第10話 散歩に出る

 新しい仲間を得ることに成功した俺は、さっそく家の中のライムと遊ぶことにした。


「ライム。お手」


「キュー!」


「ライム。おかわり」


「キュー!」


 声をかける度にライムは触手を伸ばしてくれる。

 どうやらライムは俺の言葉を理解しているらしい。


 今回のことでハッキリと分かったことがある。

 この世界での人族は、迂闊にトイレに行くことも出来ない程の凄まじい影響力を持っている。


 俺の存在が明るみに出れば、このアジトとて安全な場所ではなくなってしまう。

 これから平穏な生活を送るためには、ライムのような仲間をどんどん集めていく必要があるだろう。



「リア。狩りに行くのか?」



 物置の中から弓を取り出したリアは、外出の準備を整えているようであった。


「ええ。まずは主さまの朝食を確保するのが最優先かと」


「ものは相談なんだが……邪魔にならないなら俺も同行できないかな?」


「……とんでもございません。しかし、主さまの手を煩わせるような仕事ではありませんよ?」


「問題ないよ。俺が行きたいから行くだけだしな」


 外に出るのが危険な行為というのは理解できるが、流石にずっと家の中で待機しているのも退屈なんだよな。


 この世界のことを知るためには、家の外に出て情報を仕入れていくべきだろう。

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