エピローグ RTB
エピローグ RTB
出立の朝がやってきた。
すでに避難所から村への移動は始まっており、もはや森の避難所に残っているのは騎士であるカミラと2人の見習い騎士、そして村長と2人の少女だけだった。
「それでは後を頼むぞ、カミラ。
「お任せ下さい。お嬢様」
カミラが力強くうなずき、傍らの2人も勇ましげに同意してみせる。
帰還に
シズクとセレスティーナの《
「お嬢様の《
「ああ。それも頼んだ」
傷だらけの《
地球仕様の《
すでにシズクも《
再合体は残念ながら、工場でしか行えない。
「キーヴァ、エイリン」
もう見習いとは言いがたい2人を見下ろしながら、さらにセレスティーナが続ける。
「お前
「承知しております。戦士殿が残してくれた武装もまだ残っております。
「大丈夫なのです!」
2人の声を少し離れたところで聞きながら、シズクはもう大丈夫だろうという確信を感じていた。
その後、村長と話を始めたセレスティーナを意識の外に追い出して、シズクはシズクで2人の小さな見送りに改めて顔を向けた。
「ほら、ニム」
そうやって傍らの樹下の民の少女をせっついたのは、もちろんラルキンだ。
「あの……ありがとう、ございました」
絞り出すような声でニムがシズクに礼を述べる。
「うん」
「それから……これを……」
小さな手がシズクの《
言うまでも無く、ニムを助けた騎士の
きっと、彼女は戦いの後でそれを必死にかき集めたに違いなかった。
その1つがシズクの《
「ちょっと、ニム。それ……」
「うん」
見ようによっては不吉な贈り物にラルキンの顔色が青ざめた。
だが、ニムはそんなことはまったく気にしないまま、強い意志を込めた瞳でシズクを見上げている。
「あの騎士様の
ニムはシズクがあの騎士と記憶を同調させたことは知らないはずだが、幼い心特有の直感で亡くなった騎士とシズクに
「ありがとう。大事にするよ」
イヤミでも謙遜でもなく、シズクは少女に告げた。
「それから、その……忘れないでください。みんなこと……」
みんなという言葉の意味にシズクは静かにうなずく。
ニムの別れの挨拶はそれだけだった。つづけてラルキンがペコペコと感謝を告げて、パタパタと村長の元へと走っていく。
村長とセレスティーナの話も終わったのだろう。
《
『シズク。そちらはすんだか?』
「ああ。終わった」
『そうか……なら、私たちも行くとしようか』
ふわりと斥力場の青い光を
シズクもその後を追うように浮上を開始。
眼下で2人を見送る少女の姿が小さくなり、森に紛れてしまったところで同じく大加速を開始。雲のを上に出る。
そこは最初の戦いでみたのと同じ、白と青の世界だった。
視界の先には巨大なトゥーンの大地の一部が、まるで空を割る巨大な塔のように
『このまま飛んで、夜の前に野営だ。遅れるなよ』
「了解」
背後の幼樹とは言えシズクの感覚では十分に巨大な世界樹が小さくなる。
シズクは大きく息を吐いた。
ミッションコンプリート。RTB。
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