デイシフト 3
掃除が終わると二人はレジに入った。
そうは言っても客は来ない。二つあるレジに一人ずつ立つが無意味でしかなかった。
「ねえ聖ぃ」
「……なに?」
甘えるようなゆうなに聖は面倒そうに答える。聖は仕事を見つけてタバコの補充をしていた。
「お客さん来ないけど、あたしらの時給どこから来てるんだろうね?」
「それは考えるな」
「でも!」
ゆうなは思い詰めた表情で振り向く。
しかし聖は淡々とした顔でやって来た。
「わたしらのいない時にたくさんお客さんが来てるんだ。そう思え」
「……思う」
目を瞑るゆうなの頭を聖は撫でてやった。
「良い子だ」
しばらく頭を撫でられてるとゆうなは何事もなかったように顔を上げた。
「ねえ聖ぃ」
「今度はなんだ?」
「スマホってどうやって動いてるの?」
「それは普通に知らん」
「お願い教えて! でないと夜も寝られないよ!」
「じゃあ寝るな」
ゆうなは聖を抱きしめるが、聖は直立不動のままだ。
「ひどい! 寝不足でニキビができたらどうするの!?」
「わたしが責任を持って潰す」
「跡が残るからやめて!」
「なら離せ」
「はい」
ゆうながすんなりと離れると聖は再びタバコの補充に取りかかった。
「ねえ聖ぃ」
「ああもう! 今度はなんだ!?」
さすがの聖も怒り出したが、ゆうなは気にせず前を向いていた。
「いつまであたしのカチューシャ付けたままなの?」
「早く言えっ!」
聖は真っ赤になって休み時間にゆうなが付けたカチューシャを持ち主に投げ返した。
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