第62話 また、すれ違う。

「だーー!!どうして電話出ないの!?」

あ、俺も人の事言えないか……。

しかも、あの後走りながら思い出したら、俺の方から連絡してたし……。

その連絡した張本人は疲れて寝て、しかも連絡した事を忘れてた訳だし!!


「運動不足………が、露呈(ろてい)してるな、こりゃ………。」

息も絶(た)え絶(だ)えに坂道を登る。

手を膝に付けて、呼吸を整えながら走っては歩き、走っては歩きを繰り返す。


「着いたぞ……中央………公園。」

今にも倒れそうな疲れに見舞われるが、再度呼吸を整えつつ、公園内を探し回る。


『ごめんね!気付いたのが遅くて!今、中央公園にいるよ!待たせて本当にごめんなさい!』

俺はラインを送ると、しばらくの間ベンチに座って待ってみる。


この中央公園は、少し高い場所にあって、眼下には街を一望できる展望台も設置されている。 

夜景もキレイな為、人気が高い。


ーーーー。


あれから待つ事一時間。

特にスマホにも連絡は無く、ラインにも既読は付かない。


夏の午後は暑い……。

しかも段々と西陽になり、オレンジがかった日差しがチリチリと肌を焼く。

汗が首を伝い、背中はすっかり汗まみれだ。

「もう少し、もう少し待ってみよう!」

俺は少しでも日陰になる場所、小さな子達が潜って遊ぶトンネルの遊具の中に潜り込んだ。

身体をUの字に曲げ、寝そべるような態勢で待つ事に。


「ここも暑いな……………。」

一人ボヤきながらも、ラインや連絡をしてみるが、一向に返事は無い。

コレは………愛想を尽かさた感じか!?


思えばあの帰り道から、すずちゃんの様子はおかしかったな……。


俺はあの時、何を言った?

どういう状況で、何を話した?


俺はスマホのラインを見返してやっと気付く。

何が駄目だったのか……。

それは気付くには遅すぎたのかもしれないモノだった。

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