B2 水の溜まり

私の想う“水の溜まり”は、木漏れ日の光線が無限に水面を反射し、緑や赤の鮮やかな凹凸が交差する、ある種の楽園であり、またある種の墓場であった。

小人の住む大樹から水の溜まりまでは、その小さな足では私の世界の半年ほども移動に時間がかかってしまうかもしれない。小人の食事となる木の実は私の想像の片である。その歩みは、"想像"よりも遥かに遅いのである。

溜まりの大きさは小動物の心臓ほどでもあるし、太平洋ほどでもあるし、ワンルームのアパート一間ほどでもある。我々が観測し得ない次元が影響し、その大きさは自在変幻する。しかし、一般的には小人が眺める視界にすっぽりと収まるほどの大きさで存在することがほとんどだし、その脇に設置するポストの大きさはそれほど不安定ではない。ポストは、皆様が想像する街のポストの基準に沿った見た目、造りをそのままに設置していただければ良い。普通郵便であれ、大型郵便であれ、その長方形の穴にゴトンと贈り物を入れ込めば、定時的に訪れる回収員が贈り物を回収する。

森の荷物はそう多くはない。おそらく、今日から数えて小人が贈り物を抱えて水の溜まりにやってくる半年ほど後の頃までの荷物の数は限りになく0に近いのだろう。この森に、自由意志を持つ者は小人と回収員以外は存在し得ない。

その他の部分は、森の大きく、また不自由な意思が司っているのである。

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