大学生と会議
「それで…… 結局ペンネームは出してもよくなったの?」
「おかげさまでそれはすぐにオッケー出ました……」
その代わりに二十部の予約だったけど、とは言えず口ごもる。 日向が少し不思議そうな顔をしているがとりあえず知らん顔しておこう。
未来はよっぽど座り心地が良かったのかソファに深く座って寝てしまっている。
「未来ちゃんが寝ていることだしさっさと済ませてしまおうか」
「そうだな」
日向はそう言うと俺の隣に座って体を近づけてくる。 俺は拒むことなくプライベートスペースまで近づいた。
そして日向は自分の太もも付近に手を当ててこちらの様子を窺うように上目遣いで俺を見る。
「海竜君…… 覚悟はいいわね?」
「もちろんだ。 どんとこい」
俺の意思を確認した日向は着ている服の胸元を緩め、さらに俺に近付く。 そして頬に手を当てるとーー
「おっしゃあああ! やるぞ海竜先生!」
「お、おお。 いきなりテンション上がったな」
眼鏡を取っていきなりヤンキーモードになった。 今日二回目のヤンキーモードに驚きながらも俺は本題について考えていた。
「それで夏コミの話なンだが海竜先生には開場前の話題呼びと売り子、それとほかのサークルへの挨拶に同行してくンねえか」
「サークルのメンバーでもない俺がいいのか?」
売り子とかはまだしも挨拶まで一緒しちゃっていいのかな。 それに開場前の話題呼びってなんだ?
「こっから細かい説明な。 まず開場前にツイッターに前乗りツイートをしてくれ」
「別に俺のアカウントはそんなにフォロワー多くないぞ?」
「いいンだよ。 コミケにラノベ作家が前乗りってだけで人づてに話題になるもンだ」
確かにそうかもしれないな。 俺がってところは置いておいて、書籍化作家さんがいたら会いたいって思うもんだよな。
それに開場前なら情報収集する人も多そうだし、少しは俺でも売り上げに貢献できるかもな。
「わかった。 ただほんとに会場入りするときにするけどいいか?」
「それでいいンだ。 匂わせとかやったら一瞬でバレるからな」
するわけないだろう。 それに一応BL作品なんだしほどほどに話題になるくらいでいいしな。
ピンポーン
「お、あいつらも着たみたいだな」
「あいつら?」
日向は不敵な笑みを浮かべて部屋を出ていてしまった。
というかこの家にインターホンなんてあったんだ。 全然気づかなかった……
「こんにちは海竜せんせー!」
「こんにちは先生」
急に扉が開き、ポニーテールとセミロングの可愛いb女子二人が部屋に入ってきた。
「えーと……」
「あ、私たちはサザンドラの売り子担当のMISAとー、」
「初めましてMIKUと申します」
あ、俺とは別の次元の人たちだ……
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