第2話 起
僕の人生が劇的に変わった時は2回あった。
1度目が彼女に出会った時。
辛い魔法訓練に耐えかねた僕は7歳の時に家出をした。
その時に出会った女の子。
エレノア・クリアハート。
初めてできた僕の友。
彼女も魔法使いらしく、僕が彼女に魔法を教える形で仲良くなって行った。
当時の僕は7歳にしてはかなりの魔法の腕前だったから。
彼女に魔法を教えるたび喜び、褒めてくれた。
当時の僕はそれが嬉しくて。
気づけば彼女に教える為に自発的に魔法の訓練をしていた。
そうしてみると厳しさの中にも両親の愛を感じ、家族仲も良くなっていった。
僕は彼女に救われた。
些細なことかもしれないが、当時の僕にとってはとても大事な事だった。
今思えばこの時から彼女は僕の中で大きな存在になっていたのだろう。
2度目に人生が変わった日のことは今でも忘れもしない。
当時12歳だった僕は、両親と妹。そして大事なエレノアがいてとても充実した日々を過ごしていた。
両親に学び、それをエレノアと妹に教える。
時には喧嘩したりもしたが、漠然とこんな日々が続けばいいなと思っていた。
話は変わるが、魔法を使うには必ず杖が必要だ。
杖がなければ魔法を使うことは出来ない。
杖を持たなければただの非魔族と変わらない。
だから魔法使いは常に魔法を帯杖してることが多い。
しかしまだ未熟な魔法使いは、杖を持っているだけで魔法が暴発することがあるので魔法の練習の時が以外は杖をもたないようにしていた。
今でも忘れられないあの日。
妹を抑え、頭に銃口を向けた非魔族の男3人。
男達に脅され、杖を差し出す僕と両親。
男達に犯される厳しくも優しく、美しかった母親。
男達に犯される健気で可憐な、可愛い妹。
家族に謝りながら、僕を庇って銃弾に貫かれた父親。
あぁしかし、周りの家の非魔族は僕ら家族を助けもしない。
銃声もした。悲鳴もあげた。きっと気づいてるはずなのに。
彼らは僕らを気味悪がっていた。
魔法族というだけで見捨てるのか。
男達が一通り満足したあと母と妹は殺された。
僕は父の死体の横で銃弾に貫かれ朦朧とする意識の中それを眺めていた。
非魔族を必ず滅ぼすと流れる血に誓いを立てながら。
そうして非魔族を呪いながらどれだけの時間が流れただろう。
入学案内にきたソロモンの校長ミネルバ・アリアロッサに僕は命を救われた。
あぁ。僕だけが生き延びてしまった。
ごめんよ。必ず怨みは晴らしてみせる。
そしてエレノア。君だけは必ず僕が守って見せよう。
高貴な純血の魔法使いの僕が穢れた血を愛する訳がないんだからなっ! メリーさん @y300634
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