架空ラノベバーチャル読書会 ゲスト:みゆき兜太

「おはきょむ! 今回は『怪獣家族東京崩壊』のみゆき兜太先生と、架空ラノベバーチャル読書会を配信しようと思います! みゆき先生、そちらは大丈夫でしょうか?」


「はい大丈夫でーす。きょむちゃん今回はよろしくです」


「それではバーチャル読書会、始めていきたいとおもいます! まずは執筆環境のお写真からいこうと思いまーす」


(怪獣のフィギュアだらけの部屋にぽつんとノートパソコンが置かれている写真)


「こだわりの怪獣フィギュアって感じですね」


「あっこれフィギュアとして市販されてるやつじゃなくて、いわゆるガレージキットってやつです。従兄がこういうの大好きで集めて作ってて、置き場がないからとおしつけてきました。怪獣自体は僕も好きなんですけど、さすがにここまではハマれないです」


「そうなんですか。それでこれは……イグアナちゃんですか?」


(可愛い首輪をつけたイグアナの写真)


「はい、うちで飼ってるキャロラインちゃんです。かわいいでしょ?」


「爬虫類、いいですよね……自分で飼う勇気はないですけど、人様が飼っているのを見るのはきょむも好きです」


(イグアナのキャロラインちゃんが野菜を食べている写真)


「こんな顔してるのに野菜食べるんですよ」


「かわいいですね、ギャップ萌えです。それではまずは……去年の『このステ』、『この架空ラノベがステキ2021』で一位をとった感想をお聞かせください」


「はい。えっと、正直なところを言うと、『怪獣家族東京崩壊』は、なかば打ち切りが決定してたようなものでして、『このステ』が出たころは次回作の構想を練っていました」


「えぇ?! おどろきょむ! このステ一位ってことは相当数読者に届いてるってことじゃないですか! なぜに打ち切り予定だったんです?」


「全く売れないわけじゃなかったんですが、こういういわゆるキャラ萌えじゃない作品はこの先厳しいんじゃないかと判断されていたのと、自衛隊や政治家周りの描写の関係でカッターナイフの刃が入ったアンチレターとか新聞の字を拾った怪文書がけっこう届いて、僕宛てでファンレターが届くたびに編集部がざわついていたのが主な理由です」


「うわっ……それは編集者さんの心労がすごい……!」


「でもまあアンチが湧くのは良作の証拠って言いますし。僕自身は次に面白いものが書けたらそれでいいやーって思ってました。個人的に満足しちゃってたのもあります」


「そこにこのステ一位が転がり込んできたわけですね」


「そうです。協力者票がすごかったおかげなので、またアンチの人たちが不正投票だって騒いだみたいなんですけど、それを気にしない層からは見たことのない新作が現れた! と思っていただけたみたいです。まだ編集部にアンチレターは絶え間なく届いてるんですが」


「うう、せちがらょむ……では、架空ラノベ作家になった理由をお聞かせください」


「従兄の話をしましたけど、僕の家族、特に母方の家系がすっごいオタクの血なんですよね。なので中学生くらいのころは漫画とかも描いてたんですけど、どうも絵のセンスがないらしいことに気付きまして。それでストーリーに専念できる架空ラノベ作家を目指した次第です。具体的に目指すきっかけになったのは、中学の友達とコピー本で出した『モンゴリアン義経チョップ』の二次創作合同誌に載せた作品を友達にめちゃめちゃ褒められたことで、僕文才ある? ならオリジナルは? と調子こいて個人サイトを作ったことです」


「えっちょっと待ってください、『モンゴリアン義経チョップ』が中学生時代ってことはほぼきょむと同世代じゃないですか!」


「ええっ?! きょむちゃん……モニョモニョ歳?!」


「き、禁則事項ょむ! 禁則事項ょむですので!」


「うおっ予想外のところでお約束のやつを聞けた」


「うぉほん、それでは質問のコーナーいきます。まずは、『怪獣たちに名前はあるのでしょうか?』という質問です。作中では大中小としか呼ばれてませんよね」


「いちおう、パパラ・ママラ・キッズラという名前を考えたんですけど、結局使いませんでしたね。キッズラはさすがに語呂が悪すぎて」


「なるほどょむ……それでは次の質問です。『ツイッターにたびたびUPしているおいしそうなハンバーグはどこのレストランのハンバーグですか?』これはきょむも気になります。付け合わせのにんじんグラッセがハチャメチャにおいしそうですよね」


「あーこれは近所の『ヴィヴァルディ』っていう洋食屋さんのものです。隙あらば食べに行くスタイルです。コロナ禍のなかでも頑張ってるしなによりここのハンバーグ絶品なんで廃業したら嫌だなと常々思ってまして、なるべくお金を落とそうと思ってます」


「ほへー……いいですよね洋食屋さん……」


「ここのハンバーグはすごーくよくこねてあって、あらびきという言葉でごまかした粗雑なハンバーグとはわけが違うんですよ。きめ細やかでふわふわです」


「そうなんですか。これからもおいしいハンバーグ画像期待してます。それでは次の質問にいきます。『みゆき兜太というペンネームの由来を教えてください』という質問です」


「あっこれは単純に僕をオタクとして教育した叔母がみゆきという名前で、兜太のほうは五月五日生まれでして五月人形のイメージですね」


「なるほど~。それでは最後の質問ですが、『みゆき先生の文章からそこはかとなく国境先生イズムを感じるのですが、なにか縁があるのでしょうか?』とあります。……これについてはすでになかば答えが出ていますが、いちおう答えていただければと」


「国境光秀先生は心の中のレジェンドなので……国境先生がいたからいまの僕がいるんで……国境先生の架空ラノベがあったから僕は架空ラノベ作家を目指したので……」


「わかりきょむ……きょむも中学のころ『モンゴリアン義経チョップ』を読んだから架空ラノベ系VTuberやってるんで……」


(しみじみとした無言)


「生配信で黙っちゃだめだよ虚無ちゃん」


「そうでしたこれ生配信でした……」


「国境光秀先生、本当に面白いものを書かれるんですよね。虚無ちゃんと生配信したの観てたんですけど、そのときやっぱり目指す地点はここだなあと思いましたね」


「おお、ご視聴いただいてたんですか。ありがとうございます。それではそろそろ朗読のコーナーにいきたいと思います。『怪獣家族東京崩壊』342ページから、三匹の怪獣が地上を浄化するシーンを、みゆき先生が井堂大介、きょむがその助手の有田みらいを読みます」


「よし、いきましょうか」


 ◇◇◇◇

「これは――この怪獣たちは、地上を焼き払うことで、浄化しているのか?」

「しかし博士、このままでは日本は焦土です! のんきに浄化とか言ってる場合じゃないですよ!」

「しかしこれは神罰なのだよ有田くん。日本は滅ぶべくして滅ぶ。人類の傲慢が、この三匹を呼び寄せたのだ――神罰なのだよ」

「博士、自分のセリフに酔うのはほどほどにしてください! 逃げないとわたしたちがこんがりきつね色にされてしまいます!」

「そうだった。早く逃げなきゃ」

 ◇◇◇◇


「ううーむ、この井堂大介というキャラクターは自分に酔いがちなのですねえ。トンチキだ」


「自分で書いておいてなにを仰るんですかみゆき先生……。それでは今後の予定など、聴かせていただければ幸いです」


「『怪獣家族東京崩壊』の続編の構想が固まってきて、あとは編集者さんとケンカするだけのところまできています。すでにラストシーンまで考えたんですが、しかし本になるかはわかりません!」


「うわっ逆にすがすがしい! あれだけ焦土にされた日本がどうなるか気になります。日本沈没に近いものを感じますよね、2016年のヒット映画もですが」


「そうです、リアル作家の小松左京、大好きなんですよ。冷静な知識で裏打ちされてて。どういうふうに仕上がるかは分かりませんが、頑張ってケンカしようと思います」


「そうですか……ありがとうございました。もうお時間ですね、それではみゆき兜太先生、きょうはありがきょむでした。また次回! きょむなら!」


「きょむなら~」

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