第3話

『コード0665:風砲(ふうほう)』


ヴェルデとナランハチームはネロの捜索を開始していた。

島には木々が生い茂っている為、ヴェルデの能力で木を薙ぎ倒しながら進んでいた。


「ナッハッハ!!自分たちに任せておけばネロ殿などあっという間に見つけてしまいそうですぞ!!」


「…チッ」


ただヴェルデの後についてきているだけのナランハにイラついていた。

しかしナランハの言う通り、ネロが居なくなってからさほど時間は経っていない。

思ったよりも早めに見つけられそうだ。


「ぐえっ!」


ヴェルデの風砲が木々を分けていく中、奥からどうやら風砲が当たったネロらしき声が聞こえた。


「お!!ネロ殿を早速見つけたようですな!!」


「…」


ナランハは見つけたと分かった途端、ネロの方まで寄っていった。


「いてて…ってなんだお前らか!?」


「ネロ殿発見であります!!皆様心配されてましたぞ!!」


「…」


「…すまねぇ、心配までかけちまって。足手まといって言われてそのまま考えながら変なところに迷い込んじまった」


ネロは反省していたようでかなり落ち着いた喋り口調になっていた。

その間にヴェルデはリング機能でアズラクに連絡を取っていたようだ。


「無事で何よりであります!!ひとまずヴィオレ殿の元へ戻りましょう!!」


「…ヴィオレか。足手まといがまたみんなに迷惑かけちまって…合わす顔がねぇな」


「…」


そんな話をしていると、何やらヴェルデは彼らの後方に指を向けた。

2人がそれに振り返り見ると、そこにはこの島にしかいなさそうな大蛇が3匹ほど彼らを狙っていた。


「お、おいこれ…」


「そうであります!!絶対的ピンチなのであります!!」


「…」


「「逃げろッッー!!」」


ナランハはヴェルデを抱き抱え、3人は一目散に逃げ出した。

3匹の大蛇も腹が減っていたかのようで、3人を追いかけ始めた。


『コード0665:風砲(ふうほう)』


ヴェルデは後方向きで大蛇達に向け技を放った。

しかし、走っている状況、木々が生い茂っている状況でなかなか目標に当たらない。


「おいおい、全然当たってねーぞ!!やばいぞ!!」


「なんと!!先には崖を発見であります!!絶対的ピンチ二度目なのであります!!」


「…」


とうとう崖まで追い込まれた3人、ヴェルデの攻撃当たったが、なかなか大蛇も怯まない。


「…!!ここは自分に任せるのであります!!」


するとナランハが2人の前に立った。


「おい!おっさん!こんな所で囮になっても意味ねーぞ!」


「違うのであります!!とりあえず見とけなのであります!!」


ナランハは防御用のヘルメットを外し、頭頂部にしか生えてないオレンジの髪を靡かせた。


「まさか…おっさんも…」


「そうであります!!自分も実は音を操る能力者なのであります!!」


腕にオレンジ色のリングを見せ付け、ナランハは大蛇に向け技を放った。


「『コード0897:爆音波(ばくおんぱ)』であります!!」


するとナランハの口から島全体に響き渡るような大声が10秒間継続して放たれた。


(…!!!なんだこれ!!耳塞がねーと鼓膜破れ…ッ!!)


ネロは耳を押さえながらヴェルデの様子を確認したが、既にヴェルデはヘッドホンを着用していた。


蛇には耳などないが、体の表面で音を感じる為、さすがに効いていた。

この相手は危険だと察知したのか、大蛇たちは退散してしまった。


「…フン!!自分の力を思い知ったか!であります!!」


「…おう、おっさんよくやったぜ!」


「…」


ネロもナランハのおかげで少々体にダメージを負ってしまったが、グッジョブ合図をナランハに送った。


しかし、次にヴェルデが見ていたのは地面。

どうやら先ほどの大声の振動で地面にヒビが入ったようだ。


「自分はやる時はやるのであります!!…ぬ!?」


ナランハはそれに気付かず、勢いよく勝利のポーズを取ったら案の定、崖は崩れてしまった。


「なんだよこの踏んだり蹴ったりはー!!」


3人は崖から落ちてしまい、落ちている最中、ネロもさすがに弱音を吐いてしまっていた。

しかしそんな時でもヴェルデは冷静であった。

着地地点である地面に向かって技を放った。


『コード0678:風船(ふうせん)』


すると3人は地面に直撃することなく、上手いこと風のクッションで地上に着地できた。


「あ、ありがとう。ヴェルデ」


「…」


ネロは素直に感謝した。

しかしヴェルデは変わらず無言無表情。


「ヴェルデ殿は最強でありますからなー!!しかし拠点までずいぶん離れてしまいましたな!!」



ネロを捜索していた2人は無事ネロを見つける事が出来たが、次は3人まとめて島内に遭難してしまった。

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