第8話 未知の幻影
「やっと、良い感じになってきたかな」
自分以外は全て敵、という
敵騎士の《
シズクに攻撃しようにも仲間の《竜骸》が邪魔になる。かと言って、回り込もうとすれば、その隙が致命傷となる。
包囲して動きを封じ込めようにも、まるで影から影へと渡り歩く亡霊のごとく、次から次へと盾となる味方を取りかえて実体をつかませない。
シズクと相対する騎士たちは、まるで悪い夢の中にいるような悪寒に包まれていた。
『
シズクが
「いや、たった一機をフクロにしようって時点で正々堂々も無いだろ」
また一騎の《
シズクは
雫PGはその情報を
そうして割り出された行動曲線をもとに
3度に
本来は
時には
そして、仕留めるべきタイミングで確実に
ロシーニアがその
「っと、下じゃなくて上に行けってば」
3騎の《
次の
ようやく悪夢のような
シズクは逃げるその背中に向けて、
あっという間に
仲間が
自分たちも同じように上から
結果として、せっかく
戦意を喪失しつつあるのか、その動きは鈍い。
せっかくなので、シズクはその3騎を失った
少し
残りの2騎がシズクに
さて、と一息ついたところでシズクは直上からこれまでの敵とは動きのまるで
「いよいよ、
かなりの
あまり時間をかけたくはない。
シズクは新たな2騎を
†
「すべて見えているというのにっ」
エマニアは最も理にかなった機動が他ならぬシズクに利する
ロシーニアの
いかにシズクが
にも関わらず、後から参戦したエマニアもアマーニアも有効な
味方が奮闘すればするほど、状況は悪くなる一方だった。
仲間の
彼女たちにも共有された
問題はそのベターな行動こそが
(あの異世界人はどこまで見えているというの……?)
それぞれの
その動きによって
一見して何も無い場所への
それらを全て把握して、戦いを進めているようにさえ思えた。
動けば動くほど、逆に出来ることが制限されていく。
まるで自分が
『エマニア! 乱戦ではこっちが不利だ! 動けば動くほど、不利になる! 1度、
「わかった!」
アマーニエも同じ事を感じ取っていたのだろう。
2人の参戦により体制を整え直した味方が増えれば増えるほど、皮肉なことにシズクの
今やロシーニアの指示さえもシズクの手の内にあった。
1度高高度へ
これをアマーニアと
だが、そう考えることさえもシズクの手の内だったのか。
アマーニエが乱戦から
真っ青な異形の《
異世界の《
キチキチキチキチキチキチという
『ば、化物が!
必死の形相のアマーニエが
アマーニエが
共有された情報により、アマーニエが自身の死角となっている頭上を
視界の隅に映し出されていたアマーニエの《
そのまま
かろうじて地面に
そして、そんなエマニアの
「いない!?」
気を取り直して周囲を
周囲の仲間も見失ったのか、共有されている視覚のどこにも青い《
だが、確実に近くに存在する。
その
キチキチキチキチキチキチという、不気味な音が。
ふと、アピスの変異種と戦いただ1人生き残った、カミラという
(
その音とはきっと、この音に似ているに
キチキチキチキチキチキチという
†
こんな
ロシーニアはただ1人、安全な場所から味方の
3個小隊15騎の編隊でもって、シズクを左右からゆっくりと
それが当初の作戦だった。
当然ながら、シズクは左右のどちらかの編隊を
だが、何しろ15騎が相手だ。
その時点で決着がつくか、そうでなくとも手間取っているうちに残った編隊に
セレスティーナのお気に入りがいかに武勇に
そう信じていた。
しかし、そのあるべき未来図はどこにも存在しなかった。
支配下の《
支配下の
この
伝説にある、百目百
だが、その
十数騎の
単純な
あらゆる
自分が自分でなくなっていくかのような感覚に歯を
それこそがこの
だが、その
何をもって恐怖を克服すべきか、それがわからない。
〝キチキチキチキチキチキチ〟という
「お姉様……
もはや決着をつける時だと考えたのだろう。
悪夢のような青い異形の《
見えない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます