第14話 可愛い配下を強化しよう



「ふぅ……。食った食ったぁ……」



 食事が終わった後は休憩の時間ある。

 俺はベッドの上で横になり食後の余韻に浸っていた。


 いや。流石にちょっと食べ過ぎたか。

 横になってたら水を飲みに行きたくなってきたな。



「よし。ライム。一緒に散歩にいこうか」


「キュー!」



 俺がライムと一緒に散歩にいくのは、ボディーガードの役割を務めてもらう意味も兼ねている。


 森の中にはスライムの他にも危険な魔物がいるらしい。


 さらに言うとライムには、俺が歩き回った際に地面に落ちる聖遺物を回収する役目を任せている。


 本当ならリアに頼んだ方が確実なんだけど、水を飲みにいく度に連れまわしていたら気の毒だしな。

 

「お待ちください!」


 外に出ようとする俺をリアが呼び止める。



「折り入って相談させていただきたいことがあるのですが……。よろしければ……私に主さまの聖遺物を与えて頂けないでしょうか?」 


「ん? どうしたよ急に」


「今日のことで痛感しました。私は主さまの配下として力不足の身……。主さまから聖遺物を頂くことで力をつけたいのです」


「…………」



 う~ん。

 少しライムにばかり頼り過ぎたか。


 俺がライムを頼りにするほどリアは、複雑な気持ちになるのかもしれないな。


「分かった。なら昨日のように間接キスみたいなことをすればいいかな?」


 照れ臭い気持ちはあるが、事情が事情なだけに悠長なことは言ってられない。

 仲間を強化することは俺にとって命に関わることだからな。


「いえ。その……出来れば主さまの口から頂けると助かるのですが……」


「直接!?」


「はい。そちらの方が魔力の摂取効率が格段に向上するはずです。もちろん無理にとは言いません。考え方によっては私の発言は……主さまに口付けを強要しているようにも受け取れますから」



 まさか……まさかまさか!

 こんなに可愛い女の子とキスできるチャンスが巡ってくるとは思わなかった!



「リアが嫌じゃないなら全然オッケーだよ」


「……本当ですか!?」



 快諾すると、リアはパァッと花が咲いたような笑みを浮かべる。


 か、勘違いしないでよねっ!?


 リアは魔力を摂取してパワーアップをしたいだけで、俺はその期待に応えているだなんだからねっ!?


 それ以上の意味はない。

 それ以上の意味はないのである。


「それでは……失礼します……」


 俺の隣に腰を下ろしたリアは、そっと顔を近づけてくる。 


 し、信じられない。


 俺は今からこんなに可愛い女の子とキスをしてしまうのか……!?


 動揺するのも束の間、リアは一切の躊躇なく唇を重ねてきた。


 キスと言っても海外ドラマで家族同士がするライトなものとは訳が違う。

 唾液の交換を目的とした濃厚なやつである。



「んちゅっ……ちゅっ……」



 それにしても流石にこれは積極的過ぎないか!?


 動物がエサを貪るように。

 執拗に。丹念に。

 俺の舌に自分の舌を絡めてくる。


 こんな激しいキスは見たことがないぞ!?


 前歯に、奥歯に、舌に、歯茎に、喉に……。

 放っておくと口の中の全ての場所を舐めまわされてしまいそうである。


「凄いっ……! 主さまの……美味しいですっ……! どんどん……どんどん……力が溢れてきます……」


 もしかしたら人族の唾液には、媚薬のような効果があるのだろうか。


 先ほどからリアの表情がどうにもおかしい。


 顔は紅潮し、目は大きく開かれて白目に近い状態になっている。

 表情はだらしなく緩み、普段のような凛とした雰囲気は何処にもなかった。


 ええい!

 こうなったらもうどうにでもなれ!


 覚悟を決めた俺は、なすがままにリアの舌を受け入れるのであった。

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