第30話 ロゼの忠誠
それから。
アジトに戻った俺たちはロゼに対して今日までの経緯を説明することにした。
「……たしかに貴方の指からは得体の知れない……無尽蔵の魔力を感じました。こうなってしまっては信じるより他はありません」
先ほどの交渉が上手くいったからだろう。
俺が別世界から召喚された人族だということは、割と簡単に信じてもらうことができた。
「それでロゼ。貴方はこれからどうするのですか?」
「わたくしの忠義は国にあらず。わたくしの忠義は、常にお姉さまと共にございます。当然、お姉さまたちに協力させて頂きますわ!」
一片の迷いも見られない清々しい表情でロゼッタは言った。
「ロゼはそれでいいのか? 国を裏切ることになるんだろ?」
「無礼者! わたくしのことを愛称で呼んでよいのは世界でただ一人! お姉さまだけです! 私の名前はロゼッタ! 気安くロゼなどと呼ばないで下さいまし!」
「そ、そうか。悪かったよ」
ロゼのリアに対するの感情は、尊敬を通り越して崇拝に近いものがある。
この様子だと彼女はリアのためなら国を裏切ることも厭わないだろう。
「けど、良かった。ロゼッタが仲間になってくれるなら、これでまたアジトの防衛が強化されるな」
「……いえ。主さま。ロゼにはアジトの防衛ではなく、別の役割を与えようと考えています」
「どういうことだ?」
「我々に最も足りていないものは情報と物資です。彼女には当面の間、王都に潜伏をしてもらうのが最善でしょう」
「なるほど。つまりロゼッタにはスパイになってもらおうってわけか」
たしかにそちらの方が何かと都合が良さそうである。
アジトの防衛ならライムのようなモンスターでも務まるが、スパイの仕事となるとそうもいかない。
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