大学生と仲直り
「急にどうしたんだ!?」
いきなりひどいと言われて驚きつつも俺は未来に尋ねた。
「だってつっくんは優しすぎるもん」
俺はてっきり未来が怒っていると思ったので未来からの返答に理解が追い付かない。
「ん? どういうことなんだ?」
「だって、ご飯を食べるときは必ずいただきますって言ってくれるし私の料理を残さずに毎食美味しそうに食べてくれるんだもん」
どうやら未来は怒っていたのではなく落ち込んでいたようだ。 別に俺は優しくしているつもりなどは一切なくいつも通り幼馴染として、家族として接していたつもりだ。
よく未来は勘違いするが俺は彼女として、はたまた優しい姉として未来のことを好いている。
「未来、俺は優しいんじゃないよ。 美味しいご飯が作ってくれて、可愛くて気の利く彼女に感謝してるだけだよ」
「つっくん…… 私だってつっくんのこと世界で一番かっこよくて誇らしい彼氏さんだと思ってるよ!」
ようやくいつもの未来に戻ったようで何よりだ。 さて、冷める前にカレーの残りを平らげることにしますか。
鍋いっぱいに残っていたカレーも食べきり、俺は部屋で執筆の続きを進めていた。 後ろにはベットに寝転んでマンガを読んでいる未来がいる。
「つっくん、いつぐらいに終わりそう?」
「もうちょっとってところだな。 未来は先に寝るか?」
ちょっとと言いつつもあと一時間くらいはかかりそうなんだよな。 起こしているのも悪いし寝るなら俺はリビングにでも行こうと思うんだが。
「私は大丈夫だよ。 さっきゆっくり寝たしまだそんな眠くないから」
「わかった、できるだけ早く終わらせるな」
そう言って俺は画面に集中する。 俺が書き続けている物語もそろそろ終盤になりつつある。
この先の展開などないので一気に書き上げないと終わり方が微妙になってしまう。 なのでできれば今日のうちにキリがいいところまで書いてしまいたいのだ。
しばらくの間執筆をつづけていると、口元が寂しいなと思っていると未来が机の横にカモミールティーを置いてくれていた。 流石は三年も同居しているだけある。 ありがと、とだけ言ってカモミールティーに口をつける。
落ち着く匂いが鼻を通り、集中力が戻ってきた。 このまま書き上げてフカフカのベットに飛び込もうと書くスピードを速めた。
「終わったの?」
「ああ、とりあえずいい区切りの場所までな」
フラフラとベットまで歩いていき倒れこむようにダイブした。 脳を過剰に酷使したせいか、ものすごい眠気が俺を襲う。
「おやすみ、つっくん」
未来が電気を消してくれて俺は、
「おやす……」
言い切る前に眠ってしまった。
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