第63話 会えない。

俺はそのまま公園で待ち続けた。

どのくらいの時間が経っただろう。

気が付けば、俺はまた眠ってしまっていた。

トンネルの穴から外が見える。

外は夜の帳(とばり)が下り始めていた。

俺はスマホを手に取ると、時間を見る。

「げっ、もうこんな時間かよ!またやっちまった…………。」

俺が自分の不甲斐なさに落胆しているちょうどその時。


ーーピリリ、ピリリ、ピリリ!!


着信音がけたたましく鳴る。

「はい、海斗です。」

『こんな所に、いたんですね!』

スマホの受話口とほぼ同時に、トンネルの外側からも声が聴こえてくる。

「…………えっ!?………うわっ!?」

俺は突然スマホと外側から聴こえてくる声にビックリして、トンネル内で滑ってしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫、大丈夫!ごめんね、ビックリさせて!」

俺はずり落ちた状態のまま、声の主『すずちゃん』に声を掛ける。


「もしかして……ずっとトンネルの中にいたんですか?」

「い、いや、西陽が強くなって来たからトンネル内で待っていたんだよ。」

「そうなんですね、なら色々と行き違いになっていたのかも……!」

初めは不安そうにしていたすずちゃんも、次第に笑顔を取り戻していく。


ーーあの時の事を聞いてみないと……。

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