第2話

車で3000km、その距離をおよそ10時間で達成した一行はローゼオ港に着いた時には既に夜になった。


「とりあえず真っ暗になる前に目的地に着いて良かったわね、道中は灯りになるものが一つもなかったし」


そういう理由もあって飛ばしたのか…と思いつつも憎しみの目を浮かべてたロートはまだ体調が優れてなかった。


「ロート大丈夫か?まぁとりあえず宿を探そうぜ?ここにもあるんだろ?」


ネロは心配していたが、自分達のせいだとは全く気付いていなかった。


「そうね、マップで泊まれそうな宛てを探しましょう」



ローゼオ港、大都市カエルレウムと比較すると小さな街で発展途上の街だが、大きな海原が見えるリゾート地として観光に力も入れている現代的な街である。

夜とあり、カエルレウムのような繁華街もなくとても閑静としているが、日中はサプリの原料になる漁業が盛んで賑わっている。


「なんか静かで風が気持ち良いところだね」


「ヌ!?なにやらあそこで釣りをやっている奴がいるぞ!?」


ロートが少し気持ちが落ち着いていたところ、カルコスが横槍を入れてきた。

夜とは言えど、夜行性の魚もいる。

その魚を狙い、釣りをしているのだろう。


「ヌヌッ!?違うぞ?あれは釣りじゃなくて変な動物を使って魚を獲っているな??」


村出身の中でも夜に活動していたカルコスは目が良いだけでなく、暗闇でも物事が認識できるようだった。


「…?あれはもしかして…」


気になり、一行もその人物に目を向けた。

ヴィオレもリングの視力調整機能を使い、人物をくっきりと認識できた。


「あれは青色のリング、召喚系の能力を持つリングね。どうやら彼女はペンギンを召喚して釣りをしているみたい」


「…?なんだ、まだリングの力に色々あるのか」


少しリングの説明に飽き飽きしていたネロだったが、ヴィオレは少しだけ話をしただけで終わった。


「色付きリングの能力においても、魔法系と精神系と召喚系があるわ。私たちが今まで見ていた一般的なのが魔法系だけって話」


「そんなことより疲れたし、早く宿を探す事にしましょうか」


ヴィオレも長丁場で移動していたのか、話は短めにそのまま釣りをしていた少女らしき人物を置いて、宿探しに向かった。



「さすが観光地!どこも綺麗で立派なホテルばかりだわ!」


リゾートで有名な観光地というだけあって、いくつも綺麗なホテルが連なっていた。


「こんな目立つ所に泊まったら見つかっちゃうんじゃないの…?」


「カエルレウムから離れたローゼオ港なら多少良い所に住んでも、政府やオール社の連中にはバレないはずだわ」


「そんなことより…、やっと綺麗なところで休めるわ!」


疲れたヴィオレもテンションが上がりながら、一行は「ROSEO RESORT HOTEL」という名のホテルに入っていった。

内装はカエルレウムと比べ、近未来的な雰囲気はなかったが、それでも現実でいう高級ホテルのような煌びやかな雰囲気はあった。


一行はヴィオレに従い、チェックインを済ませてそれぞれ各部屋に入っていった。


ネロは部屋に入るとそこは綺麗な海を一望できるテラス、きちんと清潔にされたベットやバスルームがあった。


(なんか…落ち着かないな)


村生活に染まっていたネロは人工的な部屋に慣れず、しばらくそわそわしていた。

落ち着かず部屋を出るが、もうはぐれないようにこの階のロビーラウンジに向かい、外出も控え部屋番号も覚えておいた。


(908号室…908…908…)


リングのコード番号なんか覚えられそうにないなと思いながらネロがロビーラウンジに着くと、

そこには先ほどいた、青色のリングを付けた少女がリング機能で何やら操作をしながらソファで座っていた。


「あ!なんか変なの出してた奴!!」


「ん!?」


思わずネロが口にすると、その少女はこちらを向いた。

綺麗な青髪でヴィオレとはまた違う可愛らしい顔をしたネロと同い年くらいの少女。

しかし、彼女はまた色んな意味で不思議ちゃんという事が後々分かってくる。

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