飲酒コラボ配信 ゲスト:ライトエッセイスト系VTuber・紙原カク
「おはきょむ! きょうは架空ライトエッセイスト系VTuber、紙原カクちゃんとコラボ配信をしたいと思います! さすがにこのご時勢なので飲酒はそれぞれでやる感じですね」
「え?! きょむちゃんほんとに飲酒するの?! しまった、冷蔵庫に缶チューハイ二本しか入ってない……ああっ、自己紹介が遅れました。架空ライトエッセイスト系VTuber、紙原カクです。よろしくお願いいたします!」
「えっとですね、カクちゃんは小説投稿サイトにのんびりしたエッセイを投稿しておられるのですけど、それが妙に面白いと一部の界隈で話題になってます。で、カクちゃんも個人勢のVの者ということで、安直にコラボ配信を企画してそれがそのまま通りました」
「いやーきょむちゃんは本当にすごい先輩なので……読書量半端じゃないんで……」
「カクちゃん、中の人本当に男性なんです……? 配信視聴したときから思ってましたけどめちゃめちゃかわいい声じゃないですか」
「そうですか? 自分いわゆるバ美肉おじさんなんですけど、小さいころ児童合唱団にいて、めっちゃボーイソプラノで歌ってたので……」
「あっそれでバーチャルの肉体がセーラー服に半ズボンなんですね」
「そうです。でも声変わりしてからはカラオケで少々アニソンを嗜む程度でして……」
「いいですねえカラオケ。では本題にいこうと思います。カクちゃんはなんでエッセイを書かれるようになったんですか?」
「あっはいそれはですね、単純に……子供のころ小説よりエッセイのほうが面白いな、みたいなことを思って、それで書き始めて。で、書いているうちに、エッセイだけのインプットじゃ語彙が追い付かないな、と思って真面目に小説を読み始めた感じです。架空ライトノベルはとっつきやすくて読みやすくて大好きです。なので自分のエッセイの文体もそんな感じです」
「なるほど~」
(ビールを缶からゴキュゴキュいく音)
「きょむちゃんもう飲んでる?!」
「地元に伝わる風習、乾杯の練習ですよ。じゃあ乾杯の本番いきましょうか」
「そんな風習あるんですか。とにかくかんぱーい」
「かんぱーい」
(二人してアルコールをゴキュゴキュいく音)
「最近読んで面白かった本はなんですか?」
「エッセイじゃなくてルポルタージュなんですけど、『伝説飯 ヤバいもの食べてみた』っていう本です。元某大学探検部のライターさんが書いたものなんですが、世界中の秘境で変なものを食べまくる本ですね」
「へえーっおもしろそうです……スクショタイム用の画像いただいてまーす。文庫なんですね」
(ISBNと日本書籍コードと表紙画像)
「そうです。文庫は手軽で好きですね。ライトノベルも文庫のが多くてそれも好きな理由です」
「なるほどょむ。架空エッセイは架空ラノベに比べると新興勢力って感じしますけど、面白い本いっぱい出てるみたいですね。オススメの作家さんはいますか?」
「そうですねー……自分の好きな作家だと有名な架空少女漫画家の、御園生朋子先生のエッセイがすっごい面白いですね。きょむちゃんの配信で紹介されてた『ドイツだ野球だラーメンだ!』のイラストとか、ほかにも有名な少女漫画をいっぱい書かれてるんですけど、漫画家の苦悩を明るいノリで語った『少女漫画地獄』っていうのがすごく面白いです」
「ええっ、御園生先生架空エッセイ書かれてるんです?! おどろきょむ!」
「あ、ご存知なかったでしたか。この作品を読んでいちばん笑ったところは、『エッセイはいい。ペンでカリカリとケント紙をつつかなくてもキーボードを叩いているだけで出来上がる。』のくだりでしょうか。少しだけ『ドイツだ野球だラーメンだ!』の話も出てきますよ」
「えええっ?! それは読まねば!」
「あはは……きょむちゃんから自分になにかオススメの本はありますか?」
「えーっと、そうですねー……『未来少年ヨシハル』を推したくもあり、しかし大井磯野先生の作品を推したくもあり……アンビバレントょむですね。でも国境先生の作品はどれもオススメですし、まだスコップ途中ですけど大井磯野先生の作品も面白いです。どっちも世代を狂わせる面白さです」
「世代を狂わせる作品ってありますよね……自分の場合、そういう『世代』単位で読書にのめりこんだわけじゃなくて、昭和の名脇役、高原ま礼子さんのエッセイからハマったんですよ」
「し、知らない……! 高原ま礼子……」
(きょむ、スマホでポチポチググってちょっと間)
「ああ、もう亡くなってる方なんですね。いろんな映画に出てらっしゃる。でも主役を張ったことはほとんどないみたいですね」
「そうなんです。高原ま礼子さん、戦前から脇役女優として活躍された方で、歳をとられてからは朝ドラヒロインのおばあさん役とかで出られていて。個性派、って感じの方だったみたいです。料理をしながらセリフを覚える話とか、とても興味深いんですよ」
「なんだかとっても難しそうですけど、ふだん架空ラノベというお粥みたいな読書をしてるきょむでも読めますかね?」
「すごく平たくて明るい文章なので、読めると思いますよ。ま礼子さん、若いころの写真だとほっぺたのホクロがチャーミングです」
「あーほんとだ……かわいいですね。着物きれいに着て。でもなんていうか、すっごい美人ってわけじゃないのがなんとも好ましい」
「でしょう? ときどき五分番組でま礼子さんのお料理を再現するのとかやってますよ。それがまあおいしそうで……」
「あー! それたぶん見たことあります! あのひとかあー!」
「……きょむちゃん、酔ってる?」
「そんなことありませんよ? うふふふ……では、もうちょっといろいろ聞いていきたいと思います。カクちゃんがエッセイを書いてみた具体的なきっかけは、やはりま礼子さんですか?」
「そうですね、ま礼子さんのエッセイは基本的に日常のことで、あんまり特別な日の出来事、っていうのはないんですね。女優をやりながら旦那さんや娘さんと暮らす様子、料理の出来、飼っている猫ちゃんの話、そういうことをぽつぽつと語られていて。それがすごくすごく面白いんですよ。日常がこんなに面白く書けるんだ、というところにビックリして、自分も日常を残していこうとコツコツ書いてます」
「ほえー……そんな身近なことでも面白いお話ってできるんですね。きょむ、架空ラノベの民なので、もっとこう……すっごい劇的な出来事でないと物語にならないと思ってました」
「そんなことないんですよ。面白いテレビのなにが面白いのか、とか、好きな漫画の新刊がさっぱり出なくてギギギってるとか、そういう話で問題ないんですよ」
「なるほどょむ……些細なところからお話って見つかるんですね……あ、ちょっとお燗つけてきます」
「日本酒?! きょむちゃんガチの酒豪だったんだ?!」
「おいしーですよ日本酒。実家から送られてきた高清水です」
「はわわ……自分あんまりアルコールに詳しくないし味もよく分かんないんでチューハイとカクテルばっかし飲んでるんですよね……」
「チューハイとかカクテルとか、甘くておいしいけどえげつないアルコール度数で気が付いたら病院、ってことがあるので気を付けて飲んでね、カクちゃん……」
「まるで実体験みたいな話しぶりだねきょむちゃん?!」
「いやこれは自分がやったわけじゃなくて成人式のあとの同窓会でそういうことになった輩がいて。まだ二十歳になってすぐだったからアルコールの摂取の方法が分からんかったんでしょうね。きょむは二十歳の誕生日から日本酒に夢中だったので……よしあったまった」
(熱燗をきゅーっと飲む音)
「でもおいしそうだなあ、日本酒……自分も飲みやすそうなのから探してみようかな」
「おいしいの見つけたら『#日本酒おいしいねきょむちゃん』でツイートしてくださいね」
「ハッシュタグまであるんだ?!」
「そうですよー。カクちゃんのファンアートのタグは『#カク描く』でしたっけ」
「そうです。ファンアートいただくと泣いて喜んでます。きょむちゃんは『#虚無絵』で、きょむちゃんの紹介した本の購入とか読了の報告は『#幻覚見たよきょむちゃん』でしたよね」
「そうです。ファンアートいただくとずっとニヤニヤして見ちゃいますし幻覚見たよのほうもうれしいです。あっそろそろお時間ですね。カクちゃんのエッセイは『小説家になるぜ』で連載されています! 面白いのでぜひ読んでみてください! きょむなら!」
「よろしくです。きょむなら~」
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