第7話:罰

 部屋の中は頭が痛くなるような悪臭に満ちている。

 先程まで領主の息子と雌豚が盛っていたからだ。

 男同士で愛するのと違って、雌豚臭気は強烈なのだ。

 本当なら窓を置けて空気を入れ替えたいのだが、そんな事をしたら助けを呼ばれるかもしれないから、悪臭を我慢するしかない。


「さあ、全てを話してもらおうか。

 正直に言わなければ、この拷問は終わらないぞ」


 雌豚に真実を話させるために、情け容赦のない拷問を繰り返した。

 自殺できないように、竹製の特殊な猿轡をさせている。

 手足二十枚の爪を剥いでも我慢しやがったから、特殊な訓練を受けているのは明らかで、どう考えてもベゴニア王家が送り込んだ工作員だ。

 仕方がないので手足の骨を一本金槌で粉砕してやった。


「第一関節から第三関節まである。

 六十回もこの痛みを我慢するのか?

 もういい加減正直になれ、ここで死ぬよりも、ベゴニア王国に戻って家族を連れて逃げた方が、生き残れる確率が高いぞ」


 まあ、ここまで我慢できるのは、大切な家族を護るためだろう。

 このまま拷問を我慢できる自信があれば黙ってるだろうが、耐える自信がなければ、身体が動くうちに自白して、家族を連れて逃げる方を選ぶだろう。

 予想通り雌豚は全てを話した。

 汚らわしい女だが、家族を護ろうとする心構えだけは評価できる。


「この男を誑かしたのは、ベゴニア王国の策謀なのだな。

 こいつを愛していたわけではないのだな?」


「当たり前じゃないか、誰がこんな馬鹿を愛するというのだ。

 相手が男であろうが、心から愛し尽くしてくれる者を平気で捨てるような屑、本気で愛する女はいないよ。

 国からの大切な役目だからこそ、愛しているふりをしただけさ」


 この女は、拷問には耐えられなかったが、国を想う忠義の士だ。

 それに応じた礼を取らなければ、私はただのならず者になってしまう。

 愚かな男を殺したら、それ相応の金を与えて逃がしてやりたいが、今の俺には金がないから、屋敷の金を盗んで逃げるように言おう。

 

「おい、馬鹿息子、これで分かっただろう。お前は騙されていたんだよ」


 激しく顔を上下させて、反省しているように見せかけているが、未だにこの女に執着しているのは、濁った眼を見れば一目瞭然だ。

 このまま解放したら、女のために何をしでかすか分かったものじゃない。

 それに、こいつのせいで自分の子供を抱けなくなった男達がたくさんいる。

 あのような暴挙をやらかした男を、生かしておくわけにはいかない。

 他の領主や権力者への警告も兼ねて、残虐な殺し方をして城門に晒してやる。

 腹を裂いて内臓を引き出して殺し、口に自分の糞尿を詰めて晒してやろう。

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