「世界を救うには犬(ケン)が必要です」 サンダル文庫

 おはきょむ! 七月が来てしまいました。どうすんだこの暑さ。エアコンを発明したひとに金一封渡したくなる暑さです。東京の夏は何年経ってもまるで慣れないです……。


 きょうも架空ラノベ紹介していきます、きょうはこれです!

「世界を救うには犬(ケン)が必要です」著・坂口やすき イラスト・主水 サンダル文庫


 ◇◇◇◇

 これから魔王討伐のために旅に出る勇者。王に謁見し、神々の御代から伝えられる伝説のケンを受け取ることになった。しかしそれは剣でなく犬で?!

 ◇◇◇◇


 坂口やすき先生のデビュー作です。電書でセールになってたので買ってみました。とてもシンプルながら味わい深いお話です。


 主人公のユータは子供のころ犬に追いかけ回されて怖い目に遭い、とにかく犬が苦手なのですが、王様が勇者であるユータに与えたのはぐうたらして働かない神犬コロでした。コロは人間の言葉を話すんですけど、そのあたりは読書会で仰っていた「犬と話せる異能」から来ているのかな、と思います。


 コロは魔王と戦う大きくて勇敢な犬……と思いきや、なんとポメラニアンです。歩幅が小さくてユータに追いつけないくだりとか、威勢よく吠えてみたら敵が思ったより大きくて二人して逃げるくだりとか、とにかくひたすら笑えるやつでした。いちいち文句言うのもかわいいです。「おいこら俺を置いて逃げるな! 俺は超小型犬だから歩幅が小さいんだ!」とか言いながら逃げます。笑えます。


 魔王は魔王で、世界のすべての公園から「犬のフンは持ち帰りましょう」の看板を撤去し、街の衛生状態を悪くしてやろうと画策するというわけのわからない侵略をしてきます。魔王は人間を滅ぼすためにはどんな手でも使おうとするヤベェ人です。いや人じゃないか。


 そんな魔王の手がかりを探すべく、コロの嗅覚とユータの推理でお話が展開していきます。一瞬ミステリかと思うような深い推理とかでてきてほえーってなりました。


 魔王との決戦も最高でした。ポメラニアンって実はすごく勇敢な犬種だそうで、魔王とコロの熱い戦いが読めます。そしてそのあとも最高なのです……。


 犬は人類の友達というのがコンセプトなんだろうな、と思うお話でした。犬、いいですよね。コロのおっさんみたいなキャラクター性も面白い。ユータとコロが互いに全くかみ合わない性格なのも物語の深みを感じます。


 坂口先生の本で最初に手に取った「わたしの犬はお座りができない」とはまた違うベクトルの犬ラノベでした。面白かったです! しかし坂口先生の書かれる犬、みんな癖が強いな……。


 いまは電書でしか手に入らないのでスクショタイムはありません! 検索してみてください!


 それではまた次回、きょむなら!(2022/7/12)

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