第15話 王都騒乱
ところ変わって此処は、葉司たちの隠れ家から30キロほど離れた地点に存在する
原因不明の爆発により月が破壊されてからというもの王都は、未曾有の大パニックに陥っていた。
「ええい! こんな大切な時に第2調査部隊はまだ戻らんのか!」
王都の神殿の中で青筋を立てて部下を叱咤している男が1名。
騎士団長のカズールである。
上から月破壊の事後処理の依頼を、一手に押し付けられることになったカズールは焦っていた。
街の住人たちは、今回の事件の原因を『魔族の反乱』と決めつけて、徒に騒ぎを大きくしている。
何はともあれカズールが最優先に行わなければならないことは、月破壊の原因を究明することであった。
「騎士団長。ただいま戻りました!」
神殿の中に年若い少女の声が響き渡る。
細見の体躯に不釣合いな長剣を携えた少女の名前はロゼッタと言った。
新人類の中でも取り分けバランスに優れた種族である《ニューマン》のロゼッタは、若くして騎士団のエースの座を恣にしていた。
「おお! ロゼッタよ……! よくぞ戻った! して、調査の結果はどうであった!?」
カズールは今回の月破壊騒動の原因について新しく発見された古代遺跡にあると踏んでいた。
人族残したとされる古代遺跡には、高度なテクノロジーを有した未知の兵器が存在することがあったからである。
それらはレガリアと呼ばれ、発見次第、国の宝物庫の中に収められるのが決まりとなっていた。
仮に月を破壊するようなレガリアが見つかったのであれば、どんな手を使っても入手しなければならない。
他国の手に渡るようなことがあれば――世界の情勢は一瞬にしてひっくり返ることになる。
「まずはこちらをご覧下さいまし。今回の探索で発見されたアイテムになります」
ロゼッタが取り出したアイテムを見たカズールは驚きで目を見開く。
「これは……髪の毛……? もしや聖遺物か……!?」
その聖遺物には常軌を逸した量の魔力が込められていることが分かった。
職業柄、聖遺物を扱うことが多いカズールであったが、これまでに魔力を有した聖遺物を見たことはなかった。
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