名前はマリア、十九歳。家族とはぐれた迷子の王女。
霧が晴れた丘の上に立ち尽くしていた少女は、自分についてただそれだけを認識し、歩きはじめます。
街に降り目にしたのは、虐待を受けてボロボロになった奴隷の悪魔。その行為をやめさせるため、彼女は悪魔を買い取るのですが――。
わずか4万字ほどの作品で、完結していますのですぐに一気読みできます。(表示文字数は8万ですが、最終話が一気読み用の全文掲載なので、本編は4万字ほどですね。)
フランスの街並みのような、でもやはり御伽噺のような、ふわっとした世界。賢者様の話によれば、元の世界へ戻るためには三つの品物を集めなくてはいけないらしい。マリアは悪魔と一緒に、それを探すことになります。
少しずつ信頼を深めていくお姫様と悪魔。それとともに垣間見える、マリアの『元の世界の記憶』と。
最後まで綺麗にまとまった、素敵な物語でした。
歴史ファンタジー、恋愛ファンタジーが好きな方にもお勧めです。