第23話 落とし穴



「アジトの防衛を強化する必要があると思います」



 翌日。

 一緒に朝食を取っていると、リアが言った。



「アジトの防衛?」


「はい。現在、アジトの見張りは私とライムが行っていますが、私たちだけで全てをカバーすることができません。昨日のように賊の侵入を許してしまうと主さまに危険が及んでしまいますから」


「…………」



 リアの言うことにも一理ある。

 昨日はなんとかなったが、これから更に強い敵が攻めてきたら手に負えなくなるかもしれない。


 アジトの防衛強化は早めに行っておいた方が良さそうだ。



「魔物を捕まえて髪の毛でも与えてみるか?」


「……それは危険すぎます。聖遺物を与えたからと言ってその魔物が言うことを聞いてくれるとは限りませんから」


「それもそうか」



 全ての魔物がライムのように言うことを聞いてくれるとは限らない。

 危険から逃れるために危険を冒していては本末転倒である。



「そこで提案なのですが、アジトの中にトラップを設置してみてはどうでしょうか?」


「なるほど。その手があったか」



 トラップを設置すれば仲間を増やさずにアジトの防衛力を強化することができる。

 種類によるが、検討してみる価値はあるだろう。



「それではさっそく試してみます。地盤変動(プレートインパクト)!」



 リアが呪文を唱えたその直後。

 洞窟の中の地面が抉られていきポッカリと出現する。



「落とし穴か」



 中を覗きこんでみると、穴の深さは1メートルほどあった。

 派手に魔法を使った割には、規模が小さい気がするな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る