「記憶屋」 忠永社イエロー文庫

 おはきょむ! Q太郎もずいぶんでっかくなりました。かなりの巨大猫。ここで一句……。


 「春の季語 いまでは虎と なりにけり」


 いやQ太郎は白猫で虎模様じゃないんですけどね……健康ならそれでいいです。


 それでは架空ラノベ紹介していきます、きょうはこれです。


「記憶屋」著・あずみN イラスト・tepa 忠永社イエロー文庫


 ◇◇◇◇

 記憶屋 あらすじ

 中学の学園祭でダダ滑りをやらかした過去を抱える主人公、総一郎。ある日総一郎は街に観たことのない店が建っていることに気づく。どうやら悪い記憶を買い上げてもらえるようなのだが……?

 ◇◇◇◇


 あずみN先生の最新作、今回も人間劇場でした。ただしいままでのやつより笑って読めます。

 主人公は「中学の学園祭でギャグを言って滑った」という嫌な記憶をときおり思い出しては「おいは恥ずかしか! 腹を切りもんそ!」と頭の中の薩摩武士を召喚する程度に、「中学の学園祭でギャグを言って滑った」ことを忘れられない人です。

 その薩摩武士に「西郷吉之助」という名前をつけて面白がったりしているんですが、しかしそれはストレスが極まってしまったときに限って発動されてしまうので、かなり深刻な悩みです。

 そんな主人公は街に新しくできた「記憶屋」という店を見つけます。どうやら悪い記憶を買い取ってもらえるようだ……とその店に入ってみるのですが、そこに陳列されていた、その店が買い取った記憶のおぞましさに震え上がります。


 そりゃもう、強姦された、とか、母親が目の前で死んだ、とか、災害で家がなくなった、とか……ちょっと自分の「学園祭で滑った」くらいの記憶を買い取ってもらう必要はあるのか、と主人公は悩みます。

 でも中学の学園祭なんてだれも覚えていない、と本人は思うのですが、自分が恥ずかしかった記憶って忘れようがないじゃないですか。どうしようもないわけです。なら売るしかないのですが、果たして……? というお話です。


 これ、主人公が悩んでいることを、中学当時同じクラスだったヒロインがいまでも覚えていて、たまたま会った主人公に訊かれて「学園祭ってなんかあった?」と忘れたフリをしてくれるシーンが最高にいいんですよね。ともだち!


 最後の主人公の決断が痺れます。あずみN先生やはりよいものを書かれる。あとヒロインがバッチバチにかわいいのです。ちくしょう涙の叩き売りかよ!!!! と思うこと必須なのでみんなも読みましょう。tepa先生のイラストも素晴らしいのですよ。


 それではスクショタイムです!(ISBNとタイトル・著者名・レーベル名と表紙画像)


 ではではまた次回、きょむなら!

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