第8話

 私はケールハイト・スプリングス。今はとある力で、パルラス・アテーネーの力を行使しているわ。世界を城塞都市に例えれば防衛には適しているでしょう。勝利の女神でもある訳だし。とは言え、何でもかんでも効く勝利の能力が有るかと言われると完全なそれでは無いわね。例えるなら、そう、水掛け論的判定がされる際に必ず此方が勝つ扱いに成ると言う物、よ。システム的判定の一部分を掌握しているだけでは有るけど、スペックゴリ押し系の奴や只の脳筋とかを相手にするにはこれで十分よね。そして今の相手は水掛け論的に対象者をエネルギーで別の物に再定義する物。そのエネルギーの効果に対して水掛け論的に勝利すれば効かないと言う訳。さて、犯人を捜しましょうか。そして程なくして見つかり、特に特筆すべき事も無く、倒した。……いや、『データインストール』とか言って居たわね。私には何も無かったけど。其処が地下だったので、地上に出ると……その言葉の意味を理解した。……何と言うか、これをゲームで例えれば、プレイするゲームの使用するセーブデータの切り替え。結果的に一部の人達以外、最悪な記憶を植え付けられていた。……例えるなら、最早同人誌的なレベルでそのデータを創った奴に都合の良い記憶と環境に成りはてていた。……シュライク・バースディが力を行使するたびにその事実は消え失せて行って居たけど。


「……なにやらかしているかね、ケールハイト代表?」

「水霧?う、あ、その、これは私には何も無かったから対応が遅れたと言うか、何と言うか」

「……自分だけ無敵的な能力とか他者対象能力迄はカバーして無いと言う奴か」

「多分そうだと思うけど……でも私だけと言う訳では無い奴だったはずなのだけど」

「……それがどうであれ、これをまともに受けていない様で何より……まあ今回の相手の最後っ屁ならまともに受けていたらヤバイ内容の物を受ける事に成っていた所だしな。……さて、次は何が来るか。目的的に此方の戦力の弱体化兼複製と、この世界を占領する為のアレコレのための能力だとして、それが失敗して居る訳だしな……このまま終わるなら良いが、どうだろうかね……占領のための手段が戦闘では無く、要約すれば能力でそうなった後の状況にする系能力とか……戦う上での勝敗とか関係無い訳だし、本当に酷いわな。……『此方はシステム握っているのだから大抵の能力は楽勝なはずなのに、何、これは。本当に』」

『システムと言うか偵察を飛ばしてから、それで得た情報を元に此方の世界に入る前に他の世界で過去に戻り、過去のこの世界に干渉する。その結果的に世界の時間戻し。これは他の世界が有れば十分有り得るし、……システムをゲーム的な物だと定義すれば、それでやりたい事や行われている物自体はありふれているけど』

『……はぁ……情報を整理しておこう。……ええと、情報を世界に上乗せして世界がそれを元に別物に変わる。但し、死亡者は無い事から過去改編では無い。……そうでないと多分此方も死んで居るはずだしな』

『その時は何のことか解らなかったけど、データインストールとか言って居たし、多分奴に対して都合の良い記憶を世界に与えただけじゃ無いかしら?それでそれに応じて世界が変化した、と』

『ゲーム的に言えば、セーブデータの移植、か。特定内容の記憶の植え付け能力と考えるとやれなくは無いのか?問題はそれが世界に対しても行えた事だが』

『要は空間も対象にした記憶の植え付け。それをゲームログ移植と例えれば普通では無いかしら?』

『……うへぇ……過去改編では無いから要は記憶が与えられただけ。……ならそれでそれを即座に追体験なんてする訳じゃ無いだろうしな。捏造記憶を追体験させる能力では無くて良かったよ。……まあ占領目的の行使なのだろうから、その結果は即座に来るが』

『消せて良かったわね。そして私はそれを受けなくて良かったわ。例えばそれを受けていたらリョナとか、……その、あれとか、されてそうだし』

『……それをもし仮にされて居たとしても、どうせそれは無かった事に成ることだ。起きて直ぐ忘れる悪夢を見たと思えば良い。どうせそれの原因も倒せているのだし』

『……ああそうだ。そう言うのをされたから代わりに貴方が何かしてくれても良いわよ』

『……されて無いって言っただろうが。……それにアーバーンにどやされる……と言うかまだ懲りてないのか?アーバーンになんかされた訳じゃないのか?』

『要は他にも可能な事にそう言う意味を持たせるから駄目なのよ。他の奴には不可能な事にそう言う意味を持たせて、他の行為のそう言う意味を否定すれば良いわ』

『……それは大量に存在する物の奴の化身系の奴には基本的な考え方では有るが……何をやる気だ?今はそんなことやっている暇なんて無いだろうが』

『……いい加減受け入れれば良いのに』

『……さて、他の事を進めよう』

『こら、話を逸らさない』

『……アーバーンにぶん殴られるので勘弁してください』

『……はぁ……要はそれさえどうにかすれば良いのね?』

『……いやおいまさか』

『こちとら伊達に国の代表者やって居ないのよ。国として重婚認める様にするわ。まあ連合国的な意味で既にそれをやっている奴は居るのだろうけど』

『……それをやるにしてもアーバーンを納得させてからにしろ。流石にアレ過ぎるから』

『否定はしないのね。なら話を進めるけど、良い?』

『……肯定もして無いだろ』

『流石に水霧がヘタレなのはもう解っていますから。嫌なら否定してください。はっきりと、明確に。そしたら今は止めましょうか』

『……言っても諦めないのじゃ、言う意味が無いじゃ無いか。只、言質を取りたいだけだろ』

『……はぁ……此処で明確に拒絶出来ないのにこの人は……』

『…………好意を寄せられる事自体は嬉しいけど、アーバーンと融合迄している状況で俺がそう言う話を一存で決められる話じゃ無いからさ』

『……結局はそれよね。あの女と折り合い付けなきゃ、とてもじゃないがアレよね……』

『話を戻すぞ。此方はシステムを握って居るのだから通常の能力は度外視出来る……が』

『……はぁ……それについてはそうだからこそシステムデータ自体に干渉する奴をぶつけられたと言うだけよ。……要するに相手方にしてみれば幾ら此方に俺ツエーとかされてもまともに戦う気自体がそもそも無いのでしょう。そしてまともに戦争を行うつもりもない……故に次に相手方が友好的手段や融和政策的な物を打ち出してきても驚かないわ。まともに戦う気が無い相手とまともに戦わなければ成らなくなった訳だし』

『……今なら一部の暴走と言う話を主張出来るし、それはそうかもしれないが……その暴走内容的に此方側が対策を出来なきゃ十分すぎる程に詰めに掛かっている内容な訳だが』

『でも実際に世界総がかりでない以上、それを論破する材料も無いわね。死人に口なし的に責任を此方が殺した奴に被せて来るかも』

『形ばかりの友好条約結ぶとか勘弁なのだが?相手方は侵略する気満々なのだからな』

『相手は此方とまともに戦う気は無くて、でも勝った状況にする能力でそう言う事にして、色々と利益を得たい。……この理屈を行使するとか相手が幾ら格上でも実力は此方が相手方に確実に損害を与えられない程度には隔絶はしていないはず……そうでも無ければその能力を行使するまでも無いはず』

『まあ普通にやって損害無しで勝てるならそんな能力なんて使うまでも無い……と言うのは分かるが、手間の省略の可能性も有るぞ』

『世界間戦争をやる手間が面倒……?それはそうでしょうけど、世界中を改編するレベルの力が本当に有るなら、他の世界なんて関係無しに、そもそも自分の世界を自分に都合良く改編すれば良いだけじゃ無いかしら。足りない物を世界改編で創れば良いのだし』

『……それな。それを行使する世界其の物のスペックで足りない事がやりたいから、素材収集感覚で来るのかもしれないが』

『つまり、好き勝手やる上でのリソース源補充が侵攻理由?……流石に酷いわね』

『その理屈だとそもそも絶対は此方を倒す必要は無いのじゃ無いか』

『……でも、世界のリソースを奪うってどうやるのかしら?世界のリソースを奪う上で仮に世界間接続とか、融合とかをするなら、私達を処理してからじゃ無いと邪魔される可能性も有るわよね』

『此方を倒すのは絶対目標では無く、あくまでも努力目標と言う事か?ならこうして話している暇は、いや、それをする為の手法が解らない以上は、何をすれば対策に成るのやら』

『この世界の奴を処理してからじゃ無いと、致命的な邪魔が入る可能性が無視出来ない程度に有ると判断される方法……と言う以外のヒントは無いわね』

『なら隠蔽が難しい方法と言う事か?例えばとてもでかい装置を使う上に時間が掛かるとか。世界のリソースを奪うと言う寄り、星其の物のエネルギーなら、星のエネルギーが集まる場所とは何処だ?地核か?地脈か?龍脈か?……何と言うか、もしそれのエネルギーを得たいと言うなら、敵方は酷いことに成るな。うん、間違い無い。いずれにせよそれらの化身系の奴が居るのだから、エネルギーの補充で、そう言うエネルギーを他のエネルギーと混ぜるなんてしたら逆にそいつらに乗っ取られるまで有る。そいつらに話を付けに行くか』

『そう言えばそう言う奴らが居たわね。結果的に化身系に餌をあげる形に成るなんて流石に相手方には予想されて無いでしょうけど』

『予想していたらそもそもやらないよ。普通に考えて自作の精密機械に敵対者の自由意思を宿らせるなんてアレ過ぎる……今回の場合わざわざエネルギーの完全隔離を常時行って居ないと他のエネルギーが食われるけど、そうしていたらそもそもエネルギー資源を奪い自分で自由に使うのは無理だし、奪い単に廃棄するためのパターンは今回には当てはまらない。いや、状況的に当てはまる理由がないし、当てはまるなら当てはまるで廃棄するなら化身系の意思が有る以上元に戻るだろうし。廃棄するパターンも使われるパターンも相手方には都合の悪いことにしかならないだろう。今の開示情報から考えるにはだが、エネルギーに化身系の意思が宿る事は前提として考慮されてないのでなければやる意味無い事やっているよ、相手方は』

『……ならそちらに連絡を入れるの自体止めましょう。此方がそれをする事で気付かれてもアレなのだし、暫くの間何も無ければ行くと言う事で良いでしょう。……それで問題有るなら彼方から干渉して来るわよ。……地脈の化身とは出来る限り話したくも無いけど』

『……お前、あの件まだアレなのか?そりゃアレは嫌がるのは分かるが、ああしてくる理由もちゃんと有る状況での話で、それを最初に彼方が自分から持ち出してきた訳じゃ無いのだから勘弁してやれよ』

『……あれをそういう意味でないとしろと水神には言い含められた以上、あの件にはもう嫌悪感しか残って無いのよ』

『…………一定以上多い物の化身系の存在は特定行為の価値を認める範囲が狭く成るのは生命の成り立ち上必然だから。そうしないと、精神衛生上色々とアレだから』

『長々と話しているけど、来ないわね。これで終わりかしら?』

『エネルギー資源強奪狙いならこちらに来る意味無いから何も無いだけかもしれないが、……撤退用のエネルギー迄食われていたら良いのだがね』


 其処にシュライク・バースディからテレパスが来る。


『なんか力で消せない建築物が勝手に創られていたのでゴーレムに偵察で調査をさせたら、ゴーレムの駆動エネルギー盗られて機能停止してしまったのだが、どうしようか』

『……ああ、そう言う。世界に情報を加えて色々と改編したのはそれの建てる事のカモフラージュだった訳か。……一先ずシステムでそれを壊せるか試みるから少し待ってくれ』

『じゃあ頼むよ、水霧』


 そして作業を開始しつつ会話をする。


『……エネルギー強奪用の巨大建築物を瞬間的に創る……何かしらね。敵方の能力が盛られるのは別に良いけど……盛られれば盛られるほど、そもそもそんな真似が出来るなら、わざわざこんな事やる必要無くない?問題はアレなのよね』

『まあ確かに、何でもかんでも自由にやれて、出来る奴が侵略戦争なんて資源とか土地とか奴隷確保とか通常の侵略戦争で求められる物が私怨以外で大義有る侵略戦争をやる根拠として成立しない気がするのは確かだな。大抵全部自前で用意出来るはずだから。……私怨とかやる事に別に理由が有るなら話は別にしてもさ……と、破壊完了、と。……これは運営側が好き勝手にゲーム内世界に干渉しているゲームの様な話だけど、ゲームの審査機関とか出て来るなら、そもそも今回の発端の奴を即座に取り締まって居るべきなのに放置したし、此方だけ取り締まるのは流石にふざけているだろ』

『処理落ちがそう言う機関の介入で無ければそうでしょうけど……今回の場合それで此方を取り締まればその機関側が更に困る可能性も有るわよね。主に敵方側の目的的に』

『……つまりそう言うのが居たとしても今回は此方に対しては度外視で良い訳だ』

『隣の芝生は青い的な意味で欲しがる人は居そうだけど』

『幾らでもどんな奴でも創れる状況で敢えて他の奴が創る奴が欲しいとか、よっぽど自分の創る奴に価値無しとか思っているのかね。私怨とかで相手から奪いたいだけの場合は除くにしても』

『他の人に盗られるのが嫌なら先に全部食べちゃえば良いのに』

『……ゴホン。ここは本来ならそんな事言うのじゃ無いよと怒る所なのだが、言い寄って来ている所での文言だしな。はぁ。なら俺は別の場所に移動するから。残った水は好きにしろ』

『ああ、つまり、水神への言逃れ用に私が勝手にやった事だとしたい訳ね。じゃあお願い』


 そして水霧はその場にあった水の制御を手放し、別所へと移動した。そして水を容器に入れ、思う。この水は水霧だった物から離れた物。水分系縛りでそれを解釈するならば、涙や汗や血液や精液や黄金水とか。飲むなり浴びるなり塗るなり何なりとしたらヤバイ代物ね。それを敢えて好きにしろと言ったのだからまあ、飲むわよ。あくまでも定義的にはそうだと言うだけだけど。そして一通りの事をやって他の場所の様子を見に行く事にした。



 ……あくまでもアレは只の水だ。付加価値が付いては居るが、只の水。だから、そう言う意味の物では無い。そう自分に言い聞かせた。そうでも無いと抑えられなくなりそうだったから、ね……。状況的には、今そう言う事をちゃんとしたら創作だと死亡フラグに成りかねないのだし。……しかし暫く待って見ても本当に何も無いななら先の奴らは本当に一部だけの暴走の結果か?……うーむ。……っていや、そう言えば外部調査まだ全部は出来てないじゃ無いか。そちらを早く済まそう。そして調査のためにシステムを制御するのだった。……正直、水云々は特殊性癖だとは思う。前提の条件上で無いのなら、そうとしか言えない内容なのだし。……まあ、前提条件付きでしか認め無い事にしないとアレだしな。さて、世界の外は化物共が溢れているか?それとも先の能力に好き勝手にされた結果の世界が有るのか?それとも他の何か、か……対処し無いと不味い物では有ると思うが。……仮に犯人だけに都合の良いだけの世界とか構築されていたら吐き気を催す邪悪を見ている気分に成る気がするが、リソース不足が侵攻理由なら、ヤバイ奴が創られていても可笑しくない訳だしな……。犯人にだけ都合の良い世界……。それで自分がその犯人の立場に立てるなら良いと思う奴もそれなりに出るだろう。物理的に不可能でも無ければ大抵の欲望は叶えられるのだから、さ。……でも、だ。少なくともこの世界では、いや、召喚システムではそれは存在してはいけない。それがもしも簡単に可能で有りならば、その犯人側では無く、被害者側の立場に簡単にされてしまうからだ。そんな事は考えなくて良い。どうせ俺は犯人側にしか成らないからな?……そうであれば良いね。本当に。それなら大抵の欲望は自由に満たせるだろうから。……高性能なだけの操り人形との恋愛が好きなら、ね。いや、別にサイボーグとか、ロボットとかを批判する意図は無い。アレな例えをすれば、重度な脅迫をして、いやいや彼女役やっている奴との強制的な形だけの恋愛を有りとするのは流石に違うと思うと言うだけ。何でもかんでも自由に創れるなら、自分を好いてくれる奴を大量に造ればお手軽ハーレムの完成とかも簡単に出来てしまうのだろうけれど。


『あら、自分の意志での行動で無ければ意味が無いと言うの?本当に?ドラマとか劇とか全否定の発言よ、それは』

『……フラワシ、か。最近全然介入してこなかったくせにこんな時には介入して来るのか』

『それが自分の意志での行動で無ければどんな行動も意味は皆無だと、本当に思う?そう思える?そう言える?』

『…………そう言いたい。そう言えない様なケースはそれなりに有るけれど。それでも俺は言わされただけの物は否定したい。其処に前提として自由意志が有る事を大事にしたい。そうでも無いと、多分きっと、催眠術とか、魅了とかの、対象者の意思を捻じ曲げ、行動させる系の奴を全般認める事に成るから。後は調査があと少しで終わるからその後にしてくれ』

『調査しなくても解るわよ。だから出張って来たのに』

『……森羅万象に宿る能力的にそりゃあそうだろうけど、基本的に此方に協力して来ないじゃ無いか。とてもじゃ無いが頭数には入れられないだろ』

『まあ、それは良いから説明するわ』


 そしてフラワシは語り始めた。



『私が知る限りだと、仮にこの世界が空を飛ぶ方舟だと定義すると、周りは大空で、この世界はファイヤーウォールに守られていた。でも、先の戦いでファイヤーウォールが一時的に壊れた。此処迄は良い?』

『ああ、それに気付いた奴が侵攻して来て、それを撃退したのが今の状況だ。それで?』

『周りの大空には生物が飛んでいるの。でも、それは原生生物だけではないわ』

『誰かが其処にそう言うのを放った奴が居ると?』

『正確にはある奴が世界創造をやろうとした結果の失敗の産物が世界と迄は行かずに生命を得て逃げた奴。そいつらは最低限が界相応の存在ね。つまり、簡易的なシステム持ち』

『はぁ?インフレが酷過ぎるだろ、そんなの』

『ある強い奴が世界や強い味方を大量に造ろうとした結果の失敗作群だから、自然とそうなるわ。定義的には廃棄物か又は脱走者だから、個体の強さは当たりはずれが大きいけど』

『……宇宙にゴミを捨てる感覚でそのレベルの奴を捨てるのか……それで原生生物は?』

『外なる神とか相応の存在が出て来ても可笑しくないとだけ言えば解る?』

『なんでだ。ふざけんな』

『強く成り過ぎた結果、居る世界がそいつに耐えられなく成って世界側が壊れた結果、世界の外側に居るパターンも有るから』

『つまりは、ゲームで言うなら、容量オーバーで世界内に居られない的な奴が普通に居られる場所に成るので、そう言う場所を探索したいなら其処にはそう言う奴が居ても可笑しくない、と……。極力戦闘に成らないようにしないと不味すぎるか』

『相手が此方に来るための移動のための道具やゲートとか何かが有るならそれを壊せばだいぶ楽になると思うけど、絶対じゃ無いと思う』

『ふむ……』

『なんか解ってなさそうだから言うけど、世界の容量オーバーで外部に居る様な奴がこの世界に来たら、戦わずともそれだけで世界滅亡検案だからね。世界の容量オーバーが強制的に起こる的な意味で』

『……フラワシ……只居るだけで世界を壊すとかもう滅茶苦茶だな』

『その様な滅茶苦茶をやれたから外部に居る奴も居るのだもの。だからそう言う奴と戦う事に成ったらこの世界に逃げるなんてしないでね。冗談抜きで世界が滅亡しかねないから』

『……解った。だが戦わなければ成らない展開に成る事も有るだろうと思うのだが』

『その時は仕方無いけど、先の話での扱いでの脱走者の奴らは極力殺せる場面に成っても殺さない事……そいつらを創った奴の敵意を引いたらヤバイ事になるし』

『……極力戦闘の回避を推奨で、戦う場合も殺害は非推奨……ゲーム的に言えば基本的には回避前提のギミックみたいな物か。面倒な。まだ上が有るとか青天井過ぎて逆に笑える……だが疑問なのだが何故、システム所有をして居るのが前提なのか』

『水霧、それは他の能力の奴が居ない訳じゃ無くて、他は簡単に他に処理されて居るだけね』

『システム所有者なのが前提?攻めてきたのがシステムハックして来たのと合わせて考えると、システムを所有して居ると言う事が、一種の防壁に成って居るとか?』

『その理屈で言うなら、世界の外ではシステムを使っての相手の強さの前提崩しが基本装備的に運用されて居る事に成るけど』

『何だろう。いやまあ、まともに戦うとアレな設定の羅列合戦の回答がそれなのは本末転倒な気もするのだが、要は勝敗判定を担う部分が通常とは違うと言う戦闘だと言うだけの事か。と言う事は攻める事は上側の奴と事を構えるならシステム持ち以外簡単に迎撃される的な意味で無理だな……代わりに守るのは簡単だが、それをされて初めてそれのアドバンテージが消える。いや、それをすると有利に成るとか言う話では無く、それで初めて前提的にはイーブンという意味で』

『はは……それをされて初めてまともな設定勝負が成立する……ですか。……でも前提的にそうされたら多分負ける相手も結構居るから』

『フラワシ……俺はまだ世界のシステムをある程度自由に操れると言うだけだからな。だと言うのに、相手の方は失敗作とは言え世界其の物を何個も創るような奴も居る訳だろ?まともなステータス勝負じゃ無くて、別基準が前提に有る勝負が横行しているならば、まだやりようが有る。通常通りの戦闘でなら負ける相手にも勝ち筋が有る様に出来るし』

『でもそれは貴方が用意したルールでは無い事を忘れずに』

『……これは手厳しい。そうだよな。これは他人が用意したルールだ。……システム介入でシステムを破壊するからシステム依存の能力は無意味だと言う事を相手に押し付けた上で、それを押し付ける為の力でぶつかり合うのを強要している。そう言うルール。つまり、そうする為の行程をその該当能力以外で凌駕出来ればその根底が崩れる……が、それの問題はそれをやってまともに戦うとしたら相手側の方が結局は強い可能性が高い事だ』

『それはあくまでもまだ推測ね。確定情報な様に話してもアレなのだし』

『それな』


 其処にアーバーンが来ると呆れていた。


『認識ズレ過ぎよ、二人共。世界の外の空間を幅広く牛耳っている様な奴が此方より格下だったら他の世界の奴には強さでは何も期待出来なくなるわよ?何かしらそいつより格上の奴がそいつに手を出さない理由や、理屈が無い限り、ゲームならラスボスでも良い立ち位置の奴より弱いから自分は弱いとか言い出すのはアレ過ぎるわよ。……まあ世界を自由に創れるような奴なら自分がその世界内に居ても問題無い世界を創れて、故に干渉する必要が無いとかの可能性は大いにあるけど』


 其処で俺は有る事に気付く。


『そう言えば此方が一定以上強く成れたならば、そいつと戦う事に成る可能性高くないか?主にこの世界に居られなくなる的な意味で、その環境に入らなければ成らない的な意味で、ずっと不殺を貫くのも無理が有るのだし』

『でもだからと強く成らないと言う選択肢は無しね。向こうから来る可能性は既に示されているし、その条件で戦うならそれなりの力を此方も持てて居るはずだから、どうせ戦うなら強くなっていた方がマシで良いはずなのだし』

『アーバーン、あのさ、この世界の其の物の強化とか出来ないかな。出来たらわざわざその環境に長々と居座る必要は無くなるし』

『そうする場合、この世界が誰かに創られた物なら、その創り主に完成品を献上しているのと変わらないと思うけど』

『要は自分で世界を創れと言う事か?』

『そのレベルの奴と敵対するなら最終的にはそれが出来ないと不味いと思うわ』

『……なんかな。前提的に幾つかの世界を相手取り牛耳って居る様な奴が此方より弱いとかでも良いじゃ無いかよ。俺ツエー的な作品だとそんなのドテンプレだろ?』

『そんなの世界がファイヤーウォールで隠蔽されていた時点で有り得無いわよ……全世界同時に召喚システムが実装されたのでも無ければ、だけど』

『……さて、此処に攻めに来たのがそう言う奴と無関係な個体なら良いのだが』

『流石にそれは楽観し過ぎとは思うけど、どういうパターンの世界か?と言うのが掴まれるまでは問題無いのじゃ無いかしら。……侵攻する意思が有っても格上が居る世界も混在する状況だろうからこそ、無差別侵攻なんて真似をしないのでしょうし』

『……何か?つまり、此処で仮に全勢力総当たり侵攻やり返した結果、此方の実力を図られでもして、それで勝てると思われたら不味いと言う事か?』

『何もしなくても彼方が調査を終えればそうしてようがしてなかろうが関係無い訳だけど』

『なら全力で問題無いな。相手側が格上で有れば有るほどどうせそれで得られる時間なんて僅かな物だろうし』

『問題は何処に仕掛けるかだけど、フラワシ、手頃な相手は居ない?』

『最低限簡易的にとは言え、システム持ち相手に対策無しで行くのはアレなのでは無い?』

『フラワシ、なら、どうする?』

『今から出来る限りの鍛錬をして、次に攻めて来た奴の情報を抜き、それで判断。と言うのはどう?』

『解った。じゃあそうしよう。……だが、その鍛錬の結果、世界内に居られなくなったらどうするかだが』

『化身系の能力の前提的に問題無い気もするけど、一部分だけ内部に入る程度ならその状態でも問題無くない?』

『どうなのだろうな。まあ成ってみたら解るか』


 そして警戒をしつつ鍛錬を行う事に成った。……どうせ来るならそんなに大きいことやる時間迄はなさそうだし。それに世界獲得の為に侵略して来るなら世界が壊れないように調整して来るだろうし現状であろうとも戦えるはずなのだよな。同じ領域やスケールに相手が降りて来る的な意味で。

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