「ライトノベル作家ワイ氏、廃業の危機にあるらしい」 SA文庫

- 2023/3/28 -

 おはきょむ! 3月末、リアルきょむは年度末でクソ忙しくしてると思うんですけど、安心しろこれは収録だ。生配信企画もやりたいのですけどね……。


 今日も架空ラノベ紹介していきます! きょうはこれです!


「ライトノベル作家ワイ氏、廃業の危機にあるらしい」著・池波踏張朗 イラスト・鳩派野鷹 SA文庫


 ◇◇◇◇

 ライトノベル作家ワイ氏、廃業の危機にあるらしい あらすじ

 拾い上げでデビューしそれなりに売れていたはずのライトノベル作家、司馬龍次郎。ある日担当編集者にもう面倒を見れないと宣言され、廃業の危機に突入する。SA文庫大賞受賞作にして前代未聞のリアリティラノベ、ここに開幕!

 ◇◇◇◇


 いやこれ池波先生の実体験ですよね?!ってなりながら読んでおりました。池波先生、セイリューブックスとダダダ文庫から出ていた作品が見事にすべて打ち切られて、なんとSA文庫の新人賞に投稿して大賞をもぎ取り、こうして本になりました……という激レア人生を送っておられるようです。セイリューブックスからは複数刊行しておられたので、まさか別のレーベルに移るとは思ってませんでした。


 ただ実体験ではないんだろうなと思うのが、というか確実に実体験ではないのが、アダっぽい後輩の靖子ちゃんです。本作の主人公、龍次郎が脚本を書いている貧乏劇団の衣装担当の女の子で、とにかくギャグがキツくて生々しいのです。端的に言うと下ネタを連呼します。花も恥じらう19歳の専門学校生だというのに……。


 龍次郎は最初「打ち切られたらまた新しいの書けばいいや」と思って書いているのですが、どうやら完全に見切りをつけられたな、と気づくのが異様に遅いのです。そのうえ遅筆なのです。そのうえ劇団の人たちに脚本もせっつかれています。どうなる龍次郎?! というお話です。


 リアル編集者さんのツイートを見る限りでは、結末は投稿時とだいぶ変わっているそうです。それも見越して書いていたというのがすごい。池波先生の作品はいままで打ち切り続きで悲しくなってたんですけど、これはいい意味で単巻で終わってくれ頼む、と思う内容でした。


 クリエイター向けの投稿プラットフォーム、たとえばリアル世界のnoteみたいなやつで創作論開陳して有料記事にするか……と龍次郎が言ったとき、すかさず靖子ちゃんが「でもセンセーさあ、売れてない作家の創作論読むひといないと思いまーす」と突っ込んでくれるのは安心感があります。龍次郎、危なっかしいんですけどそれを靖子ちゃんがうまくコントロールしている感がすごいです。


 きっと池波先生は龍次郎以上に苦しんだんだろうな、と思います。現実に靖子ちゃんはいないわけですから。

 これからSA文庫で面白い本じゃんじゃか出してねと期待が膨らみます。面白かったです、オススメです!


 それではスクショタイムです!(ISBNと日本書籍コードと表紙画像)


 それではまた次回、きょむなら!

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