第31話 リアの忠告
「承知いたしました。それではこのロゼッタ、お姉さまのために誠心誠意、身を粉にして働く所存です」
「頼みましたよ。特にデクスの動向が分かりましたら直ぐにこちらに知らせてください。聖遺物の力を手にしたらあの男は……何をするか分かりませんから」
「…………」
やはり現時点での俺たちにとっての最大の脅威は、最初の遺跡の中にいた猫耳のオッサンだろう。
なにせあのオッサンは、俺の正体を知っている上に、聖遺物の力を取り込んでパワーアップしているわけだからな。
「最後にロゼ。貴方に1つだけ忠告しておきます」
一通り作戦会議が終わると、リアは改まって切り出した。
「……主さまに対する口の利き方には気をつけなさい。さもなければ私が貴方を殺してしまうかもしれませんよ」
こええええええええっ!
きっとリアは騎士団の中では、スゲー厳しい先輩だったんだろうな。
そのゴミを見るかのような冷たい表情は、普段「主さま!」と言って慕ってくれる彼女からは想像がつかないものであった。
「ああ。なんと凛々しい殺気! 流石はお姉さまです!」
自ら殺気を向けられているにもかかわらず――。
どういうわけかロゼはキラキラとした尊敬の眼差しを向けていた。
おいおい。
お前はそれでいいのかよ!
よくよく考えてみるとリアにも少し変わったところがあるし……王都の騎士団って
いうのは割と変人揃いなのかもしれないな。
「リア。俺は気にしていないから。変にロゼッタの口調を矯正しないでいいから」
「そうですか。主さまがそう仰るのでしたら良いのですが……」
リアのように敬った言葉遣いも嬉しいが、流石にそればかり気疲れしてしまう。
そもそもロゼの砕けた口調は俺にとっては嬉しいものなので、気にする必要もないだろう。
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