大学生とマットレス
「ふう、ご馳走さん」
「どーもお粗末様」
デザートであるアロン・コン・レチェも食べ終わりソファに座る。 未来と俺で並んで座っているとキッチンの方から水が流れる音がする。
日向が洗い物までやってくれているのだろうか。 ご飯を作ってもらったうえに洗い物までさせたら悪いな。
「日向ー、洗い物なら俺がやるぞー」
「じゃあお願いするわ」
俺は日向と交代し泡のついた食器をスポンジで擦っていく。 リビングの方を覗くと仲良さそうに日向と未来がしゃべっている。 会話までは聞こえてこないが微笑ましい光景に俺は食器を洗う手を速めた。
ものすごい速さで洗い物を終わらせてリビングに戻ると日向が身支度を進めていた。
「もう帰るのか?」
「これ以上お邪魔すンのも悪いしな。 海竜先生、マットレスの件はすぐに何とかするから待っててくれ」
そう言うと日向は眼鏡をかけ、玄関に向かう。 俺と未来は見送るべく後について行く。
「またいつでも遊びに来てね!」
「ええ、そうさせていただくわ。 未来ちゃんもまた今度遊びに来てね」
やっぱりこっちのしゃべり方がいいと思うのだがヤンキーモードになれてしまった今では逆に違和感を感じるようになってしまった。
日向は俺を見てニコッと笑うと出て行った。 意味深な笑顔に戸惑いつつも嵐が去ったような気分になり、リビングに戻りソファに寝そべった。
ピンポーン
寝る間もなくインターホンが鳴った。 俺は未来が玄関に向かうのを見届けて寝に入ろうとした。
「つっくん! すごいよこれ!」
またも寝るのを妨げられ声のする方を向くと玄関へと続く廊下に何か大きな段ボールが置かれている。 おかしい、最近に何かネットで頼んだ覚えはないんだが。
俺は起き上がり段ボールをリビングまで運んだ。 思ったよりも重くなく簡単に運ぶことができた。 送り主を確認すると相羽と書いてあった。
「相羽って確か日向の名字だったよな……」
「そうだね。 ってことはこれってつっくんの新しいマットレス?」
段ボールを開けるといかにも高級そうな袋に包まれ、真空加工されて小さくなったマットレスが出てきた。 俺は急いで日向にマインを送る」
紗月:日向! こんな高そうなのもらえるか!
メッセージを送るとすぐに既読が付き返事が返ってきた。
日向:いいから貰っておきなさい。 ご飯台まで出してもらったんだもの、それに夏コミのお礼も
まだちゃんとできてなかったし。
そう言われると受け取るしかなくなってしまう。 まあ、ありがたく貰っておくとしますか。
「つっくん! 敷いたら私にも寝かせてね!」
こうして未来が目を輝かして喜んでいるんだし早く開けるとしますか。
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