第10話
水霧はそのまま転移して行ったので、私は色々と考えておくとしましょうか。要は自軍の二、三割以上がいきなり予定外の補助が前提として必要にされた状況に成るのよね。そして侵攻するかしないかの判断を自分で決められる立場なら?そして追加で言えば、他の手段が大丈夫な保証も無いでしょうよ。侵略戦争仕掛けるのに完全な安全策も何も無いと思うけど、流石に無条件で問題無いとするにはハンデがデカすぎるレベルよね。相手が盛られていれば大丈夫と言うにはそもそも一定以上の事が出来る奴が居たら前提条件上可笑しい訳だし。……。はぁ……。アレよね。召喚システムは創り主の注文に対して、何処までも都合が良い造形に召喚する上で召喚される奴が創造される……様に出来る。まあ、召喚される際に私たち側にもそう言う造形構造に対しての拒否権は有る訳だけど、再召喚とかのシステムの都合上余程ミスらなければ召喚者に対して召喚された人々は友好的な場合が多い。それは別に私達が思考を制御された訳じゃ無くて、召喚された人々が再召喚をされる為の一手法に召喚者のエネルギーが要るから、友好的に接して無いと自分の蘇生手段を不必要に一つ自分で無くす様な物だから。つまり、無条件で再召喚の制限撤廃をするのは其処を崩す事に成る。まあ、今回の場合は再召喚を味方だけがしやすくする為だけの物な訳だけど。そりゃあ基本的には必要な制限よね。相手側が強いなら戦う上で撤廃しておきたい物では有るのがアレだけど。エウミア連合国が出来た理由はそれの問題点の解決手段としての物だし、それを今改めて語るのも違うだろうから今は良いとしても、召喚システムは願望を只々ぶつければ、それに適した相手が無条件で生まれると言う物では無い……いや、拒否権の行使する為の関連の問題で、抜け道が無い訳でも無いけど……。場合によっては召喚された人々に普通に殺されるパターンも有り得るのよね。拒否権があるせいで、完璧な注文をぶつけても却下される場合も有るし、召喚する相手を召喚時の仕様としての強制隷属とかはリスクが高いと言わざるを得ないわ。隷属を却下されてから召喚される人の人格次第で普通に殺しにかかられるもの。……なんか報告が来たわね。侵略が来た時にその近く居た奴が結構ぶっ倒れたって。侵入された際に敵にウイルスでもばら撒かれたのかしら?それで潜伏期間が終わったので、発症したと。……世界外からの持ち込みの新種のウイルスのウイルスハザードなんて植民地にするつもりの場所にやる手段じゃないのだけど、……いや、もしかしてこれは意図して無いパターンかしら?この世界で敵側を倒した死体から拡散した例えば相手側にとっての大腸菌的な物がこの世界で病気を起こすウイルスと扱われた的な。……それに対しての抗体なんて抗体を創る能力持ちでも無いと基本的には事前に有る訳無いわよね。頭が痛いわ。世界の仕様が違うと言う事は都合の良いだけじゃ全然無いわね。まあ細菌系能力持ちからしてみれば今回のそれは自分の手札が増える的な意味での強化イベントでしょうけど。だから原因の細菌はそう言う奴に嬉々として全回収されて本格的なパンデミックに成る前に収束したわね……。いや、これを喜んでいいかは微妙だけど。ウイルスキャリア能力者の保有ウイルスが増えた訳だし。生きたウイルス爆弾みたいな存在が強化された形だし……。素直に喜ぶには他人の凶器が強化された様な物だからアレな話ね。でもその能力持ちが暗殺でもされたらウイルスがばら撒かれる的な意味で不味いだろうし。それだとシステムが完全に壊れた際にヤバイ事に成る気がするわ。後、一つの世界で最強だと言う事は他の世界を含めた最強と同じではない。まあそれは強さの基準が違う世界も有るのだから、一つの基準ではそれより上が理論上有り得なくとも、それより上が居ても理屈上はおかしくはない訳だけど。まあ他の評価基準持ち出して、手前に勝てるとか言うのに意味が有るなら、私はどんな設定の奴であろうが倒せる。相手が盛れて無い部分で此方が盛れた事にして、それで勝ったことにすれば全部で勝ちよ。……いや、解っているわよ。そんな理屈が無条件で通ってたまるか。でも世界が違うと言う事はそう言う事が罷り通る。そもそも違う前提条件上で生きてきた相手なのだから、根本的な構成が違うのだし。その前提の何方側を基準にすり合わせるか。他の奴が全部システム掌握している世界じゃ、まあ相手方の世界優先で、此方の世界では此方の世界優先。そうしない為の物がシステムの持ち込み。……そう考えてなんか嫌な予感がしたけど、今は良いわ。コピペ世界はレプリカであると言う点を度外視すれば、そっくりそのままの見た目の物が有る。つまり、見るだけや、飾るだけの美術品やインテリアとかならそれでも十分な訳よ。希少価値が売りの物をコピペして増やしても仕方無いけどね。システムの持ち込みで此方に都合が良く出来る。要するにシステムを前提にした陣取りゲームな訳だけど。基本的には局所的な適用が限界……いや、世界を丸ごと移動させて他の世界に突撃とかふざけた事をやらない限りは持ち運ぶシステムより世界のシステムの方が基本的には大規模だし、それは当然の話だけど。……いや、逆に言えばそうすれば出来るわね。そうするなら世界その物同士の食らい合いの構図に成るから、負けた際に世界その物が相手世界に食われて無惨な事に成るけど。そこにフラワシが来たわ。
『アーバーン。敵全体に寄生が成功できたわ。情報開示を色々として行くから聞きなさい』
『……よくもまあそんな危険な真似を……いや、よくやったわ。始めて』
『一つ、相手方は自由に世界その物を操る力を持つ、重度のコレクター。様々な世界の物がコレクションされていた。二つ、集めたそれらで何かを創ろうとしている。三つ、界を爆弾として扱う技術が有る。四つ、大抵の事は出来る力が有るはずなのにそれでも何かに備えている』
『フラワシ、ちょっと待ちなさい。……界爆弾?何それ……嫌な予感しかし無い名前ね』
『世界その物に対して局所的な飽和現象を発生させて世界その物側を処理落ちさせて破壊する技術。その局所的な性質上、恐らくはシステムの主導権を敵に奪われた際に状況をリセットする為のものと思われます』
『……いや、それ現状の手札で突撃していたらやばかった奴じゃ無い……』
『あ、確か、シュライク・バースディの所に居た、元モグラの奴なんか狙われているわよ。時間制御系潰し潰しが出来ればそれが通せるし』
『……おい、それを速く言……いや、それは私に言っても意味が無いわね。時間制御系で参戦拒否されちゃうだろうし。だったら彼方にはもう言った?』
『ええ。もう戦闘やっているわ。今回の場合は単騎対決じゃ無いのだから、其処迄アレでも無いけど』
『……最悪の場合は追加の人員を投入することも考えなくちゃね……』
『……助けにも行かないのね』
『……行っても無駄と言う方が正しいわ』
『……そう』
☩
ええい、クソが。今回は他にも人員居るけどさ、ガルアを狙って人質にして俺に時間制御系潰しをさせないようにすると言うのは確かに有効的だ。……けどさ、此方は伊達で化身系に成った訳じゃ無い。大地の化身なのだからマントル圏より上なら全体此方が居る様な物だ。つまり、こちらを倒すために此方の身内を先に狙うなんて成立なんてさせないよ。……だが、問題が一つ。不意打ちで初手にガルアが直ぐに脱出出来たとは言え拘束迄一時的にされたせいで、時間制御系がその時間へと戻されるだけで再度ガルアが拘束される。力が行使される度にガルアの拘束と解放がまるでシーソーゲームの様に移り変わる。此方のエネルギーの消耗狙いなのだろうが……此方は世界その物のエネルギーを誘導して居るだけなので、一つの世界その物とエネルギー保有量で対決して勝てる奴でも無ければ競り勝てる。それに相手は勝てたとしても仮に世界その物のエネルギー資源強奪狙いならそんな勝負をするのなんて論外だろう。暫く繰り返した後、世界その物のエネルギー側でも見たのか、相手はそれを止めた。いや、止めざるを得なかっただけだろう。それでもし競り勝てたとしても勝利報酬が消え去っているからな……いや、実際問題としては仮に、自然回復するパターンと取られたらそのまま敢行も有り得たか。外部からの供給エネルギーが欲しいのなら零から一を産むような永久機構なんて存在はしないのだろうし。そこはまあ無難な選択だろうね。さて、相手はどう出るか?俺を潰したいだけなのに俺以外を狙うと言う事はシンプルに戦い此方を倒せる有効打と言える手札なんて無かろうが……。するといきなり高エネルギー反応が出たのでエネルギーを纏う。味方が只のモブの様に蹴散らされる。……そんなに雑魚じゃ無いぞ。こいつらは。いや、相手が攻めて来た際の状況をそのまま返されただけか?ならすべきは、其処に居た全員を世界その物のエネルギーで保護しエネルギーか何かの干渉を跳ね除ける。システムの持ち込みによるシステム上書きなら世界その物を丸ごと持ち込んでこない限りは規模では勝てるのだから、世界その物をぶつければそれは問題無い。現状は此方にも損害は出たが、相手の目的からすれば軽微と言える範疇だった。殆どがパラドクスクリーナーで対処可能な状況だから何とか成っては居るが、そろそろ相手側もネタ切れしてくれると有り難い訳なのだが。……いや、今は幾ら手札を出されようが、現状の根本的なメタを潰せれば後はどうとでも成る状況か。何なら交渉や対話でも向けて来るか?現状此方は一方的に攻め込まれたのを撃退しただけなので、要するに逆襲されたら負けるから攻め込んで来るな。とか言われる構図に成りそうなのだが。いや、まあアレだ。攻め込んで来て、占領出来そうかどうかを見て、そう出来なそうなのなら不可侵条約を結ぶ提案をして来るとか?……いや、それはふざけすぎだろ。互いにそれなりにやりあった後ならまだしも、流石に。現状的に。となると、撤退しか無いよな。まあ現状此方の明確な弱点は解って要る訳だろうが、正攻法ではそれは難しい。それは相手だけの話では無くこちらもだが。ならそれを局地的にゲリラ戦闘で潰せればそれでよし。そう出来れば後は時間制御系で都合の良い結果以外に成るなら後は都合の良い結果に成る迄必要なだけ時間を適宜戻せば良い。……。これはゲームでのコンテニュー機能を細分化した物を実際に敵に回すような物だ。コンテニューされて居ると言う事が何らかの理由で認識出来ないとゲームの敵キャラみたいに倒せる迄リトライされる。まあ戦闘前に戻る程度だけなら戦力換算数量値勝負とか、システム次第であまり意味は無いが、そんなに単純でも無いだろう。乱数調整を一方的にされるのだから、ゲームのTAS動画みたいなマネを敵にされるような物だ。相手側にリトライ数の制限が有れば其処迄でも無いかも知れないけれど、それは相手側のそれをやるための実力次第で変わる事でしか無い。要は今回の相手と同系統の奴等には相手が取り得る最善手を常に取られ続けても勝てなければ、負ける。現状はどうせ根本メタ以外は度外視出来る。だから現状それをやる為に必要な攻略する物の数は少ないし、提示された攻略法も相手がそれでゴリ押すと勝利報酬が無く成る形なので断念させられた。すると声が響く。
『ハハ、困った時は上位存在が介入して解決とか話が茶番に成るから余りしたく無かったがね。アレだ。世界其の物の仕様の範疇で何をどうこうしようが此方はどうでも良いけど、外部の力で此方の権益を崩そうとするなら話は別だろう。それこそ劇が壊れると言う物だ』
……前に話で居るだろうとされていた、システムの根本的な作成者、か?それで起きる問題に対しての観劇目的で召喚システムを創ったなら、アレだが……今はそれどころでは無いか。相手方は要するに仕様外の力でシステムを奪おうとでもしたのだろう。それがシステム作成者の逆鱗に触れた訳だ。そいつが上位存在であるかどうかはさておき、ヤバイ所に相手側が喧嘩を売ったと言うだけの事だと分かれば十分か。……正直な話、今介入するなら、メンテナンスシステムが壊れた際にも介入してくれりゃあ良いのにとは思うが……いや、あくまでも仕様内でのアレコレならどうでも良いと言うスタンスなら仕様内での崩壊的な感じだと取られたのか?……つまりは、此方を純粋に守るための行動では無いから、純粋な味方とは言えないじゃ無いか。この世界は関係無く、あくまでも個人的に喧嘩売られたから出て来ましたと言うだけだ、これは……。
『いつもは出てくるつもりは無いがこれは単に喧嘩を売られただけなのだし、潰させて貰うよ。いや、出て行って貰うと言う方が正しいか』
そして世界が変質した。……一部のエネルギーか何かが急速に滅されて行く。……つまり恐らくは相手の世界の奴に対して、そいつらが此方の世界に居たら存在が滅亡する状況に成る様に世界が調整された……と言う事か?攻撃して倒した訳じゃ無いよな?だが、それなら世界の調整だけでも説明は付くか……いや、酷いな。世界の調整、か。……自分に有利な環境を創るとか自分に有利な効果の有る領域を展開とか、そんなレベルの話では無い。言うなれば、これは前提条件の改編だ。話の前提条件を自分の都合の良い様に変えて外敵にぶつけたのだ。……酷いな、これは……だが、俺は世界のエネルギーを制御出来るのだから、それは俺がいずれやれそうな事だ。そんなの見逃して堪るかよ。そして外敵は存在が滅亡するか外部に逃げて行った。
『はい、終了と。外部の力で仕様を壊さない限り、手は出さないから基本的には気にするな。これは単に個人的に喧嘩を売られただけだからな。それじゃ、今はこれまでだ』
そして声は消えた。……いや、何と言うか、アレだな。奴の理屈は此方に都合の良い理屈だとしか言えないな。相手側からすれば此方と似た事をやる為のシステムの強奪狙いだったのだろう。だが、此方はあくまでも仕様内でのそれなのが、相手側は只のゲームで言う不正掌握と破壊なので介入して来た、と言う事なのだろうか?……なんだろう、これは。簡単に殲滅されて居るとなんかコレジャナイ感が凄いと言うか、何というか……。まあ、それが一度だけで終わる何て言われては無いのだが。こんな大魔法なんて制限有りきや一度限りだと思いたい心情の理解は出来る。……まあ要は世界の組み換えと言うだけだろうから、零から同等の規模の現象を起こすよりかはローコストでやられた物だろうけど。……さて、そんな事はどうでも良い。システムの根本の掌握者か何かの、居るのじゃ無いかとだけ言われていた立場の奴が表に出て来た。……今後この世界で大事を起こすなら、今の現象を起こすレベルの奴を撃退成り何なり出来る算段が無いと無駄死にする事に成りかねない。いや、システムの範疇でどうこうするのは構わないとは発言しては居るし、そもそも、今回の根本の原因の際の事の時はあれだけやらかした奴が居るのに他に対処を促しただけだった。つまり、あくまでも他の世界の奴が余計な事をしたから介入して来たと言うのは、現状では間違いは無さそうだが、……そんなの奴の気分次第だろう。奴に不都合だと思われレベルの事をやるつもりなら奴と戦うのは前提だろうし……。他の奴と話し合うか。
☩
ははは……。ゲームで例えるならば召喚システムはゲームソフト。そして追加に召喚システムのメンテナンスシステム。世界はゲーム機だとして、それのメンテナンス機構の役割が奴と言う事だろうか?今の話を統合するならば、話の前提に有る召喚システムをそのメンテナンスで世界に仕様としてぶち込んだのでは有るまいか?……召喚システムの元凶を倒したければ奴を倒せ、と?……いや、なんて無理ゲー?まあ、直ぐに対抗する必要は無いのだから後回しで良いか。……状況を整理でもしようかな。ええと?ウイルスキャリア能力は平時での病気の原因のウイルスを全回収するだけでも価値は高いが、今は良いや。界爆弾について考えよう。要はエネルギーの飽和現象で処理落ちを起こさせ、相手側の制御力をそれで潰そうと言う物。つまり、処理落ちを起こすような現象を何らかの手段で処理落ちをしないように捌けばそれは理屈上では対処が可能と言う事。それを出来るや出来ないは、水掛け論的な物に成るが、そもそもそれで如何にか成る範疇の想定の実力具合でないと想定する状況としてアレでは有る。相手側が格上ならそもそもそれに頼る必要は無く、相手側が格下ならそれをやられて状況をやり直しても意味は無い。同格相手にはそれをやる余裕は有るのか?だからそれは置いておいて、本題。相手の世界の奴はまだ侵略戦争しに来るのかどうか?正直な話、相手側の都合の悪い世界に世界その物が調整されたのに敢えてそれを奪いに来る必要性とは?一応攻めて来る可能性も有るか。だがコピペ世界は妥協案では有るにせよ。見るだけの物を奪うと言う目的的な意味ではもう勝利条件満たして居るし。今回の場合、要するにゲームマスターや、カジノディーラーがゲームの進行に口出しして来た構図な訳だが。……実際、此方はお咎め無し。と言う事に成るのだろうか。もし問題視されるような事に成るのなら一緒くたに処理されて居たのだろうし……。要は仕様内の範疇で遊ぶなら幾らでも好きにしろ。だが、それ以外の要素を基にして引き起こす様なチートは許さん、だ。まあ仕様外の物を持ち出さないと奴に対して、根本的に勝ち目は此方には無いのだが。ん?シュライク・バースディが、元はモグラの奴を連れて来たな。いや、なんかヤバそうだ。
「シュライク・バースディ。彼女はどうした?」
「頭に色々と不味い情報を流し込まれた様でなんか対処したいのだが、なんか無いか?」
「……いや、前に似たのを対処していただろ?」
「……これは現実としてかなりの時間の疑似体験させられた様だ。……正確には頭の中の処理能力を高速処理出来る様に補助してから頭の中に高速で情報を流し込んだ。だな。やられたのはあくまでも視覚情報的な物だけの様だが……」
「その記憶情報の流し込みされた物をバグ扱いか何かに出来ないか?」
「要するにこれはグロに振り切っているホラー映画を強制的に見させられたので、精神的に厳しい。……を、極端にグレードアップした様な物だ。扱いとしては例の奴は範囲外だな。そもそも魔法を見て精神的に極度にアレに成っているだけで有って、魔法其の物で直接こうされているわけじゃない。だから魔法を消してもこの結果は消えない」
「……いや、厳しいな……だが、そんな事が出来るのか?」
「思考加速が起きるように補助して、それに合わさった情報速度で情報を流し込む。思考加速能力なんて沢山の創作で使われるベタベタのベタな能力だろう。自由に使えるかはともかく、走馬灯とかで現実でもそれは不可能では無いからな。それが常に出来る補助機構でも出来ればやれるだろうさ」
「無難なのは記憶の部分的な消去だが、……余りお勧め出来ないな……」
「だからどうするか相談に来ている」
「まあ、それもそうか」
「件の奴が助けてくれる、とか無いのかね?個人的な喧嘩の延長線の範疇で助けてくれるかも知れない」
「……いや、話の前提を幾らでも変えられる奴だろうから、この条件なら勝てるとかが考案出来てもその条件を前提側から簡単に崩されるだろうし、助ける際に彼女に何かを仕組まないとも限らない。だから止めた方がいい」
「しかし即座に助けたのにこれとかアレだな……」
「聞く限りは過程で何回か奪い合いをしたのだから、その間になんか即席でぶち込める奴をぶち込んだのだろう。助けられて無かったのなら更に酷い事に成ってたろうよ」
「だからってSAN値削りに来るか。……だが、今回の場合はそれで済んだと言うべきか」
「別に体に害ある事をされた訳じゃ無いからな。もっとも、話の前提条件上、人質として意味のある状況でなければ彼女を狙う作戦の意味が無いのだからグロ映像群見させて茫然自失に成らせただけと似たような物だろうから、メンタルケアさえしてやれば問題無いだろうよ。いや、前提条件上そうでなければ相手の目標がクリア出来ないからな。……いや、完全に廃人に成るレベルの物を見せるとかやったら人質として価値が無く成る可能性が有るから、そこは間違いないと思う」
「……ならどうするか?」
「それを決めるのは俺じゃ無い。まあ、眠り姫を起こすのはキスと相場が決まっているが」
「……おい。つまり、彼女にキスをしろと?」
「シュライク・バースディ。まあそれをしたく無ければご自由に決めれば良い」
「……やれば良いのか、やれば」
お?意識不明の病人にするように手を握るとか、抱きしめるとかでも有りだと思うのだが、そのままキスをしやがったな。……それに頭が回らないとは冷静じゃ無かったのか?まあショック療法には成るだろうから問題無しでは有るが。そしてガルアが起きたのだが、状況を把握すると。
「…………ムードも何も無いお詫びの様なキスで私に喜べっていうのかしら?」
「……いや、定番の対処方法では有るだろ。これも。それに実際効果が有った」
「……やり直しを要求したいわ。貴方の意思で、医療行為関係無しにやれば許してあげる」
「ええい。どうせ後でテラに文句言われるのは変わらない。解った。それで許すなら、な」
そして二人はキスをしていたが。
「……お二人さん。俺も居るのだが?」
「……いや、空気読みなさいよ」
「いや、それよりもガルアさんがされた事を把握したいのだが、他の奴がされた際の対策がしたいからね。いちゃつきたいならその後にしてくれ」
「……それは必要ね。じゃあ……」
そしてされた内容の説明を受けたのでその場を後にする。
「では後はごゆっくりどうぞ」
「……それじゃまた」
そして対策の為に各所に話を通して置く事にして……あれは浮気じゃねぇ?とは思うのだが、シュライク・バースディの化身系との融合の理屈が俺と同じなら、多分テラ・マーテルの方にはあれは筒抜けであるはず。だが、それでもガルア=スプラウトにメンタルケアが必要なのは事実。だから、流石に彼女に精神負荷が掛かる形での邪魔はしないだろう。後で散々シュライク・バースディに対してのみに文句それなりに言われるだろうけれど。そう言う事情無しの状況無しの状況よりかはましな対応に成るはず。……メンタルケアが必要な場面でのキスの要求とかメンタルケアの観点からすれば断れない事だろうしな。と、主張が出来はするだろうし。それは個人の裁量の程度の部分の話だからどうなるかは知らんがね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。