第7話

 おかしい。辺りの景色が数ヶ月前に戻って居る様に見えるし、存在しなかったはずの万能神とやらが世界に幅を利かせて居るらしい。他の神格個体が大抵なにかしら劣化して居る様だ。だが、俺、つまり、シュライク・バースディの力と記憶はそのままだ。明らかにおかしい。が、原因が解らない。……いや、違う召喚システムは基本的に早い者勝ちだ。ならば他の大勢の神格個体のレシピを完全に割った上で、時間を召喚システムが出来た当初に戻してその時点で他の奴が神格個体に成る奴を創る前に創ってしまえば神格個体の力を総取り出来ると考え、実行したのだろう。丁度他の世界に繋がったタイミングだったしこの世界でタイムマシンが可能かどうかは度外視して良いのだろう。……だが、しかし、何と言うか、俺にはそう言うのを潰す能力が有る……結果、俺とテラがその効果から逃れ、元の能力のままで今の状況に成った訳だろう。つまり、パラドクスクリーナーを世界中に満たせばこの状況を元の状態に戻せるはず。……一先ず神格個体扱いに成るはずだった奴らを探して一気にそいつらを元の実力に戻そう。そうすれば後は何とかなるだろう。でも時間戻しなんて実際可能なのだろうか?タイムパラドクスとか起きまくるだろうが。主に問題を解決する事をしている系の神格個体なんて、縛りプレイでそれを攻略出来てないと失敗してそうだし。恐らく今回の場合の前提に有るのは、他の世界が有ると言う事と、其処からの侵攻と言う事。侵攻して来る奴なら時間を巻き戻せる?それがこの世界で通用する理屈は何だ?……一先ず他と話し合ってからでも遅くないか。

 そしてかなりの数の神格個体を元の状態に戻して、万能神の力を削いだ。まあ、時間戻しで同じ内容の設定を利用して居るなら神格個体が元に戻れば力も弱体化するわな。そして状況を伝える事にした。


『要するに思考の前提は他にも世界が有る事。……そして世界を渡るのは問題無い奴らが相手だと言う事。時間を渡るのに問題無く出来るような特殊な世界が有ったり、世界を渡る際に渡る世界の時間を選べたりするなら可能だろうよ。それに結局はシステムが処理落ちするレベル迄、現象をぶち込めば良いだけだろう』

『……何と言うか、そう上手く行きますかね?流石に対策して居るはずでは?戻る前の時間から言えば至近の事件ですし』

『此方の創った力は関係無しに、此方に簡単に勝てる実力が有るなら、此方の能力なんてそもそも奪い、それを喧伝し着飾るものか。それよりも強い力を持つならばだが』

『例えばコレクション気質とかはどうなのですか?』

『コレクションだけが目的なら自分の世界にさっさと帰った方が無難だろ?だから、この世界の奴らに勝ちたいとか支配下に置きたいとかの気持ちも有るだろうさ。わざわざ盗品でそれをやるとか、自分の本来の実力じゃ無理だからなのじゃ無いか?』

『相手の土俵に立って戦うタイプの舐めプの可能性も有るのでは?』

『格上が舐めプをして来るとか、勝つ可能性増えるだけだし、別に。……何と言うか、まあ、世界最強無敵単独トップの能力とか、無くて良かったな。有ったらそれを奪われてその力を使われるだけで、全員やられる状況が成立するのだし』

『……はは……何と言うかそれは酷いですね。まあそれは世界最強無敵単独トップの奴が負けた状況なので、ガンメタで他には効かない手法で倒したのでも無ければ、そうなるには能力を奪うとかもう関係無い気もしますが』

『気掛かりなのはどうやって全部の能力の情報を割ったかだ。その能力に関しては此方からの盗品じゃ無いはずだろう……が、考えている暇は無いか、流石に来るか』



 そして万能神が攻撃を仕掛けてきた。……自在に動く歯車が大量に襲い掛かって来た、と言うべきか。一つ一つを対処するのは簡単だが、流石に数が多過ぎる。分身を創れている数が異常だ。そして壊したそれらは再び組み上がって行く。それは妨害を物ともせず巨大な機械の獣を創り上げる。……それらの前提には此方の力も有るのだろう。


「デウスエクスマキナ。即ち、機械仕掛けの神、か」


 攻撃を仕掛ける。そいつは簡単な一撃を放ち、此方の攻撃を破壊した。……見る限りだと明らかに相手側の方の威力が足りていないはずなのに、だ。判定基準改編?なら、まともに受ければ死ぬ。幾ら此方が強かろうが関係無い。只単に相手が勝って居る事にされる。回避を皆が行い、地面にそれを直撃させると……それが起こした結果的に威力はまるで雑魚技の如くだ。……単純に此方が避ける事を完全に読み切って居ただけか?いや、しかし……ええい、理屈が分からないと雑魚技を即死相応攻撃として扱わないと不味いとかまじかよ。


『……ネタ晴らしはしたくないのですが、相手に使われる以上、そう言ってはられませんね。あれは恐らくは何か二つ以上の物がぶつかり合う際に強い側のスペックを自分側の物として処理する能力です。つまり、相手側が自分のそれを上回って居れば居るほど、上回っている分だけ逆に此方が上回って居る事にする能力。故にそれを行う攻撃は雑魚技で問題無い。対処としては、その攻撃よりも弱い技を当てまくるか、ほぼ同等の威力の攻撃を当てる事で対処は可能です』

『……つまり、攻防に関する事への計算式介入かよ、……あー、めんどい』


 つまり、相手が此方を上回って居れば居るほどその分だけ相手を上回る能力。力押しでの攻略は不可能な処か、むしろゴリ押し攻略は負け筋だな、これ。相手より自分が格下であればあるだけ、それ自体が勝因に成る。格上狩り用能力と言うには悪辣過ぎる。要は此方も雑魚技を撃てば良い。それだけの話では有る。有るのだが、……だからこその歯車の雑魚個体の大量発生。そいつらの役目は雑魚技へのチャフだろう。


『相手より雑魚な技でひたすらに敵を削り続けろ。但し、敵の雑魚の大量発生もセットでな。……クソゲー乙』

『要は雑魚技を連打するのが出来れば雑魚散らしは難しくない。但し能力の前提条件上で、相手が雑魚故に一撃確殺は出来ないが』

『流石に本体はそこまで条件酷くは無いだろ。当たれば確殺攻撃に成り得るのは、能力では相手より弱い時だけ……そうじゃ無い時は普通にゴリ押せるだろうが』

『確かにそうだな。本体の能力発動条件はそこまで酷くは無いだろ。能力封じられたら手も足も出ませんなんて成ったらアレだから必要最低限の力は有るはず。その結果能力の対象範囲が狭まって居る訳で……だからこそそれを補う為に雑魚の大量生成をしてその能力を付与しているのがセットな訳だろうが』

『結論としては雑魚技の飽和攻撃をやり続ければメタを張れる訳だが……前提条件上では相手は全然コスト掛かってないからな。長期戦に成るとMP切れが怖いな。本来なら大技一発で終わる所を小技連打で対処しようと言う話だし』

『相手の攻撃には絶対触れるな。雑魚技で雑魚を倒しまくれ。……何と言うか、一撃受けると死亡な盤面一掃機能無しの弾幕ゲーかよ……』

『それよりもオワタ式かも知れないが、まだ凌ぐだけなら出来る。威力の見分けがアレだが……げっ、高エネルギー反応だ。範囲攻撃が来そうだな。逃げるぞ。もしくは結界を大量に張れぇっ』


 そしてデウスエクスマキナから巨大なビームが辺り一面に放たれた。……相手の攻撃よりは劣る性能の防御でなければ、補正が発動する。……それならそう言う性能の結界を多重に張り、最終的に此方に届かなければ良い。か。……何と言うか、相手にある程度攻撃も、防御も破られる前提で戦わなければ成らない。……物理的に殴るのは止めた方が良さそうだが、……何と言うか、相手は雑魚技で良いから攻撃が当たりさえすれば此方に大ダメージを与えられる。能力の性質上それは見た目上はあくまでも雑魚技でしか無いし、コスト的にもそうだろう。此方は相手の攻撃の威力を見極めつつ、それの性能の対処に適した攻撃か防御か回避を行わなければ成らない。……いや、高威力技に対してならやる奴はそれなりに居るだろうが、……これは敵の全ての攻撃や防御にその解析が必要だ。過剰火力をぶつける事や過剰防御を行えばその過剰分が此方にそのまま襲い掛かって来る。……何と言うか、威力解析が常時有りでのターン制バトルなら戦闘ルール次第で簡単に対処出来そうでは有るのだが、これはそうじゃ無いからな。うがー。様々な威力に応じて適度な手抜きをひたすらしながら戦え、とか、別に接待をやっている訳じゃ無いのに……。


『単純に同内容の能力で戦うから対抗できる。とか、あまり好きじゃないですが、この話は、此方の陣営も持って居る能力な上、相手側の能力は前提の仕組み上此方の劣化版です。……つまり、同じ能力をぶつければいいだけです……が、上手く行きませんね……。恐らくは他の能力とのシナジー効果か何かでしょうか』

『……此方の力のネタ割るのと何か関係有るのか?』

『解りませんが、一先ず勝負を長引かせてはじり貧ですから、速く飽和攻撃を仕掛けますよ』


 そして皆で飽和攻撃を仕掛ける……と、それらは別所へと、此方の力を無視して散らされた。……飽和攻撃を散らす効果の能力?……何と言うか、まあ、ですよねー。としか思わない。やっぱり処理落ち対策能力が有る様だ。……何と言うか、大ダメージに成る攻撃を低コストで撃ちまくり、デコイやチャフとして雑魚を大量召喚し、処理落ち対策に飽和攻撃を飽和じゃない状態にする能力迄付いて来る。……計算式介入とか本当に酷いよな。……飽和攻撃を散らす効果の能力とは理屈は何だろう?あくまでもシステムの力でそんな真似が可能なのは?……あ、これは情報散らしじゃないな、これは要するに該当のファイルへの情報の自動振り分け機能だな……何と言うか、それで、許容範囲外の攻撃を他に散らして居る、と言う奴。それさえ潰せば良いのだが、本来それで飽和状態に成るレベルの状態でそれをやっても、散らされる的な意味で意味が無い。だからと言って此方の攻撃を緩めたら相手の攻撃の余裕が増えるし……。……いや、敢えてそれでも試してみようか。あわよくば相手のエネルギー切れも狙えるかもだしな。そしてそれを皆にテレパスで話す。そしてこのままでもアレだからやってみようと言う話に成った。そしてそれを試してみた所、……其処に居た全員がデウスエクスマキナに対して何も干渉出来なく成った。……何と言うか、要はブラックリスト入りだろうか?そうなったので、邪魔される事無く世界中の主要な奴らをパラドクスクリーナーで元の状態に戻した。……そしたらブラックリスト化が解除された。……何と言うか、ブラックリストに入れられたら相互干渉が出来ないと言うのは良く有る話だろうけど、それにより、此方と戦う事自体を有り得無くさせようとしたら、パラドクスクリーナーで他の奴が解放されまくった、と。……何と言うか、まあ、デウスエクスマキナ側にそれが有るならば、先の戦闘でシュライク・バースディに対して集中砲火して居るべきだが、そうしなかったからな。恐らく、一部の神格個体だけに一度目は使った結果、実力で効果から逃れただけだと思われて居た様だ。で、そいつら全員を此方に干渉出来なくすれば安泰だと思ったと。でも今回の事でそうでないのがばれたから慌てて介入して来た、と。さて、アレな事に成ったが、再戦と行こうか。



 パラドクスクリーナーは相手には盗られて居ない……と言うよりも、俺の能力を前提条件上奪うのに失敗しているので内容を知らなかった、と言う事なら納得出来る話では有る。そうでなければ俺を全力で潰さないとアレだからな……最悪逃げ切り、さらに前の時間に戻り其処でやり直せば状況をリセットが出来る可能性も有る訳だし、本当はそうするつもりで逃げたが、それがパラドクスクリーナーで出来ない状況にでも成ったのかね?……いや、今回の場合、元の状況に戻せる能力持ちが相手に居る限り、多少前の時間に戻って再戦しても、似た状況に成る可能性が高いから、あまり意味無いか。そりゃあ再戦しないと不味いわな……。すると突然ある程度前に戻った。結局使うのか。まあ、元に戻せるけども。そして元の状態に戻す。するとまた先の状態に戻される。セーブとロードの所有エネルギー切れ狙いのチキンレースか?いや、それで仮にギリギリ迄使い切って勝てても、その後の戦闘で勝てないからな、それ……いや、流石に違ったか、原因解明の為に敢えて何回も使って来ただけか。……さて、問題なのは此処からだな。原因が割れた以上、実質戻された直後はほぼ単独でデウスエクスマキナを凌がなければ成らない訳で、しかも相手からすれば此方さえ倒せば他の奴らはひたすらリトライして倒せば良いと考えるなら、俺が倒されたら他の全体がヤバイ訳だ。此処からが正念場だな。超大人数用のレイドボスを実質一人で倒せ、だ。



 パラドクスクリーナーは要するに、正史を正史にするための能力で有って、自分に都合の良いIFの歴史を正史にするための能力では無い。……つまり、やり直し系などのありとあらゆる全般の手段を潰せて封じられる代わりに、自分もそれらの恩恵を受けられない訳だ。それは逆に言えばそう言うのを使わなければ覆せない状況に成ったらこの力は邪魔に成る。だから、これを使える奴は少なくて良い。他の奴に何とかして貰った上でその関連に此方の力を使わないようにすれば良いだけだからだ。……他力本願?……ある程度の数の神格個体でレイドするような相手に単独生存をし続けるのは只の地力だが?幸い、此方も数なら大量に用意出来るので。全方位ビームさえ何とかしてしまえば後は何とか成る。……まあ、相手のやって居るのは厳密には時間戻しじゃ無いから、大技連打なんて現実的では無い……訳では……無いか。ビームのチャージを奴が開始したので、地面から腕型のゴーレムを生成し、自分をぶん投げさせ、着地点辺りにクッション代わりのゴーレムクリエイトを行い着地し、範囲攻撃の範囲から逃げる。その過程でゴーレムクリエイトを相手の近くに更に行い、それで遠隔攻撃も忘れずに。重ねて言うが、パラドクスクリーナーは正史を正史にする力だ。つまり、やり直し無し系等のチート無しの通常戦闘には効果は無い。……何と言うか、敵がすごくヤバイ状態で有るはずなのにこうも考えていられる余裕が有るのは、相手は何度も勝負出来る事を前提で戦う奴だったのに、いきなり強制的に初見の力持ちに対しての一発勝負をやらされているからと言う奴か?いや、それよりも戦う上での自身の定石を尽く崩されている状況なだけか。つまりは相手が此方に都合の悪い動きをしたら、その都度少し前に戻し、やり直せば良い、が、やれていた奴が出来なく成って居る。援軍も強制帰還させられるし……それに重度に依存して居たのなら、必然的に本人自体はそこまで強い訳も無いか……。何回でもミスして良い前提の能力がまともに生かされていると言う事はそれだけミスをして居るのだし。そこでデウスエクスマキナが此方のエネルギーを奪い始めた。……何と言うか、エネルギーが尽きて来たか?それとも此方のエネルギー切れ狙いか……何と言うか、ゲームならそうは成らないがこれは現実だ……だからこそ、なのだが、いわゆるMPは全員一律で同じ物では無い。だからそれは結果的に此方の制御下のエネルギーを大量に体内に招き入れた行為に等しい。故に俺はそのエネルギーを暴発させ、エネルギー関連の器官に大ダメージを与える事に成功した。エネルギーの回復関連はこれで死んだかね?……何と言うか、詳しく知って居る奴や、この世界の奴なら到底しないようなミスだが、……これは能力鑑定能力が有ろうとも説明されなさそうなシステムホールを突いた話だしな……軽い説明だけしか知れないなら、相手のエネルギーを奪える的な感じの軽い説明だけだろうし、そのエネルギーがどうこうとか省略されそう過ぎる。……戦闘前に状況が戻るが、パラドクスクリーナーをぶつけると元に戻る。戦況のリセット、又は戦闘のリスタート、かな。問題無く潰せたけども。さて、大詰めだな。……と思いきや……デウスエクスマキナは姿を崩して姿を大鷲へと変えた。……何と言うか、此方が土系ばっかり使っているのだから、対処としては飛べれば良いのだろ感。返す刃にメテオをブチ当てますけどね。……何発か当たるが、それら全ての発生エリア範囲寄り上空に移動された。……はあ、此方も上空に移動し無いと不味いか……。しかし、この段階なら相手はまだ勘違いしているはずだ。一定以上の上空には展開出来ないってさ。なら、やるべきは上空に移動して近くに行き、……流星群をブチ当てる。俺は地面を隆起させ足場を大量に造りつつ、不自然でない程度にエネルギーを辺りにばら撒く。上空からビームを連発して来るが、足場をそれから回避させるが、ある程度破壊される。……エネルギーが空間に満ちていく。足場を拡張しつつ、攻撃を行い更にエネルギーを満たし、……時は来た。空間上のエネルギーを大量な隕石に変え、大量にぶちかます。ある程度はビームで対処されるが、只の隕石では無く、ゴーレムなのだから、制御し不意討ちをブチ当てる。かなりのダメージを与えられたが、雑魚を大量に召喚して体に加えて行きリカバリーをされる。……本来ならふざけてやがる……と、思う所だが、雑魚が金属系、つまりは鉱石類で出来ていて、故に、ゴーレムクリエイトをその雑魚を元に行い、無理矢理一気にそれでデウスエクスマキナを別物にしてぶち壊した。よし。デウスエクスマキナを暫く見続けても何もないのでこれからの事を考える。……他の世界の理屈を持ち込んだ類いの奴ならともかく、この世界の理屈で成立する奴はどうせ他の奴からの盗品だろう……何と言うか、つまり、他にも持ち主が居る能力なはずで、その盗み元の奴が未討伐か、敵なら、どう対処をするか?と言う問題がね……その都度全部俺が対処と言う訳にも行かないだろうし。実際、今回は相手の情報収集不足を突いたから勝てただけだしな。集団でゴリ押しするのも潰す能力が有った訳だし。再戦するのが前提なら再戦時には無防備に食らわせるのは無理な手法で勝利とはアレな話では有る。生存系の能力なり何なりとの方法で生き延びている可能性も有るし、対策はしておこう。……一先ず改めてゴーレムクリエイトをして創った個体にパラドクスクリーナーでも持たせて置くか。そして各地に忍ばせておこう。まあ倒されるなり拘束されるなり何なりとされたら此方が介入するとすれば良いとしても、最低限の対策としてはそれで良いかな。……他に仮にコピーされて使われても、此方がそう言う手段に頼らない限りは問題無い物でしか無いし。さて、皆を元の状態に戻そう。それで今回の戦いは終り。……あくまでも最初の戦いは、ね。……ありとあらゆる手段で最善のルート以外に成ったら最善のルートに成るまでやり直しをありとあらゆる手法でやり尽すのをやれるスペックの個体。デウスエクスマキナ。……何と言うか、その手法とスタイル上、それを必要とするのだから、本体側がそこまで強くないのでも無ければ酷過ぎる相手だった。……いや、強さに付いては此方の能力がガンメタとして機能して、ぶっ刺さっていただけだとも言える。まあ、パラドクスクリーナーが時間戻しとか正史を覆す系の奴に対して機能したのは必然だとしても、身体を補う為に義体を創る上でのゴーレムクリエイトを行う元を相手から用意された結果勝てたような物だ。何と言うかね。仮にもしも再戦が有るのならば絶対使って来ないよな、それは。もしくは別の物を体に補充するとかにする奴だろう。……故にこれが再戦前提のゲーム大会でならば二回同じ手法で勝つのは無理筋過ぎる訳で。……同じ奴が来なくても後継機的なのが来たら別の勝ち方も出来ないと不味いよな。



 そして皆を元に戻して、帰宅しようとした所で辺り一面にエネルギーが満ちる。それが何かを起こす前に即座に破壊すると、破壊しきれなかった場所のそれがあった場所は、粉々に消え去った。……消去系の奴?いや、それにしては微妙な気がするが?一先ずエネルギーが有れば即座に壊さないと不味いか。其処に水霧が話しかけて来る。


『シュライク・バースディ。システム関連を見ていたら解ったのだが、今の状況は恐らく対象の再定義能力だろう。エネルギーが効果を及ぼした場所がシステム的に全部消去されて、全部別物に成ってやがる』

『……何と言うか、この世界の物を全部ぶっ壊すとかして、侵略の旨味なんて有るのか?』

『有るようにするためには元に戻せる様で無ければ成らないから、システムで再設定してやれば問題無い。つまり、破壊其の物が目的で無い今のうちに倒さないと、システム的な保護が無い奴がヤバイ……何と言うか、もう既にだいぶ死んでいる気もするが』

『蘇生能力有る奴だって居るだろ?』

『ゲーム的な意味での蘇生なら蘇生対象のデータが何らかの形で残ってないとどうしようもないだろ?で、そのデータ部分をこれは破壊している。システム的な物は破壊したら元も子もない的な意味で残って居るが、……とにかく時間が無い。此方はシステム的サポートで、全体の奴らを生存させる作業を行うから、対処にうちの代表者に行って貰うので、サポート頼む。どうせ派手にやるだろうから、其処に行けば解るだろうさ』

『確か、ケールハイト・スプリングス……か。解った。サポートに回る此方は流石に全力戦闘の連続は避けたいしね……彼女か……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る