第6話

ブラウ漁港組合。

一度は指定された前金の金額にビビってしまったが、今はその金額を支払ってもお釣りが返ってくる。

一行は自信に満ちていた。


「あれー?お父さんの会社になんか用なのー??」


シーニーは事情をまだ知らないが、とりあえず一行に付いて来ていたのだ。


「今からお前の父ちゃんに3億渡すんだよ!」


「えー!?なんでなんで!?」


そんな事を言いながら、ブラウの応接室までまた待つ事になった。


「早かったな…ウォ!?なんでシーニーがいるんだ!?」


「やっほー!お父さん!」


応接室にて、シーニーを交えながら事情を説明し、ブラウに前金の3億を渡す事にした。


「ヌゥ…この世界では大金なんだが…、目的の為には仕方ないな!!」


「でもさ、船を借りる事ができたとしても操縦士がいないよね…。まさかまた運転の練習するの…?」


ロートは震えていたが、そこでブラウは考えていた事を伝えた。


「いや!その必要はない。操縦士は我が娘、シーニーに任命しよう」


「失礼ですが、ブラウさん。私達がこれから向かう所は危険地帯のネグロ火山ですよ。娘さんが心配ではないのですか?」


「亡き妻、ランだったらこう言うだろう。可愛い子には旅をさせろってな!大丈夫だ。シーニーは妻の守りもある、それに俺が駄目だって言ってもコイツは聞かないしな!」


「さっすがお父さん!シィは楽しい事が1番好きなんだよ!!」


(おい、シーニーの母ちゃんって…)


「そうだ。シーニーの母親ランは初代アルコバレーノの任に就き、殉死した。シーニーによく似てとても自由人だったよ」


(聞かれてた!?)


「アルコバレーノって今の人達以外いたんだ…」


「そうだよー!お母さんやルージュさんは初代アルコバレーノなんだよ!すごい強かったんだって!」


「なんだあのルージュっておっさん、そんなにスゲー人だったのか!?」


「なんだ坊主。ルージュさんと知り合いか?」


「そうなんだあのおっさん、俺らの村で「彼らはルージュさんと都市で偶然助けてもらった者たちなのです」


(お、おい、ヴィオレ…)


(考えなさい、ルージュさんが亡くなった事を聞いたらまず疑われるのはロートなのよ)


なんとかルージュの話は誤魔化し流れ、本題に戻った。


「ガッハッハ!!シーニーが運転してくれるっていうのならワシらは安心だ!しかし、目的地まで着くのにどれくらいかかるのだ??」


「うーんとね、ここから大体7000Kmだから1ヶ月半はかかるかなぁ!」


シーニーは満面の笑みで答えた。


「はぁ!?1ヶ月半かよ!!俺らの目的まで間に合「大体それくらいかかるわよね、その為にはこの街で食料など貯めておかないとね」


(あなた二度目よ。私達は極秘のことしてるの。軽々しく他言しては駄目なのよ)


ヴィオレの睨みにネロは怯えたが、確かに長旅になり目標の1年間はあっという間に経ってしまう。


「シーニーさん、悪いけど船の加速度上げてを考えたらどれくらいになるのかしら」


ロートは速い乗り物関連の話題だけで身震いしてしまった。


「そうだねー、頑張れば半月かな!でも船のメンテも考えなきゃいけないからそういうのも込み込みで点検してみないと結論出せないや!」


どうやら乗り物に関してはシーニーはプロのようだ。

ここはシーニーに任せれば安心と、ロートは胸を撫で下ろした。


一行はあまりゆっくりはしていられない。

これから倒すべき相手「ガルセク」は氷山の一角かもしれない。

ここで手間取ってしまっては、裏オール社の企みに間に合わないのかもしれない。


しかし準備を怠れば全滅もあり得る。

3日ほどローゼオ港に滞在し、出港当日を待つ事にした。



そして出港当日。


「おいおい、結局備蓄食料はサプリばっかかよ〜」


「ガッハッハ!ワシはもうサプリ慣れて来たぞ!!サプリソムリエになれる自信がある!」


「シーニーさんの運転、安全運転だといいなぁ」


「あなた達、船酔い止めは持っておきなさいよ」


一行はシーニーの待つ船着場まで到着した。


「おーい!みんな!船の出港準備できたよ!」



シーニーを含めた一行はようやくローゼオ港からネグロ火山までを目指す。

まだ旅は続くが、果たして裏オール社の計画まで間に合うのだろうか。

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