一章 ブランコ村
〜未開の地には雪を〜
第1話
〜未開の地には雪を〜 一話
未開の地、ブランコ村。
大都市カエルレウムから約5000kmも離れた南の大陸に位置する。
この世界または社会ではまだ発見されていない村である。
大規模な争いにより、逃げてきた人間が平穏に暮らす為にこの村は作られた。
人口30人でまだまだ発展途上の小さな村である。
都市と比べ、科学技術は全く発達はされていないがその分自給自足の生活により、人々の助け合う心や身体能力は発達していた。
「よし!起きた!収穫しに行くか!!」
少年は勢いよく扉を開け、村から飛び出した。
と、思ったら村に戻り村の広場で勢いよく地面に座った。
どうやら人を待っているようだ。
「村から畑に行くにはあいつがいないと行けないからな!」
そんな元気な少年の名前はネロ。年齢は17歳であるが、体型は相応なものの心は少年のままのようだ。髪の毛は逆立っており、目は常に大きく見開いている。
「ロートまだ来ないかな!ロート!ロート!」
「おはよ〜、ネロ。今日も元気だねぇ」
「お!ロート!今日も顔真っ白、髪真っ白で元気そうだな!」
この後にきたネロよりもずっと小さな少年はロート。ネロとは10歳ほど離れていそうな子どもだが、ネロとは違って落ち着いてる。
ロートは生まれつき肌や髪が白い。この村には彼と同じ色合いの人間がいないため、ロートは際立って目立つ。
「ロート!今からイモ堀に行くからいつもの頼むぞ!」
「いつものって言ってもネロが道をいつまで経っても覚えないから教えてるだけだよ…」
「こんなのボクじゃなくてもできるんだし…」
愚痴を垂れているロートをよそにネロはロートの服を引っ張り無理やり連れて行った。
彼らが向かう畑というのはこの村から20キロ先、その先には山や川などを挟む。
しかしこの村は発展途上の小さな村。移動手段は自身の足で行くしかないのである。
「早く行かないと暗くなって猛獣に襲われるからな!走っていこう!!」
「無理だよ…」
そんなことを言いつつ、彼はいつもの山を越え川を渡り、また山を登っていった。
木々を分け進んでいくと、彼らとは違う木々を分けていく音が聞こえた。
「お!熊か!猪か!とりあえず獲って食うぞ!」
「声でかいってネロ…!襲われないよう隠れなきゃ…」
しかし彼らの予想と反し、それは人間の姿であった。
「なんだ、人間か…、!!おっさん誰だ!」
食べれないものと分かり落ち込んだネロだが、時間をかけてこの違和感に気付き声をあげた。
「え…!こんなところになんで子供たちが!」
中年男性は驚き、そして笑顔になった。
「いや〜おじさん、ずーっと先の街から来てて迷ってたんだぁ!助かった!!」
え?っと言った状態で少年2人は呆然とした。
彼らはあの村から一度も出た事がない。
いわばあの世界しか知らないのだ。
しかし、世界の先には自分たちと同じ人間がいた。
「あのー、少年たち?悪いんだけど、おじさん。君たちの村まで避難させてくんないかな…」
「!!おっさん!同じ人の形してるけど、違うだろ!髪赤いし!…実は食えるだろ!!」
「同じ言語話してるんだから人間だって認めてよ…」
ロートはネロの服の裾を引っ張り、助けてあげようと小声で言った。
ネロは怪しながらも中年男性とともに引き返し村に向かった。
帰り道で男の話を聞いた。
名前はルージュ。
赤い髪をしており、常に笑顔で腰も低い陽気な男だった。
少し話しただけでネロとルージュ意気投合し、お互いの住処の話をした。
「おっさん!あそこが俺らの村、ブランコ村だ!」
「ありがとうよ!とりあえず余所者だし、この村の長には話つけとかなきゃな」
そう言って彼らはブランコ村に到着した。
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