第5話 リアの導き
それから。
遺跡の外に出た俺は、リアに導かれるままに鬱蒼と生い茂る森の中を歩いていた。
「なあ。俺たちは一体どこに向かっているんだ?」
「主さま。恐れながらも進言いたします」
先程の一件からリアは俺のことを『主さま』と呼ぶようになっていた。
なんだかそれは嬉しくもあり、くすぐったい感じだった。
「我々が現在、最優先でしなければならないことは身を隠すことだと存じています」
「……身を隠す?」
「ええ。元々、私は王都から遺跡の探索を任されていたのです。私が帰らないのであれば調査部隊が不審に思って主さまの存在に勘付くやもしれません」
「考え過ぎじゃないか? 俺の存在を示唆するような証拠はないんだろ?」
「……主さまの言うことは尤もです。しかし、警戒するにこしたことはありません。私の部下であったデクスが『人間がいた』という報告をしている可能性も捨てきれませんから」
「…………」
なるほど。
千里の道も一歩からというわけか。
たしかに俺の力は1度あの獣人に見られているわけだし、慎重に動くに越したことはないのかもしれない。
下手に動いて人間の力を悪用しようとする輩に発見されたら大変だろうからな。
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