第11話 2つの月
家の外に出てふと視線を上げると、そこで奇妙な光景を目にすることになる。
「あれ……月が2つある……?」
東には赤色の月。西には青色の月。
といった具合に仲良く並んでいた。
「不思議なことを仰るのですね。月とは普通2つあるものではないのでしょうか?」
「…………」
環境が変われば常識もまた変わるというということなのだろう。
この世界の住人たちは、月とは2つあるものという認識でいるようであった。
「主さま。さっそく獲物を発見しました」
暫く森の中を彷徨い歩くと、リアは背負った弓を天に向ける。
弓の向けられた方向に目をやると、丸々と太った鳥が木の枝に止まっていた。
「あそこにいるのはホロホロ鳥ですね。この時期のホロホロ鳥は野鳥としては癖がなく、食用として重宝されています」
リアは流暢に説明をしながらも無駄のない動作で弓を射る。
その直後。
木の枝に止まっていたホロホロ鳥は、バサバサという羽音を立てながらも地面に向けて落下する。
矢のスピードが速すぎて獲物を仕留める瞬間を全く目で追うことができなかった。
「上手いものだな」
「いえいえ。大したことではありませんよ」
リアは謙遜しながらも仕留めたホロホロ鳥を袋の中に仕舞う。
「矢じりに魔法を込めれば威力も上がりますし、ある程度コントロールすることができますから。少し練習をすれば主さまも直ぐに同じことが出来るようになりますよ」
そうか。
さっきの矢には魔法が込められていたのか。
道理で矢のスピードが速すぎると思った。
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