第3話

ブランコ村は一年中暑い気候の村だ。

そのため、寒い気候で取れる作物は少ない。

イモはこの村では貴重品なのだ。


「ま!明日掘りに行けばいいんじゃないの〜、おじさんもまだこの村には厄介になるしさ、色んな住民の話も聞いてみたいかなぁー…ハァ〜!」


ルージュはそう眠そうに言い大きなあくびをした。


「そういや、ロート少年はこの村の人たちと比べて全体的に白いって言うか目立つよねー!あ!センシティブな事言っちゃってごめんね」


彼は話を変え、前々から気になっていた事に触れた。

その後、気が緩んで失礼な質問だと気付いた。


「あ、これはね。実はボク、この村の生まれじゃなくっぽくてさ…。おじさんと一緒で迷ってた時にネロに会って救ってくれたんだ」


「へ〜。元々どこに住んでたの?」


ルージュは失礼な事は忘れ、間髪入れずに質問を繰り返した。


「実はその記憶がなくてさ、どこで生まれたのか分からないんだよね。…あの、もうそろそろ寝ないかな?」


「そうだな!ごめんな色々聞いて!もう寝ようか!」


ルージュはそう言って3人は就寝した。


翌朝になり、ネロとロートの2人はイモ掘りに向かい、ルージュは村で過ごす事にした。


昨日のアーテルを救った件もあり、ルージュはすぐに村に馴染んだ。

その間に街への帰路のプログラムもリングの機能で組んでいた。


一方、ネロとロートは畑に着き2人で話していた。


「ロートさ、なんとなく気が付いたけど、お前あのおっさん苦手だろ!!」


「…!うん、ちょっとね…」


ネロは直接的にそう言い放ったが、どうやら核心はついていたようだ。


「やっぱりな!まぁあの村ではみんな仲良しだけど、人の好みもあるもんな!徐々に仲良くなってこうぜ!  」


「…うん。?」


一瞬ネロが固まったような気がしたが、その後何事もなくイモを収穫ののち村へ帰っていった。


しかし、村へ近付くにつれ何故か気候が冷たくなっていった。


「なぁロート!なんかおかしくないか!」


「うん…。夕日が落ちてくる頃だけどあまりにも寒すぎるよ…」


徐々に村に近付くほど寒くなる。

次第には雪が降り始めてきた。


「おい!なんだよこの白いの!雲の一部が降ってきたのか!食えるのか!」


ネロは降ってくる雪に向かって口を開けたがただ冷たいだけだった。


「ネロ、なんかさ、ちょっと怖くなってきた…。もしかしてあのルージュって人がなんかしてるんじゃないかな…」


「おいおい!あのおっさんはアーテルを救ってくれたおっさんだぞ!!そんなことするわけねぇ!」


そんな事を話していたが、何かお互いに不安になってきた。

雪も村に近付くほど積もっていき、足元もおぼつかなくなってきた。


「寒いな…!さすがの俺様もちょっとキツくなってきやがった…」


「ネロ、急ごう。ブランコ村の人たちが危険な目にあってるかも」


「分かってるって!ここを登れば村が…、村が…」


彼らがいつもだったら帰りで見渡せる村は



失っていた。

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