第3話

「シュラ。前提としての話は分かりますが、それは要するに私との子供を創る事ですよ?」

「……テラの理屈的にテラは、要するに大地其の物だしな。その一部と俺の精液を混ぜて、一定以上の個体でも産まれよう物なら……と言いたいのは分かるが、その理屈を通すなら、テラは似たような能力の奴が居たら散々形式上孕まされるから、そう解釈するのは却下な」

「解りました。なら、好きにやれば良いですよ」

「そう言う意味の物は無いこれは只のゴーレムクリエイト……よし。行くぞ」


 そしてゴーレムクリエイトの過程の素材に精液を混ぜ、行う。そして現れたのは美女と呼べるレベルの女性の見た目をした個体だった。


「個体名ジーヴル。お父様、ご命令を」

「……いや、そんなに固くしないで良いから楽にしても良いよ」

「……そう言う訳にもまいりません。ご命令を」

「創作で似た状況だと、その命令で君にフランクに話せとか言う物だけど、どうする?」

「……意地悪ですね。解りました。で、それ以外で何をお望みでしょうか?」

「……いや、まさかこうも上手く出来るとは思って無かったから、……でもどうしようか。思ったよりクオリティー高そうな奴が出来たせいで気軽に使い潰せそうに無いぞ」

「……シュラ。前提を忘れているわよ?貴方は召喚システムで神格個体の召喚に成功して居るのだから、その身体の一部なんてそれなりにヤバイ意味が含まれるわよ……それが精液ともなれば尚更、ね」

「その理屈が通るなら、通常のゴーレムだってもっとぶっ壊れで良いはずだろ?」

「……例えば、只の二束三文の価値の武器でも神殺しに使えば神殺しの武器に成るわ。……つまり、これはそれその物ではなく、それに付随する付加価値側の問題よ」

「……いや、待て、その理屈だと今のこれは只のゴーレムクリエイトでは無かったと言う話に成るのだが?」

「お父様、お母様、私は放置ですか?」

「……いや、そんなつもりは無いよ、えーと、ジーヴル。只ね、認識の話をしているのさ」

「私が二人をお父様とお母様と呼ぶことの何が悪いのですか?」

「……いや、悪くないよ。悪くないさ。……この話題は後回しだ。テラ、良いね?」

「良いですよ。お父様」

「いや、それをそう扱うとテラ側が不味いってばぁ……ゴホン。ジーヴル。君は俺に造られたと言う事で良いのだよね?」

「はい。それで良いよ。私はあなた達二人から産まれました」

「まあ、それは一先ず置いておいて、ジーヴルは何が出来るのかな?」

「じゃあ、言葉を崩すけど、多分ね、現存するゴーレム全ての出来る事全てが出来るよ」

「……はい?」

「だから、既存のゴーレムが出来る事全てが出来るってば」

「待て、ああ、そうだ。仮にジーヴルが特殊個体やゴーレムの上位種扱いに成るなら、そんなの見た事無いし、つまりは、始祖個体とか、原初個体扱いと言う事か?で、既存のゴーレムの全ての能力を使えるとか、無茶苦茶だ。ゴーレムの管理者系統の上位種と言う事だろうか?解らんな……ああ、そうだ此方が今迄創ったゴーレム達全ての能力を纏めているだけかもしれないな」

「なら、これでも見せれば良い?液状化。これで底なし沼だよ」


 すると地面が沼に成った。……如何やら土を液体と同じ物として扱われる様にする能力な様だ。その結果として、能力が及ぶ限りの土が液状化し、結果として底なし沼、と。えぐいなおい。


「物を埋める時とかに使えそうだな」

「そうだね。相手が沈んだ途端に液状化を解除したら生き埋めも出来るよ」

「……ははは。これだけで全部の能力が使えるかどうかは定かじゃ無いけど、此方が考えてない奴は出たからまあ良いか。飛べたり転移出来たりする奴にはあまり関係ないけど、まあ、これは敵を埋める事しか出来ない訳じゃ無いし」

「それで何をやればいいのかな?」

「……いや、予定外に良い個体が出来たから、そうならない物だと思っていて用意していた奴はやらせられないから、そうだね……取り敢えず俺達の近くに居てよ」

「解ったよ。じゃあそうするね」

「さて、じゃあ話は片付けたとして、……テラ、なんでこんなことになったか説明をしてくれ。虚偽は勘弁な。場合によっては対策を講じる必要が有るし」

「簡単な話です。私は大地其の物ですが、別に現状は問題無いですよ。大地の何処の部分がどのような機能を果たすか、と言う事は決まって居ないですので、土塊一つが目にも成れば手にも成りますし、足にも成ります。今回に付いて言えば、身体の一部の機能を此方が大地に作用させ、結果としてゴーレムの材料に成る土塊に私の卵子相応の物を混ぜました」

「……つまり、ゴーレムを創る事で人工授精をしたような物か?」

「はい。早い話そうなります。ですからこの方法では私が意図しない限りこうは成りません」

「ゴーレムクリエイトでの人工授精なんて俺の勉強不足かもしれないが、聞いたこと無いし、例えるなら未開拓地の資源を独り占め出来た結果としての管理種又は上位種と言う事だろうか?」

「その理屈で正しいとは思いますが、その場合つまりはこの世界での新概念を産み出す系の存在の全般の方々は警戒が必要ですね。ゲームで言うならいわゆる初回クリアボーナス的な物が存在すると言う事ですから」

「そうなら召喚システム始動初期段階から関われて良かったとしか言えない。システムが仮に百年後以降にも存続するとしても、創る上でのガイドラインが完全に出来上がった様なそんな頃には粗方の初回ボーナスなんて簡単に思い付く様な奴全般は既に誰かに取られた後なのだから」

「そう言えば私はなんて扱いに成るのかな?神格個体と人間から産まれたなら半神半人?それともゴーレムの名前を豪勢にした何か、かな?」

「……頭痛く成って来た。そうか。ジーヴルは半神半人とか的な奴扱いなのも有り得るのか……そりゃ性能がぶっ壊れにも成るか……。ゴーレムの量産は出来る?」

「出来るけど、それがどうしたの?」

「なら、ある程度の性能の奴で良いから、量産は出来る?」

「……出来るけど、先の話を踏まえると、使い捨てにするだろうから、その注文なら自我は必要なさそうだね。うん。簡単に出来るよ。……だだ、やるなら相応のご褒美が欲しいな」

「解った。俺に出来る範囲でなら良いよ」

「言質は取ったからね?忘れないでね?絶対だよ?」

「……何を要求するつもりだ?そんなに言わなきゃ駄目な奴なのか?」

「まあそうだね。お父様には簡単に用意出来るけど」

「嫌な予感がして来たのだが?」

「さて、始めるよ」


 そしてジーヴルは高性能なゴーレムクリエイトを大量に直ぐに行った。


「ジーヴル、それで今回のゴーレムはどれくらいの知能を持つ奴なのか?」

「自我が無いならパターン想定を大量にゴーレムに事前入力しておいて場合に応じ、その通りに行動させるくらいが無難かな。それの入力はお願い。私は仮想敵も知らないし」

「解った。じゃあ入力方法を教えてくれ」


 そして説明を受け、ゴーレム達に通常戦闘には差し障り無い程度の物を入力した。それと鹵獲対策に、ゴーレムにそのデータベース抹消の為に用意する自爆技も仕込んで置く。通常戦闘で出る様な物では無い様な物を出されても、その時は此方が補助すれば良いだけだし、いや、まあ、通じるかは知らん。他の手段有るとアレだし。だが、そうだな。ある程度の自律行動可能な状態でゴーレムの見た目を俺達みたいにするかな。対処に大技撃ってくれれば実質損害零で浪費させて儲け物だし。他所の巨大術式の場所は調べたし、其処にそのゴーレムを転移で送り込むとよう。……まあ、ゴーレムでのエネルギードレインが此方に有る以上、多分初手に大技を撃つ可能性は高いし、まあ、大技を撃たせるデコイくらいには成るはず。……まあだから高性能過ぎる奴が作れた結果で、それには使えないと成る訳だ。……もしそうしなくてもエネルギードレインをするが。そして別所の巨大術式の有る場所にゴーレム達を転移させて、巨大術式の破壊をさせるようにして、様子見をすることにした結果としては、相手は大技を撃ったのだが、それは此方のゴーレムを壊すのとは別の事を引き起こした。巨大術式の効果が何か?と言う事を失念していたが、それは観測結果から推測するに、システム干渉系能力持ち以外の奴の、システムに能力が依存した奴では良い様にやられる様なエリアが出来たと言う事だ。まあ、結局はシステムの中の一プログラムでしか無いから、そこから退避するなり何なりと対処自体は簡単に可能な訳だが、それを正攻法で攻略するならば、一応は面倒では有るな……。退避すれば余裕とか国家単位の規模で、そう対処せざるを得ない様にやられたら国家を単独占拠レベルの事も可能に成る訳だが、規模次第では、真面目にヤバイ事に成る奴だったし、規模が縮小して本当に良かったよ。と、それはともかく、それを何とかし無いとか、国家レベルのそれでは無いとは言え、デカイ国家の一行政区画ぐらいの規模は有るのだし。どうするか決めあぐねて居ると、連絡が入って来て色々と聞かれる。聞く限りは今回の話は俺も参加し無いとアレだろう。参加する神格個体達の会議の場所は海底国家の某所、か。行くとしよう。海底国家では無許可の転移は使用不可能に成って居るので、海底国家の窓口の地点へと転移した。そして会場に行くと、数は少ないがそれなりにやばそうな奴が沢山居た。……例えば空間が捻じ曲げられている場所も有り、そこからは不機嫌そうな声が漏れている。恐らくはエアデー=ローダー。天空神で、空中都市の主だろう。如何やらそれなりの場所を創れていたのにも関わらず、会議会場として、空中都市が選ばれなかった事が不満な様だ。……いや、今はそう言う意地を張る様なタイミングじゃ無いからな……。火焔神は……居ない。いや、奴は来る必要が無いか。マントルの中を住処とするとか、マグマオーシャンに住むとか、地上がどうなろうが星其の物の危機でも無いと基本的には無関係で居られる場所だろうし。他の知っているのは……辺りを見回すと其処でテラに外に出て待って欲しいと言われるが、そのタイミングに水神と……水霧浄土が入って来た。水の身体のそいつは言う。


「緊急時の呼びかけに応じて貰い、先ずは感謝させて頂きます。初めましての方もいらっしゃる為、自己紹介をさせていただくと、私は水神の作り手の水霧浄土と申します。以後よろしくお願いします。では本題に入りますと、ある地域の召喚システムが改編されて、犯人に都合の良い物に変えられたと言う事が起きたのは使いの者達が事前に話した通りですが、このままではどんな事に成るか分かりません。なので、それを倒したいならシステム干渉系を持つのが前提なのはご存知の通りでしょうが、……それを壊すのは前提として、その壊した後はどうしましょうか?元の召喚システムの状態に戻すかそれとも召喚システム自体を無効にするようにするか……天空神、どうぞ」

「……要は倒すのは問題無いにしても、脆弱性が示されたシステムをそのまま使う事が、有か無しかと言う話で良いのだよな?なら答えは簡単だ。召喚システムを書き換えた方法論を聞き出して、それでシステムの脆弱性を是正する。こうするしか無いだろう。システムの完全破壊とかは論外としても」

「他の人の異論は有りますでしょうか?……なら私からはこれだけ。システムの破壊はシステムの恩恵を多大に受けている立場からすれば論外としても、……しない前提で言いますが、それで奪ったやり方で、召喚システムを皆様方に都合が良い様にも出来る訳ですが、皆様方はそれをするとは言いませんよね?そうした場合は今回の話の主犯の今回の待遇が貴方に降り掛かる物とお考えください」

「それはなんだ?つまり、ここに居る全員でシステムを奪った上で、此処に居る奴らに都合の良い物にするのは問題無いと言いたいのか?」

「そうは言っておりませんが、そうですね。奪って大義名分がある範囲でシステム調整を行う際に、どの様な調整を行うか?と言う事は重要です。そうするのも可能かもしれません」

「……そういうのは倒した後でやろうぜ。まだ今は捕らぬ狸の皮算用でしか無いからな」

「では実務的な話をしましょうか。管理者権限関連の力を再現出来ればどんなチートも知った事か……とは行かないのにしても、……今回の様な事も可能なのでは?」

「……いや、やけに詳しいな、水神の作成者様よ」

「仮にも国家の上層部には私は居ますからね。そう言う情報もそりゃあ入りますよ。って、おい、どこの国だ。該当区域に話し合いも終わってないのにビーム兵器ぶち込んだのは……」

「いや、案外良い手かも知れないぜ?それはシステム依存の能力では無いだろうし」

「……それなら尚更あーあ、ですよ。一般市民もまだ範囲内に居た結果地上には当たらない様にしてシステムを成立させているエネルギーを削ろうとしたらしいけど、一般市民の退避が終わった後なら該当区域全部を焼き払う様な兵器を投入しても、建物側を能力で直せば問題無しだったのに、これじゃ早く行かないと対策を完成させてしまうでしょうが」

「何か?つまりどこかの国が先走ったせいでその手段では時間制限が追加されたと?一回、殴らせろと言う話だな。とにもかくにも。しょうがない。一般市民の救助を巻きで済まそう。そして対策を構築される前に兵器を問題無くぶち込める状況を創るしか無いな。分身を大量に送り込むとしようか。……いや、俺の能力で空間上のシステムを成立させている原因のエネルギーを制御すれば或いは?」

「両方頼む。此方も分身は送るから」

「よし。分身を大量に送り込んで、被害者の一般市民全員を助けたら能力に依存しない通常兵器を大量にぶち込むと言う事で良いな?行くぞ」


 そして神格個体の大量な分身による物量作戦と言う、チート無しなら対応する立場に成るのは勘弁願いたい事が行われた。……これはアレだ。相手のリソース以上のリソースをぶつけてリソース不足、つまり、対処力不足を相手に膨大に起こさしてそれで押し切る。血も涙もないとしか言えなかった。戦う上での相手の設定したルール?そんなの知るかよ、だからな……。流石に相手には同情するよ。戦争に卑怯も汚いも無いなんて言うけれど、これは流石に品格的な意味でどうなのだろうか……。そして犯人を捕まえる事には成功したのだが、さて、どう尋問してやろうかね。と言う話題が普通にされていてアレ過ぎた……。まあ召喚システムを大義名分が有る状態である程度弄れる状況な訳だしな……。

 そして犯人の尋問の結果、ある程度の事が解った。まあ正直、正直に話されている保証も無いから、百パーセントそれが正しいと言う保証なんて何処にも無いし、むしろ偽の情報を此方に掴ませ、それを元にシステム干渉系を行使させ、システム作成者側にバグ修正的な意味での対処をさせようとして居ると言う説の方がまだ信用できる話だろうだが、それには最低限ある程度のレベルではシステム干渉の方法が正しい事でなければならない。たとえそれが欺瞞情報だとしても、前提としての相手の狙い的にシステム干渉を少し出来るぐらいの情報の正確性は有るはずだ。つまり相手の目的的には導入程度には正確な情報もある程度此方に渡さないと駄目だと言う事。他人任せとは言えこの状況を引っ繰り返すにはそれくらいは出て来ないとだろうし。その情報群を元に、取捨選択と調整を行い、その正解を導き出すしか無いのだが、其処で問題が発生した。犯人がやった方法では、巨大術式を使うのが前提と成り、でもそれらは此方が粗方壊し済みだ。だが、此処で巨大術式を再建しましょうとは出来なかった。何故ならその巨大術式はその犯人主導の物に成るからだ。故にそれを仮に作れたとして、そしたら犯人の犯行を此方が引き継いだ感じに成るし、作れたら作れたで、犯人に良い様に乗っ取られる可能性が高いのだ。……。巨大術式を使わない方法を用意するしか無いか……。巨大術式の目的は自分に都合の良いルールを空間上に適用させる為に必要なエネルギーを確保するための物。……だと思う。つまりは、法則改編とは大量なエネルギーで法則へ介入して常時、捻じ曲げている結果の物なのだろう。……この理屈では召喚システムを元の状態に戻すことは出来ても、それで此方に都合の良い改編をするのは、それこそ自分達で止めた相手の方法を結果論的には引き継ぎでもしない限りは無理である。それをすると今回の話で言う排斥される側に成るだけだろう。まあ、エネルギータンク的に所有エネルギー量がずば抜けている奴が居れば話は別かもしれないが……そいつのエネルギーをその法則改編に全振りするならそれは要するに人柱と同じだろう。むしろシステムの奴隷と言っても良い。この犯人はそうしたくないから巨大術式で周りから無許可でエネルギー収集をしていた様だが……はぁ……此方がそれをやる訳には行かないよなぁ……だが、公式に公表してやるなら出来る限り少ない人数でやらないと取り分が微々たる物に成ってしまうだろうし……手間を掛けた割にリターンが殆ど無くなるのはなぁ……。

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