大学生と訪問

 ピンポーン


「はーい」


 メナージュから帰りお風呂に入って一息ついていると突然インターホンが鳴った。 俺が出ようとしたのだが未来が先に廊下に出ていた。


 なので俺はのんびりと今日あったことを思い出しながら作品の今後のプロットを書いていた。


「えぇー!?」


 玄関先から未来の驚く声が聞こえたので俺はゆっくりと部屋を出る。 廊下に出ると空いた玄関のドアから肌寒い空気が入ってくる。


 そしてその先の綺麗な夜空の下に立っていたのはーー


「日向!?」

「なぁンだぁよぉー」


 ドアに寄りかかるようにして日向が俺の家の前にいた。 しかも見るからに酔っていて眼鏡をかけていながらもヤンキー口調になっている。


「なんでうちの場所を!? ってか大丈夫か!?」


 フラフラといつ転んでもおかしくない千鳥足で玄関まで上がってきた日向を俺は止め、玄関に走った。 来客用のコップを取り出し水道から水を汲む。


「ほら、日向。 とりあえずこれ飲んで何があったのか教えて」

「わぁかったわよぉ」


 日向は一気に水をあおると呆けた顔をした。 未来が肩を貸してリビングのソファに座らせると落ち着いたように日向は眠ってしまった。


 いや、寝るなよ。


「これどうする?」

「このままソファに寝かせるのも悪いし私のベットを貸してあげよっか」


 待って、うちの彼女さんめっちゃ優しいんだけど。 そこまで言うなら仕方がない。


「いつ吐くか分からないし俺のベットでいいよ。 それで未来は……」

「じゃあ私はつっくんと寝る!」


 最初からそれが目的だったかのように未来は顔を輝かせてそう言った。 俺は策士か、と思いつつこう返す。


「そもそも未来のベットはシングルだろ? 俺は父さんたちの部屋で寝るから」

「えー、せめて布団持ってきて同じ部屋で寝よーよー」

「だめだ、明日日向に見られたらなんていわれるか分からないし」


 それに日向が酔っているときの記憶がなくなるタイプでさらに変な勘違いをされても困るしな。 安寧を祈るくらいの俺だ、未来と一緒に寝れないだけでへこんだりなんか……しないからな。


 酒臭い日向を俺の部屋に運び込みベットに放ると「ふぎゃ」と言ってまた寝始めた。 布団をかけて扉を閉める。


 その際にノートパソコンだけは持ってリビングに行く。


「日向ちゃん起きた?」

「いや、ぐっすりだったぞ」


 その後、少し未来と会話していると今日一日の疲れか二人とも大きなあくびをして笑い合い、もう寝ることにした。


 父さんたちの部屋に入りベットに寝転ぶ。 この前使ったというのにすでにお日様の香りになっている。 今頃父さんたちは何をしているのだろう。

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