第4話 あの人の方からやってきた

 待ち合わせから歩いて5分、小さなビジネスホテルのダブルの部屋。ここのサークルも、それもセックスも初めての俺ともう1人は、その先輩に言われるがまま素っ裸になった。カーテンを開けたままということに、初めは気が付かなかった。テンポよく次々と指示が飛ぶので、周りのことに気にならなかったからかもしれない。

 服は大きな袋にまとめて入れて、クロークの中へ。一応エチケットだからとシャワーは浴びさせてもらった。んで、いよいよ本番。手首に黒のマジックテープを巻きつけ、それぞれのベッドに大の字に。さきに俺じゃないヤツのを処置しているのをじっと見させてもらった。手足に小さな金具を取り付け、ベッドの下を通したロープの金具に繋ぐ。これだけなんだけど、案外ピッタリと大の字で固定された。それじゃ…と言われ、俺も同じように。そのあと全頭マスクで頭をすっぽり覆われた。口だけが開いている、目も耳も塞がっているマスク(もちろん音や声は聞こえるけど)。

 すると先輩が電話をかける音が。相手にOkを伝えている。どうやらもう近くに来ていたらしく、5分ほどで大勢の押しかける音や声が聞こえた。

「じゃ、始めるか。今日はビギナーくんたちが来てるので、その歓迎も込めて。」

 と始まってしまった。この身動きできない格好になってから、相手の人たちが、今日は5人来ているらしい。俺たちを含めて合計8人。部屋が狭いので誰かの体が誰かに触れている状態だが、ベッド固定の2人は動けない。

 さっそく誰かがセックスし始めたらしい音がクチュクチュいってる。別の方向からもパンパン肌がぶつかる音がしている。実はホテルに入る前から、すっごく緊張しているのだ。体が震えているくらい。だから俺のペニスも縮こまったままだ。

 そんななか俺の体は、周りからいくつもの手が体中をまさぐっていた。6本7本くらいの手が、マスクをしてる頭も含めて、腕、腹、太もも、乳首、それにペニスも。その撫でられる感触で、少しずつ血が通ってき始めていた。

 そのペニスがぐぼっと温かいザラザラしたものに包まれ、前後にスライドして動いてる。

「あーいきなりフェラして、この子すぐ果てちゃうんじゃないの〜?」

 って女の子の声がした。そっか、これがフェラ、フェラチオってやつか。俺のペニスが誰かの口で吸われてるんだな。俺の隣でも『おっ、おぉ〜』という声が響いている。あっちでも、なんかされてるみたいだ。

 すると俺のペニスを立たせて、また違う感覚に包まれた。今度はきつくはない。でも温かくてヌルヌルしてる。

「えっ、ちょっと、生で?」「だってー、いい形してるんだもん〜」

 あの、もしかしてこれは、女の子の膣に入ってるんじゃないかな?何も見えてないから想像力が半端なく巡っている。このマスクもう取ってもいい?

「あ、もうちょっと、もうちょっとでイクから、もう、あ、あ、んあぁ〜」

 その子が俺の体に密着して、腰を振ってきた。俺の体にしがみつき、胸の柔らかい感触が俺の胸に押し付けられた。と、マスクがずるずるっと取れた。カーテンは開けられたままでいて、部屋は明るかった。そして男女7人の全裸体が俺の目の前に晒されていた。

「いいだろ。セックスって。」

 先輩が横から顔を出してきた。俺にしがみついてる女の子は、俺の顔を見て

「はぁ〜、やっぱり〜。この子の童貞も〜らい〜っ。」

「あー、いいじゃん。次やらせて〜」

 と、俺の顔に近づいてきていた。女の子が体をピクピクさせて動きが鈍ったところで、横にゴロンと転がされた。そして次に男の人が俺に背中を向けて、…あれ?この人、あの人だ!

「…ん?あ、大学の…」

 と呟いたと思うと、その人は俺のペニスを立てたまま、お尻の穴に宛てがった。あ、この人だけ、全裸じゃなかった。お尻丸出しの紫色の下着を着けていて、下着を履いたままでアナルの穴に挿入しようとしている。ってか、お尻って、それって大丈夫なのか?

 その無表情の顔が見えないまま、そのアナルの中にニュル〜っと滑り込んでいった。さっきの女の子の中より締め付けがきつく、搾り取られそうな感じだ。俺の根本までずっぷり入り、体は動かさないのに中でキュッキュッと締めてくる。なんだこの感じは。やべっ、出しちゃう。

 その声を聞いてちらっと振り向いたと思ったら、ニコッと笑って、腰を動かしてきた。あっ、これ、オナニーなんかよりずっと、さっきの女の子よりもすげー気持ちいい。って、ちょっとっ、マジで出そう。やばっ。中に出しちゃマズいよね?

 と、さっきの女の子が俺にキスしてきた。んむっ、舌を絡めて、柔らかく。

 ダメッ、出るっ。

 体全体が震える。

 その子の口に舌を突き出す。

 男の人の体の奥に熱い性を勢い良く吐き出す。

 ビクッ、ビクッ、ビクッ、

 俺の上も下も、きゅっと締め付けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る