C3 森の冬

小人はどこへ隠れてしまったのだろう。

森には冬がやってきて、高ピクセルの純白が木々を包み込んでいる。生命らしい息遣いは見当たらないし、森を形成しうる座標の目盛りまでもが数値を失っている。


「ああ、終わってしまったのか」

私の幼き頃の世界は、非可逆的に閉じ込められてしまったのか。これは誰のセリフでもないのである。"誰"もこの森で息をする者はいないのである。


さて、わたしもそろそろ、ここから離れようか。

彼は想像の世界の圧力を"ただの秋の訪れ"だとおもっているのだ。しかしこれは、わたしの役不足であったか……。


想像の世界は終焉を迎えて。

純白な無が森を飲み込んだ。

さようなら、小人よ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る