第5話
俺はテラと雑談を行う。
『テラは大地其の物で、特定の場所が身体のどの機能を果たすかは、決まっては居ない。だったか。これだけなら星の丸ごとの制御も視野に入るかも知れなかったのだが、先客がマントル関連を掌握して居るし、それでも地表全般の掌握はして居るが』
『無駄に衝突が起きるのを防止する的な意味で、他に土を制御されても基本的には放置ですけどね。そうでないと既存の土を使う系の奴全員と敵対関係扱いに成るので、ですが』
『実際、実質自分の身体を好き勝手されるのを放置するのはどうかと思うが』
『……膨大に有る物の化身系の存在はそれを気にする権利なんて無いですよ。それを対価に生存力が上がって居るのですし』
『別に必ず必要な対価と言う事は無いだろう』
『仮に、と前置きした話をします。全の化身と言う存在が仮に居るとして、そいつの身体はその全に含まれる全てに、起こり得る全ての事をされています。まあ規模が大きく成り過ぎた上でされるなら、そうですね、同じスケールの奴にやられる事を相手のサイズを極端に小さくした上でもう一度考えてみてください。私の場合、土に対してやられることはそれと基本的に同じに成ります』
『……テラ、それはつまり、アレか。スケールが違い過ぎるせいで触られてもほぼ意味が無く成る的な感じか……』
『早い話そうなります。私側がそれを意図的に意味が有る様にしない限りは、ですが』
『その理屈だと中途半端に支配範囲が広い奴がアレだが……』
『ある程度未満のそれなら、独占の為の行為をしても別に問題ないと思いますけど』
『話に割り入らせて貰うけど、メタ視点的に言うと、何で戦う所に氷雲神の造り手が居る事が先に解っていたの?氷雲神の造り手は其処に居ると喧伝でもしていたの?なら、何故なの?それに神格個体は一部の能力持ち以外は結構倒されていると言う話も有った気がするよ……』
『……ガルア、それはつまり、奴は何かしら企んでいる、と?』
『じゃ無いと不自然かなって、負けたのが悔しくないのはそれ以上に強くなる算段が有ったからだとしたら納得出来るけど』
『……やばくないか?それは……だが、まさか普通にそれをやっている訳も無い……でも流石にそんなに派手にそう言う事に成って居るなら問題に成らないはずも無いが……?』
『……なら一定以下の神格個体同士の結託をやって居ると言うだけでは無いですか?で、その過程で融合なり何なりする場合に、死んだり負けたりした事にしているとか』
『……そうでも無ければ大きな問題に成って居ないはずがない。のに、大きな問題に成って無い、か。……動くとするか。結局水霧浄土側に交渉した方が早いのだし……』
そして水霧に話を通しに行くと、
「そう言う事が仮に行われて居るとして、それに対する対抗策は簡単で、此方もそう言う事を行えば良い……が、それはそもそも一定以下の神格個体達が一定以上の神格個体に敵わないからそうしよう。と言う話のはずだ。つまり、此処で此方がその範囲外の奴らやそいつら以上の奴らで同盟をおおっぴらに組むのは、小国連合に大国が恐れをなして大国同士が同盟を組みましたと言う話に成る……流石に此方のメンツが潰れるぞ、それは……だから、現段階ではそれが出来るとするなら水面下でのみだろう。この例えで言うならそいつらが大国に手を出して来たり、小国側が此方に救援を持ち込んで来たりしない限りは、だが」
「解り切った火種を放置するのか?」
「じゃあ介入するとして、どういう大義名分で介入する?それは当人同士の間では問題では無い。介入する口実が無い。だがまあ話は解った。此方も他と話を通して置こう。同盟を組むと言うか、その大義名分的に一定以上の奴は範囲外と見て良いだろうし」
「流石に舐め過ぎである気がするが」
「……ん?なんかおかしくないか?」
辺りを見回す。見渡す限り何もおかしくないはずなのに何か歯抜け感を感じる。まるで其処に有った物がない事に成ったかのように。と思うと何処か別の場所に跳ばされていた。何処だ、此処……。水霧浄土は、居ない様だが……。何か一部の神格個体が此処にはそれなりに居る。それも先の違和感が埋まるような形の奴らが。そしてその内の一人が叫ぶ。
「くそ、誰かの能力で世界を追い出されたんと違うか、これは」
世界から沢山の奴をその世界の力で追い出す?……現実問題として可能なのだろうか?それをやるのが独自な世界観設定の世界でなら尚更だ。今居る世界独自な物が他の世界でも問題無く使えるのだろうか?その力の前提が他の世界には存在しない的な意味で。それが成立するとしたら世界の端辺りまで強制的に移動させる事くらいだろう。それをする力が世界の外まで力を及ばせられない的な意味で。
「どうするこれ、異世界に大量に神格個体が跳ばされた?概念系全般とか、大量に膨大に有る物の化身系なんかも居るだろう?でも追い出しが成立すると言うなら世界からそう言う物が全部消え去ると言う事だろう?我々はパイロットじゃ無いのだからそれを実現しようとしたら該当の物を全部世界から出す事でしか、無理なはずなのに……仮にそうされたのなら元の世界は地獄じゃ無いか?世界に有るはずの膨大な数の物が一斉に消えたのだから」
「……それだと結構な奴が死にませんかね。生存に必要な物も大抵無くなっているのだし」
「いや、追い出した直後に即座に全部作り直せば……或いは……」
「……それがもしも出来ると言うなら要は自力で創世が出来ると言う事で、……それならあの世界に拘らずとも勝手に何処かの世界の創造主にでも成れば良いレベルの所業だが」
「一先ず元の世界に帰りますか。場合によっては呼び戻して来るかもしれないですが」
「一先ず帰る方法を探すか。全部の神格個体が此処に来ている訳じゃ無い様だし」
そして帰る方法を探すことにしたのだった。
☩
おいおいマジかよ。シュライク・バースディがいきなり消えて世界の物もだいぶ消えた。アレか?世界からの追放能力か?で、それをした結果それに付随する物も消えた、と。俺と同じ前提の神格個体なら、あくまでも俺らはパイロットでは無い。その何かの化身で、その対象物その物だ。つまり、パイロットを狙うピンポイントキルと言う手法は成立しない。……何故ならスライムで言えば全身が中心核みたいな物だからだ。つまり、概念的に一律で神格個体の消去でもしようとして、余計な物迄大量に消えた訳だ。此処で犯人の取るべき行動は神格個体を元の状態に元に戻すのではなく残る神格個体無しで元の状態に戻す事だが、
『それが有るか無いかは俺が決める』
‼声が辺りに響く。……。この現象の原因はそれが其処に有るか無いかを決められる能力だとでも言うのか。そして辺りに膨大な量の化物が満ちる。神格個体を大量に消した上で、化物を大量に召喚したのだ。化物が大量に其処に居ると決めでもしたのか。攻撃を行うが。
『ダメージが有るか無いかは俺が決める』
……くそが。システム干渉発動。あくまでもそれはシステム産の物だ。なら、システム干渉でシステムホールを強制的に作れば良い。近場の奴は倒せたが……何とかしないと。
仮説を交え前提を整理しよう。原因の能力は何かが其処に在るか無いかを制御する能力だと仮定する。つまり、どんなスペックの奴を出されようが、そんな物は無い、と切り捨てた結果で、化物の召喚は化物が其処に在るとして無理矢理存在させた物。つまり、召喚主の力さえ潰してしまえば全て消える物だ。基本的には自衛するのに必要な範囲以外は無視で良い。能力で無理矢理存在させただけだから、それを潰せば存在基盤が消えるのだからな。そしてダメージの無効化はダメージが無いとした結果。……なんかアレだな。例えるならば、システム作成者側のゲームバランス調整上の権限をフル活用したような能力だな。システム干渉能力ならこれに対抗を出来るのは、単純にそれと同系統の能力だからだろう。……つまり、これはシステム権限その物を悪用した様な能力。システム干渉能力を持つ奴以外の立場なら論外では有るが、別に対抗策が無い訳では無いし、システム干渉能力を極めれば俺もやれるはず。まあゲームで例えるならシステム作成上の調整に使われた物に関わるシステム上の機構は有るはずで、メンテナンスとかの為のそれを使ったと言う奴。別にこれらは、無根拠な最強無敵チートなんて物じゃ、決して無い物でしか無い。それに干渉出来れば活路は有る。
「水霧浄土。シュラを殺したのですか?」
其処にシュライク・バースディの創った地母神が介入して来る。……この状況、俺がやったと思われているのか、これは……不味いな……。
「いや、地母神それは違う、違うから」
「問答無用」
そして即座に地面が蠢き出しそこから土砂製の大量な物がこちらを追尾してくる。それに大量な水を浴びせ、泥扱いにして、何とか制御に割り込み凌いで行くが。流石に厳しいか。
「だから、誤解だってば。敵は別に居るって」
「なら何故貴方は無事なのですかっ。貴方は無事で、シュラが無事じゃない根拠は何だと言うのですかっ」
「そんなの分かるなら苦労するかっ。そっちの仕様の把握なんて此方はしてないのだから」
「……。では心当たりも無いのですか?」
「……もし仮に有っても此処で喋れるかよ。システム干渉能力関連かも知れないけど」
地母神は落ち着いたのか、質問をして来る。
「システム干渉能力、ですか……。システム干渉能力ならシュラも持って居ました。それが根拠ならシュラも無事で無ければおかしいですよ。……それとも此方の上位互換のシステム干渉権限でも持って居ると言うのですか?」
「そちらの仕様がどんなのか知らないから解らない的な意味で、答えかねるな、それは」
「では特殊なのは持つ様ですね。それが今回の原因で無いと断言出来ますか?」
「そちらの仕組みを知らない限り正確な答弁は不可能だ。別の理由なら話すだけ損だしな」
「……私は大地其の物です。それはシュラにも及びます。ですが、私は無事で、シュラは何処かに居なくなりました」
「……ん?おかしいな。それが正しいなら、シュライク・バースディの命の基盤はまだこの世界に有るはずだろ?何で居なくなった事に成っている?死んだと言うには生存基盤は残りっぱなしな訳だが?」
「……」
「なんかさ、一先ず生存基盤は残りっぱなしならさ、それを介してシュライク・バースディの方に干渉出来たりしないか?」
「!……やるので少し待ちなさい」
「……はいはい。此方も水神に連絡付けますかね……」
なんか全部消したにしては杜撰だが……まあ星が消えるレベルの事をしないとそもそもHPゲージを削り切れない奴なんて居るとして、全部消したら星も消えるだろうし、宇宙環境で生きられるとか、宇宙船有るだとかでも無いとそんなの消すのは自殺行為的な意味で、無理だよな。だから一部の奴は無事で、……そしてその結果、連絡手段が残って居る事に成るのだが……まあ、それを消せる奴ならこうは成らないか。あくまでもHPゲージがそのレベルの事をやらないと削り切れない事の反論に星を消せるレベルの攻撃を持ち出せば良いのだな?とか言われても、それで無抵抗でそいつが攻撃を受けるのが前提にされて話されてもアレなのだけども。さて、連絡を取りますか。
☩
いきなり何処かに飛ばされた奴らで話し合いをしている時に俺の身体に異変が起き。掌が熱くなったので、掌を見ると、文字が浮かび上がって居た。
『シュラ、貴方の生存基盤を介して貴方にメッセージを送って居ます。それを介して返事をください。テラより』
「キタコレ」
「どうした?」
「此処に来てない奴から連絡が来た」
「……。それは本当に本人からの物か?犯人側が罠を仕掛けている可能性は無いか?」
「……本人確認取れないなら信じるな、と?」
「こういう時は本人で無いと解らない質問を本人確認の為にぶつけると言うのが定番だ。相手の使った回路をそっくりそのまま逆流させて使い返信しろ。罠にしてもそれなら使う部分は既にばれていて、無駄に情報は渡さないで済む」
「解りました」
そして行われた介入に対して返信を行う。……よし。本人確認は取れた。……テラが既に敵に捕らわれていて、聞き出されたパターンとかなら不味いが、……それは考えても仕方ない。そうだとしても情報はある程度は貰えるはずだし。
さて、向こうは世界に有るはずだった物が色々なのが消えている、ね。……まあ、前提条件上、そうしないと無理が有るか……テラが巻き込まれて無かったのは大地其の物の化身なら、大地其の物を全消しが必要で……それをしたら神格個体を追い出しての占拠の意味が無いから、か。つまり、その行為がやれるかやれないかはそれには関係無く、それをやったら元も子も無いから効果対象外でテラは無事と言う訳だ。……神格個体を全部の締め出しをしたくても、それをやったら元も子もないタイプの奴はそのまま……化身系の奴はある程度効果範囲以外としてそいつの実力は関係無しに向こうに残ってそうだな、これは。
☩
『他の奴の行動の権利が有るかは俺が決める』
『攻撃の意味が有るか無いかは俺が決める』
システム干渉で無視する。システム干渉出来る相手にシステム上の制限付与なんて根本的に意味無いだろ。それをやるシステムに干渉すれば潰せるのだし。まあ、システム干渉が出来無いその他大勢はこれで潰せるだろうけども。なんか苦しみ出した人が出始めたな。何だ?と言うか動きにくいな……あ。空気の化身とかも、もしかしたら居るのか?で、空気の化身が動けない→全体の空気が停滞して→皆が呼吸不可に、と。まあ呼吸が必要かは俺が決めるとかで対処されそうだが……。俺はそもそも呼吸必要無いから問題無いが、呼吸不可で死ぬ奴出る奴だろこれ。……暗くも成ったな。光の奴も動けなく成ったか?さて、何処に居るかな。これで殺せたと思われて居たら楽なのだが、ね。
「シュラは何処に居ると思います?」
「……この世界と能力的な繋がりが消えない範囲な以外ノーヒントでそれを当てろと言われても、だが、直ぐに戻って来られない場所じゃ無いと意味が無いから少なくともこの星上の何処かでは無い。でも能力は及ぶ場所と言う事は行き来する方法が皆無な訳では無い。無難なのは単に異空間を創って其処に全員閉じ込められたと言う奴だが……流石にそれだと被害者の神格個体全員が格落ちしすぎるから別のパターンだろう。能力が及ぶ以上は大枠的には同じ世界では有るはずだし。地獄とか、冥界とかに飛ばされているとするには彼方に切迫感が無さすぎる。ゲーム的に考えれば有るや無しの状態を如何にかする能力と言う割には生きている様だしなんかな、強制アカウントバン?いや、アカウント凍結されているならそもそも答弁できる状況なはず無いし……ゲーム的に別空間にプレイヤーを移す行為でアカウント凍結でもアカウントバンでも無い……うーん?あ、パソコンで考えれば良いのか。対象ファイル扱いの対象者をゴミ箱空間に捨てる能力?……あー、でもそれなら簡単に戻って来れそうだし……」
「なら、そのゴミ箱が異常に遠い場所に有るとか、ですかね」
「あくまでもシステム上の能力なのにそのシステム外には……ああ、ならシステムの範囲の最外周部の特殊空間辺りか?だがそれだと転移とか転送で戻って来れそうなのだが」
「システム上的にその空間から出られなく成って居るとか」
「……システム的に場所との紐づけ?神格個体を留めるとなると何らかのシステム干渉が出来ないと、そもそもそれは正規な方法以外では脱出は無理なのでは?そうでも無いと格落ちしすぎるし。でもどうせ閉じ込められない奴が居るのだから少しの差は許容して、そう言うのが出来ないだろう奴だけを閉じ込める、と」
「それが出来ない奴だけ対象にしたとか?」
「……さっきと言っている事が違うが、……それだと最上部の奴らは全員野放しなままだろ。そう言う奴ら全員真正面から戦って勝てるならそもそも……いや、それをすれば無制限な数の暴力だけは防げるか。……まあ分身とか戦力増やす能力使えば済むのだが……」
「仮に紐づけにその場に留めよう、収めようと言う強制力が有るなら私は何故、それの支配下に私が無いか?と言う話に成ります……つまり、空間からあふれるくらいに巨大化すれば脱出は可能なはずです。要は紐づけの部分さえその空間内に在れば良いだけのはず、その空間のキャパシティオーバー的な意味で、ですが」
「……えげつないな……しかしまあ、アレだな。規模とかスケール的な意味で相手には無理なレベルの奴を出している場合、相手のそれでも勝てるし、とか言うのは、どう受け取れば良いのやら」
「……只の設定勝負なら後出しじゃんけん的な意味で後出しの方が強くないとそれをやる意味がそもそも有りませんよ。それが負けに行って居るなら話は別ですが」
「何だろう。こちらを殺せるし、とか仮に思って居るとして……おっと、聞かれてはアレか。『そもそもの話、相手の設定なんか知るか的な能力が最強なら設定勝負と言う名目自体やっているのじゃ無いよ過ぎるが』」
『……最強無敵的な設定出されても、どんな相手でも殺せる的な設定を出されても相手の設定を度外視出来る能力は弱くは無いはずですが』
『……それを成立させる場合、理屈無しのそれを有りにしたら、なんていうかな、そうだ、適当に自分で生成したこれを壊す。相手は死ぬ。的な能力も有りに成る。無根拠のそれが出来ると言うのなら、そもそも自分の最終的な生存を勘定に入れるのを放棄でもして無いとこの世界では論外過ぎる。誰もがそう出来るのだから。その仕組みを始める奴が、それこそ初手で他の全員を即死させるつもりでも無ければ、だが』
『逆に言えばそれをすれば良い、と?』
『……全部一人で何事も全部やる気か?もうそれなら誰かをわざわざ殺すまでも無く無人島にでも行けば済む話だろ、そんなの』
『銃が有るからと全員が即殺し合いなんてしないですよ』
『……市民に向けての銃乱射事件の犯人の撃つ対象を全人類対象にするのも可能に成ると考えたら解るよ。一人でもそう言う思考の奴が居たら全員死ぬ。そう言うのが有りなら、な』
『……無茶苦茶ですね』
『理屈も合理性も何もない能力が有りならそうなると言うだけ。それを運用する上で自分の最終的な生存を度外視しているなら話は別なのだろうけど』
『逆に言えば度外視すればやれるのですね』
『それを有りにすれば他に同じ理屈で殺されるだろうがね。強いから死なないなんてありえなくなるのだから。自分だけが例外?対抗策でどんな理屈を持ち出そうが不成立だ。他を殺す事が理屈も合理性も何も無くても成立出来るなら、他にもそうされるだけだから』
『じゃあちゃんと理屈が有ればそう言う能力も良いのですか?』
「『それならまだ対抗の余地は有るだろ。例えばそれをする為のエネルギーを壊すとか、ね』さて、彼方に連絡を、」
其処に奴の声が響くと、辺りに追加の膨大な数の何かが蠢く……耐久性がどの様な物でも関係無しにそれに触れた物は崩れていく。……だが、此方に触れても何も無い。……良く解らないが恐らくは相手が想定していた此方の仕様と此方の仕様の違い故の能力の対象外化と言う奴だろうか?ゲームだと。そうだな、ドレインとか言っているし、仮にHPゲージを一定量奪う能力だとしたら、生存基盤の違う奴にはそりゃあ効かないわと。仮想敵像がそもそも間違って居る状況での専門的な最適解なんて相手に通じるとは思えないし……。まあ、通常の奴には効くだろうからあれなのだが……。
「あーもう。単にメンテナンスシステム乗っ取りならシステム作成者が介入して来る検案なのだろうけど……攻撃がそもそも対象外の奴で殺そうとしてくるとか、流石にシステム作成者や、システム全把握している奴の所業じゃ無い。もしそうなら全部に効くように作るはずだからこんな事に成らないよな。成長するのを度外視してマウントとか、強くなる前のそいつの最弱状態時の奴に勝てれば今なんてどうでも良いとか言っちゃう奴?なら作中強くなる奴は弱い状況の奴を攻略すれば、そいつが後にどれだけ強かろうが倒せたって?産まれた時から即座に最強の奴以外は大抵死ぬ理屈なのだけどな。まあ、一先ず全て壊れろ」
そして辺りのエネルギーは等しく壊れた。
「……水霧浄土。貴方持つのは水の力だけでしょう?」
「水で攻撃するのに水に威力を持たせるのは基本中の基本だろ。それで全部壊しただけだ」
「……水蒸気に威力を持たせて攻撃になるように操った。と言う事かしら」
「それだけでは無いが認識としてはそれで充分。まあ……だよね」
『空間内に水が有るかは俺が決める』
「じゃあ、ちょっと各地巡りするから彼方に連絡よろしく」
そしてそのまま水を消され、押し出され、俺はその範囲外の方に意識を移動し、再び、攻撃を再開する。そんな事をしたら、全部の水を消されるだろって?……仮に全部殺す気ならそもそもこんなまどろっこしい真似などしなくても、生死関連の奴に言及すれば良いはずだし、もしそうしたならそもそも生物の全殺し検案だろう。それとも支配下に置きたい奴全てを水が無い状況で永続的に生存出来る状況にでも……スペック次第では出来るかもしれないが、それがやれるなら此処迄の手法がまどろっこし過ぎる。今回の場合なら例えば根本的なルールを変えればそれで済むはずなのだ。だがそんな力は奴には無い。そもそもシステム干渉能力が此方にも有る以上は全消しはされない算段くらいは有る。此処は何回も行使させてシステム解析をする事でもしようかね。
☩
この状況では流石の水霧浄土も冷静じゃ無い、ですか。私達にはシステム改編の方法がちゃんと共同の手札として既に有るのに。……私が取りに行くとしましょうか。本格的な勝負はそれから、ですね。今回の場合は遠慮無く使わせて貰いましょう。そして移動します。問題のそれがある場所に行くと水神が先に居ました。
「……地母神。貴女は水霧に頼まれて無いでしょうが。私がやらせてもらうわ」
「今其処で意地を張る必要有りますか?水霧浄土は貴女の物で良いから速くやりましょう」
なんだ。水霧浄土が水神に連絡するとか言っていたのに水神が合流して来なかったのは向こうに捕われているからじゃ無くて、別件で動いていただけと言う事ね。……まあ、あそこでそれを話したら聞かれている可能性は高いですけど、なんか釈然とし無いですね。私にテレパスで説明しても良かったはずですし。……まあ時間稼ぎとしては有用な行動を取って居る訳ですから、其処から推察出来ても良かったかも知れませんが、水霧浄土とはそこまで仲良くは無いので仕方無いですね。……まあ浮気するのじゃ無い的な理屈でシュラをああしたのに私が浮気と呼べるレベルで他と仲良く成ったら元も子も有りませんし。……敵を騙すには味方からとか言うにしてもなんか釈然とし無いですが、考えている暇は無いですね。始めましょう。
そして私達はシステムロールバックを行って変更を元に戻して行きました。まあ、データ編集とかよく一手順前の状態に戻す機能も有りますからね。それを連打して介入前まで戻せば良い訳です。別にこれは時間の巻き戻しでは無いですから、システム制御で起きた事以外に関してはそのままですが。……これで後はシステム介入量の水掛け論に成ります。……相手側がある程度先に行動した後から開始なので最初は不利ですが、無理を通して神格個体を隔離した所まで戻せば後は無制限な水掛け論が可能になりますから、要するに相手は早く行動出来た代わりに勝利条件が厳しく成って居る訳です。それの差引を考慮すれば、隔離された神格個体をある程度解放するまで行けたら後はパワーバランスが崩れる訳で、そこまでは無理してでも行けば後は只の質の伴う物量押しが可能になります。……まあ、相手としては短期決戦的な力の配分なんて自分からやれるはずが有りません。それは相手からすれば少なくとも全体の形勢が決するまでは続けて居なければ成らないので、短期決戦的に力を全振りするなんてとてもとても。いや、全力を使い果たすレベルの事をしてくれたらそれはそれで良いのですが。まあ、それ故に後は初動全力でぶちかませば一気にバランスは此方に都合の良い形で崩れます。相手からすれば後の事を考えない対応なんてしたら負けなのですから、これはまあ、しょうがないでしょうね。これは相手が手抜きでも、此方の全力を問題なく上回って居るのでも無ければ成立する理屈な訳で、でももしそれが成立するならこの状況にそもそも成って無い訳で、で、それに加えて追加兵力が続々と追加迄される、と。現状基本的に只の戦力比率で言えば此方に優勢にだいぶ傾きましたが、問題はそれで復帰するのは相手のさじ加減で追放が簡単に出来る奴らです。ですが、その神格個体達がもし戦力として役に立たないとしても、相手に対処が必要な物が増えたので相手のリソース不足の状況を強制する事には十分役に立つ状況なのですけどね。ですから、程なくして全員の解放が完了しました。……まあ、問題はこれからですけど。メンテナンスシステム介入でどんなシステムも改編出来るとして、此方の戦力が正常に機能しないようにシステム介入するのは目に見えている訳です。つまり、結果として、例えばフレンドリーファイアが相手の妨害で大量に意図的に起こされます。相手がシステム上の物理演算にも介入して居る結果、まともに攻撃が飛ばず、変な方向に飛び、誤爆する結果、でしょうが……。其処で領域系の奴が展開を始めました。恐らく継続ダメージを受ける領域と、味方だけを継続回復する効果の領域の重ね掛けでしょうか?システム上の綱引きを延々と繰り返す展開に成るなら、少量の追加の継続ダメージも結果的に馬鹿に出来ないくらいの物に成りえます。まともに攻撃が動かないならもう全域を攻撃で埋めてしまえ、と言う奴ですね。回復技を使われようが関係ありません。ただでさえ手数が足りない時に追加の手数減が増える訳ですし、対処されるのは良い、だから同時に可能な手数全てを使っても対処不可能な手数を同時に延々とぶつけ続ければ良い。数千数万の能力のどれかが通ればそれで良い。後はそれを繰り返すだけ。キャパシティオーバーでの対処漏れを意図的に発生させ続ける。……これが数の暴力です。数の程度は幾ら盛っても良いですが、これは数の暴力を封じる奴をされた上でこれですし……まあそれは相手が出している物を全部攻略出来ている奴が出す奴に相応量含まれていることが前提ですけどね。ゲームでは無いので人数制限なんて無いですし。……簡単な強力な一撃を撃てば終わるだろう?ですか?それは相手が格下なのが前提のロジックですね。この話はある程度は相手が同格以上でも現状は成立しますけど。隔絶した実力差なんて話の展開的に無いですから。この手法は隔絶した実力差の相手には通じないとしても、この話の展開的になら何も問題はないですから。まあ相手の目玉の奴が此方も持っていて。同じ程度に使えますからね。後は水掛け論的な展開に成るのは仕方無い訳では無いのでしょうが、此方だけ手数が増える形ですからね。……これについては元々有った手数が元に戻るだけですけど。……って、此処に来てシステムへの過大な負荷に依るシステムの処理落ち、ですか……。まあひたすら大人数で大技連打とか、それはそうなりますが……え?其処でシステムに依存し無いシンプルな投擲が敵を穿ち相手は沈黙しました。……何と言うか、アレですね。敵のキャパシティオーバーを狙って居たら、システム側のキャパシティオーバーが敵よりも先に来て、システム側の能力が潰れて能力が関係無い只の武器投擲で終わる、と。……何と言うか、外部の力に頼るとか、突き詰めるとアレな事に成るのですね。外部に依存していて、そちらの方の限界が先に来た結果、システム側よりも強かったのに、システム側に依存していた能力が総崩れ、と。……何と言うか、他の何かに依存した能力だと、こういう事が有るのは覚えておきましょう。其処に声が響く。
『大変な事をしてくれたね。私は其処のじゃ無いけれど、でもまあ時は満ちたと言う事で良いか。まあ端的に言えばシステムのメンテナンスシステムの処理落ちが何を意味するか、と言うのを考えれば分かると思うけど、ある条件を満たす一部の奴はいい加減に隠し札を出せば良い。そうすればまだ今は何とか成る状況だから、ね。じゃあせいぜい頑張り給え。ファイヤーウォールは消え失せたのだから』
そして声はそのまま消えました。ファイヤーウォールは消え失せた?そしてそれが大変な事?つまり、それが必要に成る様な相手が居て、今回の処理落ちでそれを防ぐ物が壊れた?この世界は箱庭とか方舟的な感じの世界だったと言う事?でもそれを何とか出来る奴が何人か居る、と?捨て台詞と言うにはシステムの処理落ちが起きた直後なのだから笑い飛ばすのも難しいですね……。それを鵜吞みにしないにしても、システムの処理落ちらしき事が起きたのは事実では有る訳ですから、それで何か他の事が連鎖して起きたと言う事は十分考えられる話では有ります。本当か確かめる為に調査が必要ですね。
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