第3話
ひと気の無い廃工場、吹き抜けの2階に3人だけいた。
「私を探しに来たって言っても、かなり古典的な方法で脅迫してるように見えるけど?」
「そんなことないですよ!アタシの中でもかなり名案な方法です!名付けて人質呼び出し大作戦!!」
なんの捻りもないとヴィオレは思ったが、話の核心をついた。
「あなたもオール社の上に言われて私を捕まえに来たの?」
「いやいや!先輩を助けに来たのですよ!だってさっき巨漢がいましたよね!?あんな厳つくて怖い人に先輩は脅されて仕方なく…」
(すごーく無理やり解釈させてるわね…)
「あのね、私がこれから取る作戦にあなたを巻き込みたくないの。それに彼にそこの小さな子も私の仲間よ?勘違いしないで」
「にゃ!?先輩もしや…こんな小さな子のことが…」
この恋愛脳が…と全然話が進まないヴィオレがより話を進めた。
「とりあえずそこの彼を返してくれる?」
「…嫌だ、です。先輩の仲間はアタシのはずです!!早く会社に戻って一緒にまだやり途中の研究続けましょうよ!!」
メランという女が涙目でヴィオレを説得しようとしている中、ロートが口に張り付いているテープを無理やり剥がした。
「…ヴィオレさん、この人は…?」
「良かった。特に怪我はなさそうね。彼女の名はメラン。私の職場の一つ下の後輩よ。大学から一緒でずっと私に引っ付いてくるの…」
「違いますよっ!」
恥ずかしそうにメランは赤らめたり、色々と騒がしい子どもみたいな女だった。
ロートはその時少なくとも悪い人ではなさそうと認識した。
「…先輩。その紫のリング使えるんですか…?」
「試してみる…?」
ヴィオレは冷ややかな顔をして答えた。
途端に和やかな雰囲気から張り詰めた空気が流れる。
「…にゃはは…!先輩!そのリングの力を使わうにはコードと名前を言わなきゃ…「私が何も知らないでこのリングを盗んだと思う?」
ヴィオレはメランの発言に食い気味で答えた。
これから行おうとすることは本気だということ知らせるために。
「メラン、申し訳ないけど。あなたが私を止めようとするなら容赦しない。これが最後の忠告」
「…ぐぬぬ。先輩!!これを見てください!!」
メランが袖を捲り、腕に付いている黒のリングを見せてきた。
「あなた…それ…」
「アタシは会社から公認で受け取りました!!先輩を止められるのはアタシしかいないって期待も背負ってるんです!!」
「それ…どういう意味か知ってる…?」
「にゃ…?」
「私を止められなければあなたも消されるって意味よ…」
メランは青ざめた。もう既に渡ってはいけない橋に足を付けてしまっていることに今気が付いた。
「せ、先輩…!先輩はそのリングを盗んで何をしようとしてるんですか…!」
「お願いしますよ…。研究部に戻ってきてください…!」
ヴィオレの発言には嘘がないと確信していたメランはよく分からず泣いてしまった。
「…分かった。もうあなたも巻き込んでしまったもの。全て話すわ」
ヴィオレはメランにこれからオール社が行おうとしている事を全て話した。
「…にゃはは…アタシ達の会社がそんな全人類を操ろうなんて、そんなこと…」
「この計画について会議にいたのはオール社の中でも役員クラスの人間。他にも有名企業のお偉いさん達が集まっていたわよ」
「私達、末端の社員がこの計画に意義を通したってもう止められないの」
「言葉ではもう止められないところまで来てしまっているの」
「…せ、先輩ぃ…。アタシはどうすれば…」
メランはヴィオレの考えに賛成だ。
しかしヴィオレを止められなければ自分はオール社に消されてしまう。
どうすれば良いか分からず、ヴィオレに助けを求めた。
「…私達がこれから行おうとしている事は生死を賭けているの。だから、メラン。あなたは連れていけない。」
「とても臆病で繊細で、だけど人には優しく素直なあなた。人を殺すかもしれないこの作戦には連れて行けないの。」
メランはそのヴィオレの言葉を聞いて、涙を拭いこう言った。
「…じゃ、じゃあ先輩!アタシを殺す気できてください…!私も自分を守る為に先輩を殺す気でいきますから…!!」
メランは黒のリングを見せて、ヴィオレとの戦いを申し込んだ。
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