第9話 決着
まるで青い夢の中にいるようだった。
全ての動きが静止する。
ただ1騎の異世界人の《
そして、自分自身の動きも。
理由は考えるまでも無い。
異世界人の
シズクとロシーニアの
高く
ようやく
キチキチキチキチキチキチという
思い出したように
ただ、終わることだけを
それに気がついたロシーニアは、ようやく最後の
決着の条件は、
ロシーニアが
完敗だった。
「……満足ですか?」
きっと、応じる声は
だが、異世界人の声はロシーニアの想像とは
「まさか」
「まだ、物足りないと? ならば、私を
もっとも戦いにはならないだろうが。
「いや、そういう意味じゃ無くて」
言っている意味がわからない。この異世界人は何を言わんとしているのだろうか。
「では、何がご不満なのですか?」
「
シズクの言葉にロシーニアは思わず耳を疑った。
クリモアの幼樹の村を
不意を打たれ、多くの
領主である父も母もことを重く見たからこそ、今も
だが、アピスはアピスだ。
この青い《
それだけに
「ご
「だから、そうじゃないって。今の
「何を馬鹿な」
勝てないというのはともかく、
そんなロシーニアに
「馬鹿な、じゃない。セレスと
もう一度、馬鹿なと笑い飛ばそうとしたが無理だった。
「とにかく、ちゃんとセレスと――姉さんの話を聞いてやってくれよ。君がここの
その声には勝利の喜びも
「異世界人、というのはみな、
「え? さ、さあ。どうかな」
なるほど。こういう部分は自分たちとあまり変わらないらしい。
ロシーニアは少しだけ
終わってみれば、わずか一刻にも満たない戦いだった。
†
「終わったようですね」
「はい、母上」
「セレス、
信じられない戦いだった。
30騎以上の
しかも、ただの30騎ではない。
その
そんな30騎がたった1騎を相手に一方的に
だが、今となってはセレスティーナは最初からこうなると知っていたのだろう。そうでなければ、
ロシーニアの申し出を受けた時点で、このことは予想してしかるべきだった。
「負けるとは思いませんでした」
はたして、セレスティーナの答えは簡潔だった。
「それよりも、母上」
「ええ。セレス、
異世界人が信用するに
それをイリスはシズクがどう
もしも
もちろん、シズク1人の
その意味ではシズクの
ただ1人になっても、
それよりも、問題なのはクリモアの
セレスティーナに
しかし、それがまるで
「今のクリモアが悪いとは思いません。ローシャの率いた
「
「
イリスの問いに直接答えること無く、セレスティーナは空に目を向けた。
シズク1人でロシーニア率いる30騎が事実上、
そのシズクが
「クリモアは変わる必要がありますね」
「はい」
今まではあえて、中央である聖樹
それは再辺境に位置するクリモアの自立性を保つためでもあったし、同時に位階があがれば上がるほど
しかし、今後はそうも言っていられないだろう。
セレスティーナがクリモアを
それにしても、とイリスはあらためて
よもや、副官とは言えあれほど異性と親しくなり
「ところで、セレス」
「なんでしょうか、母上」
「後ほど、ゆっくりとあの異世界人の
「シズクのことをですか? 構いませんが、聞かせるほどの話があるわけでは」
イリスの言葉の意図を理解出来ないのか、少しキョトンとした
これは少しばかり背中を
率直に言って、ロシーニアの方がよっぽどマシだ。ロシーニアよりも年上なのにこれとは我が娘ながら、少し不安になってくる。
とはいえ、時間の問題ろうとも思うが。
いずれにせよ、クリモアも
セレスティーナだけではない。ロシーニアも今までと同じではいられないに違いない。
たった1人の
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