と、周りの友だちが声を出してくる。そういえばシオンって、LINEやってないのかな?

「僕、スマホ持ってないから。」

「シオンは親が厳しくて、持たされてないらしいッスよ。でも家のパソコンは自由に使わせてもらえてるみたい。」

と友だちが解説してくれた。

「そしたら、メールアドレス教えますか?」

シオンがこの言葉を言ったら、周りがどよめいた。

「え、あれ、俺の聞き間違いか?」

「シオンが自らのメルアドを提示するとは」

「おじ…じゃない、お兄さんって、何の人ですか?」

なんだか騒々しくなった場を塵とも介さず、俺の腕を引っ張ってメルアドを口で伝えてきた。

「あとは、家に帰ってから返信しますので。よろしく。」

と、スタスタ歩いて、友だちのもとに戻っていった。



 夕食の頃に、シオンのメールが来た。

簡単なプロフィールが書いてあった。本名を紫音(しおん)と言うんだそうだ。なるほど。

んで、やっぱり男性だった。本人がそう書いてあるから間違いない。

その後に、添付画像がいくつか送られてきたんだけど、一枚目を見た瞬間、今日も寝不足になるんだろうなと悟った気がした。

この前のではない、紫音のセックス画像が送られてきていた。その画像は、紫音は全裸で犯されているものばかりで、犯している男の人は画像みんな違う人だった。

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