大学生の奥の手
「風呂は気持ちいなあ、生き返るー」
今日は硫黄泉と呼ばれる白く濁った温泉に入っている。 俺は毎日違う湯につかって温泉を楽しむことにしている。
時間は七時過ぎなのだが人はおらず貸し切り状態になっているため伸び伸びと浸かっていられる。
「それにしても明日の執筆どうしようかな。 今日中に書くといってもそんなすぐにアイデアが思いつくとは限らないし……
まあ明日と未来のためだ。 一肌脱いでやろうかな。
「さて、準備するか」
温泉を出て旅館の売店に向かう。 そこでコーヒーを一リットルと温泉饅頭を買って部屋に戻った。
*
「つっくんおかえりー、何買ってきたの?」
「風呂上がりのコーヒーと夜食に温泉饅頭を何個かな」
「温泉饅頭!? 食べていい!?」
まだ夕食を食べて二時間もたってないのにもう食べれるのかよ。 それ以前に喫茶店でもクロワッサン食べてたよな……
「まあ食べてもいいけど俺の分は取っておけよ」
「はいはーい、それじゃあいっただっきまーす」
ものすごい勢いでほおばっている未来は放っておいて俺はプロットを練り始める。 しかし内容のせいか全くいいアイデアガ浮かばない。
やっぱり未来が寝るまで待って
「つっくん、あんまり無理しないでね」
「どうしたんだ? そんな急に」
「今回の旅行は私が無理言って来たようなもんだし今日だって疲れてるでしょ?」
どうやら俺の考えていることは未来には筒抜けのようだ。 それもそうか、何年も一緒に過ごしてきたんだからな。
「じゃあそう言うことだから私はもう寝るね」
「おう。 その…… ありがとな」
「いえいえー、じゃあお休みー」
未来は布団に入りすぐに寝息を立て始めた。 それを確認して俺はコーヒーを一気飲みする。
未来もバカなもんだな、普段から紳士を装っていることにも気づかずにつっくんつっくんとあとをついて来て…… 俺の本性も知らずに何年も何年もご苦労様なことだな。 ようやく大学生になって女としてようやく成長しきったんだし頂いても構わないだろう。
それに騒がれようとも俺のいつもの姿を見ている杏樹や雄二がいる限り俺が悪者になることはないし、未来には俺がいなければ何もできないんだからな。
ってそろそろやめよう。 おかげでスイッチも入ったし。
創作をする人には人それぞれのスイッチの入れ方があると思うが俺はこうやるしかないんだよな…… 我ながら腹黒いとは思うがわざとだし。 わざとだからな!
俺は普段執筆する際にスイッチを入れていない。 俺のキャラでもないし、
あとで罪悪感がすごいからな…… しかもすぐ後ろで本人寝てるし……
「うん書こう……」
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