□護摩
灯りのついた公園で乾いた木を並べる。横幅0.5m、長さ3mぐらいになるように適当に配置していく。私の周りには誰もいない。遊具もない。ただの地面と砂場があるだけの広い公園だ。
一通り並べ終わると、私はその上に着火剤をかける。まんべんなく行き渡ったのを確認すると、マッチで火をつけた。
赤い世界。熱気。薄闇が異様に明るくなる。しばらく私はその様子を見ていた。木の燃える様子を見ていると、高揚感と安心感が同時に生まれてきた。大きな鼓動がゆっくりと体中に響いていく気がする。
そして木は燃え尽きて炭になった。まだ熱いのでバケツの水をかけて温度を下げていく。水蒸気が揺らめいて私の視界を邪魔する。
準備ができたので、私は護摩業を始めることにした。
靴を脱ぎ、服を脱ぐ。そして白い装束に身を包む。
えいやっと、私は炭の上を裸足で歩いていく。足の裏が焼ける匂い、皮が剥がれる感覚、じわじわとした痛みが襲いかかる。しかし私は歩ききった。
きっと足の裏はグチャグチャだ。だけどこれで私の願いは叶った。何も望みがないのに何かを叶えるための儀式を取り行えた。
特に憎い相手もいないけど、次は藁人形にでも手を出すかな。
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