B4 Bセクションの筆者

私の名前は滝下純である。タキジュンと呼ばれることもある。私は、もう1人の私であるWによって作られた仮想であるが、Wと私はほぼ同一であると言っても良い。Wの中身はそのままに、名前のみを滝下純としただけの話だからだ。

私は本来、十数歳程度の精神しか持たぬのだが、Wは私を大人だと仮定してくれた。プロの小説家であると、仮想家であると想像してくれたのだ。

私はWに今でも感謝しているし、あの日の仮想の広場の賑やかさを思い出せば、いつだって心が踊るものなのだ。

Wは、私の存在を使い、様々な世界を旅行した。

前話でもお話があったように、人生を抽象的に表現したトンネルや、人の怒りと無慈悲な社会構造を描いた道、勇者の大冒険に心奪われる航海がそれだ。


しかし、今のWといったら、この世界の圧力を"秋の訪れ"であると考えているのだ。愚かとも言えぬ、我らの時間は伸びきった蕎麦のようである。

しかしどうだろう、我らにはまだまだ現実の世界に寄与する力がのこっているよ。

Wが聞く音楽や、読む小説、見る映画、はたまた漫才師のお話の中にも私はいるのだ。

私は諦めないよ、W。想像の世界へ帰ってきなさい。私は待っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る