第2話  転入生とは常に期待を上回る存在である

―――1年3組内―――


今日転入生が来るらしいよ。



そんな言葉に、クラスの全員が反応する。


「えーマジ?かわいい系かなクール系かな」

「そりゃ転入生だからとにかくハイスペックでしょ」

「でもやっぱり小山さんよりかは下なんじゃない?」


キーンコーンカーンコーン


クラス全員「鳴った!!」

チャイムが鳴り、話し声は静かになるものの、生徒たちの心の中は転入生の想像でいっぱいだった。


期待は膨らむばかりだった。

















響歌side


なぜだろう......気付けば姉…秋季と並んで廊下を歩いていた。朝からここまでの記憶が抜けている。こいつがへんなことしたのか?姉が弟を襲うこと自体変なことだが

幸い今は6月のジメ暑い季節。エアコンをつけているため、窓から廊下を覗かれるなんてことはなさそうだ。俺的にも、こんな姉と並んで歩いている姿なんか絶対に見られたくない……


「なぁ」


「ひ、ひゃい!!てあれ、戻っちゃったのぉ?もうちょっと堪能したかったなぁ」


俺が発した一言には大きすぎるリアクション………はーん、さてはなんか俺にやったな?家で襲われそうになったとこから記憶ないし..........あとでお仕置きだな


響歌「なんのことだよ、てか姉ちゃん」


何かしら と、おどおどと返事を返してくる。ほうほう、やっぱなんかやったな。いや、なんかというより目視で確認できるものなのだが………


響歌「なんで女装……女子の制服着てカツラかぶって、そしてなんでスカートなの?」


秋季「女子しかいないから仕方ないの、いきなり男子が来たらそれこそ通報されて豚箱行きよ。」


響歌「ちゃんとアンケートとって許可もらったんだろ。まぁ女装希望とは聞いてたが、それでもだ。どうして上はこんなんで下……スカートは短いんだよ―――!!」


秋季「はぁ?アンタ目がくるってんじゃないの?上はアンタは女子と違って将来まだ伸びるだろうからそんなちょいブカブカの選んだんでしょ。そしてスカートはみんなそんな長さだよ!!これくらいで言ってたらあんた目のやり場困るわよ。」


そう、俺の服装…………つまりこの女子生徒服なのだが、上はちょいブカブカで、いわば萌え袖、というよりまず袖から手が出ていない状態、スカートは太ももよりちょい下くらいだった。走ったら見えそう…………そして、股がスースーして仕方ない!!


秋季 「はい、着いたわよ」


ありゃりゃ、不満を心中でぶちまけていたらいつの間にかついてしまったようだ。


響歌「1年3組…………ここが俺の「その呼び方、せめて僕くらいに直しなさいよ。私が理想だけど」わかってるよ…ここが『私』の教室か……そういやぁ担任の先生にまだ会ってなかったよな、このクラスは誰が担任なんだ?」


秋季「まだ来てないみたいだから、ここでお姉ちゃんと楽しみに待ってようね」


響歌「げっ……へいへい、楽しみに待ってますよーだ」



それから教室の前で何も喋らずただ沈黙の時間が過ぎていった。5分、いやそれ以上たっただろうか。階段から一人の若い女性教師がやってきた。20代半ばといったところだろうか………あまり詮索するのもよくないか。


「あ、理事長!遅れてしまって申し訳ありません。生徒に配る書類の整理にあまりにも時間を食ってしまいまして……君が転校生?」


「っ、はぃ…」


なんだろう。久しぶりの姉以外との会話が学校内で異性の教師とだなんて想像もしなかった。やばい、そろそろコミュ障末期だぞ。会話しようとしても声が出ない。


秋季「ごめんなさい大谷先生。この不出来な子はちょっと訳ありでして」


響歌「誰が不出来だこn……どなたが不出来だとおっしゃるのですか 理事長」


やばい、学校内で危うく怒鳴るところだった。ストッパーよ、ありがとう――


大谷「えと、理事長、この子とはどういったご関係で……」


理事長「ただならぬ禁d「姉弟です」…もー冷めてるな―響歌ぁ、」


大谷「姉弟?姉妹じゃなく?まぁ言い方は色々か」


コイツ一体何言おうとしてるんだ……確かに、好きだ  とかほざいてたとんだブラコン(人のこと言えねえな)だとは分かったのだが、それをここで言うことに対して疑問しか出てこない。(何が目的だ……)俺を隠してくれるのはありがたいが、そのかわり羞恥にさらさせて―的な感じなのか。だとしたらまた逃亡生活だな。支度しとかなきゃ。


秋季「アンタが思ってるほどお姉ちゃんは変態でもSでもないわよ」


響歌「姉ちゃん……」


秋季「!!///な、何よ……」(そんな真剣に見つめて……まさか、禁断の告h)


響歌「自覚なしが一番怖いんだよ。はやくかかりt「だから違うってばー!!」














響歌「頭のお医者さんでいいとこ教えてy―――――――


「教えなくていい!!!!!」


響歌「ぐぁべし」 


姉ちゃんのアッパーにより教室の窓に思いっきり顎から吹っ飛んで

ドーーーーーーーンいう痛々しい音が―――――


大谷「ちょ、君、大丈夫??」


秋季「コイツ無駄に耐久あるんでどうぞご遠慮なくしごいてやってください」


大谷「へ? い、いいんだすか……///」


(噛んだ…)

てかなんでそんなにやにやしながら訪ねるの……まさかSなの?よだれが垂れててものすごく怖いですよ先生


響歌「先生、あの……いつになったら教室に入るんでしょうか?」


大谷;秋季「は!!忘れてた」


響歌「この学校不安要素しかねえじゃん いっそ違う隠れ家さがすかなぁ………」


















ガラガラガラ



勢いよく教室のドアが開く。大谷先生も少し緊張してるようだ。まあそりゃそうか。こんな訳あり転入生だしな


大谷「みんなおはよう、、、今日は皆に「転入生ですよね!!」、、、そう、今日から皆のクラスに転入生が入ってきます。みんな仲良くしてあげてね」


「はーい」


「はぁ、その子の通ってた学校何処なんだろ」


「もしかしたら小学校とか同じだったりしてーw」


「小山さん超え 小山さん越え 来い!!」


どうやらクラスメイトは俺が来ることを楽しみにしてるようだ。最後に聞こえた人の言動がちょっと意味わからんが、どうやらそれほど緊張感はいらない感じだな。

てか久しぶりだなぁ学校に平和に行けるなんて、

「唐松さん!!」


響歌「へ?」


大谷「ぼーっとしてないで早く入ってきなさい。そんなに緊張しなくてもみんな受け入れてくれるわ」


大谷先生が、ぼーっとしてた俺に声をかけてくれた。集団生活……


なんと素晴らしい!!!!


と、さっさと入りますか。テクテクとゆっくりめに教室に入っていく。入ってきた俺を見て、「わー」とか「かわいカッコイイ!!」とかが聞こえてくる。普段の容姿でこんな褒められたことあったっけな。やばい、新たな扉がすぐそこに―――


大谷「さあ、自己紹介して」


ああ、ありがとう先生、もうすこしで行っちゃうとこだったよ……


一応最初だし女子っぽく振舞っとくか 高い声高い声―――――――


「え、えーと、今日からこのクラスに入ります。唐松響歌といいます。勉強、運動共にそこそこできるほうだと思いますが、もし私が困ったときは助けてくれると嬉しいです!皆さん、よろしくお願いします!!」


俺の自己紹介が終わったとほぼ同時で、大きな拍手が聞こえてきた。すげ、、、すごい、感動しそう……


大谷「じゃあ席は、、、一番後ろの右の窓際、そこ使ってね」


響歌「はい」


大谷「じゃあHRは終了ね、10分後授業を始めるね。私の授業だから、この時間唐松さんと話してもいいわよ。」


と、先生がそう言うと、私の席の周りが、ドームのようになった。


「ねぇねぇ唐松さん、私とLINE交換しない?」

「今日カラオケ行くから一緒に来ない?」「お弁当一緒に食べよ」


と、いろんな質問攻めにあい、半、、、いや、強制的にLINE交換させられ、お弁当は何人かと一緒に食べることになった。カラオケは、さすがに断ったが


「あれ」


俺の席と対角線上の角の席に、ただ一人座って何もせず座っているかわいい子がいた。いわゆる『ぼっち』というやつか……同情するぞ……

てか、一人はつらいし、俺が友達になればいいか。

俺は立ち上がり、ドームをかき分けてその子のもとに行く


「ねぇ」


俺が話しかけると、一瞬びくっとするその子は、一瞬チラ見をして、腕に顔をうずめて寝る体制に入ってしまった。ありゃりゃ、気に障ったか。


響歌「ねね、どうして一人なの」


俺が聞いても、やっぱり反応してくれない。


響歌「やっぱりー………ハブられちゃったとか?」


そう言ったとき、その子はびくっと体を震わせる。やっぱりか、


「あんたも……………どうせ一緒………」


その一言っきり、俺に話してくれることはなかった。

















―――――昼休み―――――


授業を久々に受けた。なんか昔はしょうもなかったが、今となっては授業が面白くて仕方ない。俺のサバイバル術の原理とかが解明されるこの面白さは、俺だけが味わえる特権だなw

っとそうだ、今日は皆でお弁当だったっけか。って、そうだお弁当だ。カバンの中に入ってなかったんだが、こりゃ売店のパンを買う感じかな。

「響歌ぁぁぁぁぁぁぁ」


「ん?んなあぁぁぁぁ!?!?!?」

廊下を叫びながら走ってきたのは、ほかでもない、あのブラコン姉だ。


「突撃だ――― どーーーーん」


「んにゃぁ!!」


目を開けると、姉に、押し倒されている状態だった。


響歌「何しに来たの、姉ちゃん」


俺の言葉に「へ???」と、全員が目を真ん丸にして驚いている。


「きょ、響歌ちゃん、おねえちゃんって、まさか」


響歌「う、うん  私の姉ちゃんは、理事長だよ」


秋季「皆さん、響歌ちゃんに何かあったら、ただじゃおかないから、気を付けておくように、ね」


「「「「は、はいぃぃぃぃぃ」」」」


響歌「で、こんなド派手な登場で何しに来たの。バカお姉さま」


秋季「なにぃ、お弁当持ってきてあげたのにその反応はないでしょ」


響歌「はいはい、もういいから、出てけーーーーー!!」


秋季「ぎゃーーーーー」


悪霊退散っと…



響歌「さ、さぁ、お弁当食べよ」

















「へー今まで部活入ってなかったんだ」

「響歌ちゃんだったら皆から告白されまくりだったでしょw」

響歌「ええ、まあ、、、そんなこともあったかなー」



ヤバい、ヤバイヤバイ  非常にヤバい

明るい人たちだから気軽に話せるはずって期待してたらまさかのまさか、ここにきてまでコミュ障が会話の邪魔をする。まぁタメ口で話せてるだけましなんだけど

なんか俺でも話せる話題は―――あ、あの子のこと聞いてないな


響歌「ね、ねぇ皆、ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・」


「「「「「「なに!!」」」」」」

目を輝かせて聞いてきた。わぁ、今死んでもいいkってちがうちがう


響歌「あのね、廊下側の一番前の角の子……なにかあったの?」


「あー、、、それ、、、は、、、その」

「あの子とはあんまりかかわらないほうがいいよ」

「その、、、一人が好きな子でね、だからあーやって過ごしてるんだよ、、うん」

少し気まずい空気になっちゃったかな

まぁ、俺みたいに迷惑かけないようにとか、そんな悲しい理由じゃないことを祈るばかりだね



「私たちのせいなんだよ」


響歌「え?」

祈りが、一瞬で、、打ち壊された、、、
















―――私たちが恐怖に打ち勝っていれば……………



















『アイツ等』に、由香が狙われることは

          なかったんだ―――――――――

















―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


どうも、アナザーです。ただただほのぼのがくえんせいかつっていうのもあれなんで、少し長編で、由香編?てきなのを作ろうと考えています。

初めての作品で、早くもフォローしてくれまして、とっても嬉しく思っています。

これから一週間くらいテスト習慣という事もあり、3話の投稿が遅れるかもですが、楽しみにして待っていてくださいね。


次回『陰の道に踏み入れてはいけない』

ではではー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る