B3 トンネル(道、航海)

トンネルは先細りで、それが山の土壌を掘り抜いたものなのか、地表より下位の地殻を掘り起こしたものなのかは誰も知らない。

トンネルには青年が一人。遥か向こうに糸一本ほどのか細い光が見えるだけのトンネル(またはトンネル状の構造物)を前進する。

青年は泣き叫び、笑い転げる。愛を語ることもあれば、他人の罵倒に努めることさえある。

先の光はなかなか遠くにあるものなので、彼はひどく安心している。しばらくはこのトンネルで暮らしていけるのだ。悩み事もない。



いきなりに声をかけられる。

美智子は身を硬らせ、つま先を地面に立てる。走り出した両の脚は見事に掬われ、右肘を地面に擦らせた。

男は不気味な笑みでもない、無…でもない、ただ純粋な顔で美智子を見つめる。

電灯は美智子を照らす気などさらさらないのだ。

ただひたすらに、いつまでも道だけを照らし続ける。



勇者は海原を駆ける。龍頭の小さな船。ヨット式の頑丈な帆。

大陸などこの世界にはないのだ!全て沈んでしまったのだ!

数々の孤島を旅し、邪悪な力を治める訓練を怠らない。

世界の全てを見終えた後に、勇者は悪を鎮め、その御霊をオーブへ閉じ込めた。


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