(読むと世界観が壊れる)あとがき
話を書いて思ったことと、下に登場人物の初期設定みたいなものと、その後をちょこっと書いてます。
あらすじ
【マリアは気がついたら異世界にいた。元の世界に戻りたいなら『トカゲネコの尻尾』、『人魚の歌声』、『月のしずく』を集めろと賢者が言う。
いざ冒険だ、と街に出たところで、虐待される悪魔の奴隷がいた。満身創痍の悪魔をマリアは買い取ることにする。どうして、自分はこんな倫理に反したことをしているのかしら、と自問しながら。
出会うはずのなかった二人。お姫様と奴隷。
なにもかもを失った少女と、なにも与えられないまま大人になった悪魔の話。
思いついた物語を吐き出しとこうと三日間で書き上げたら、構図が「魔王のお城」と一緒になった。あれ、あれあれ?
でもまあ、年数分進歩してるはず。はず。
区切り方が分からなかったので、めちゃくちゃ細かく区切った長編と全部一気にあげた短編、両方同じ内容ですので、お好きな方でどうぞ。】
この作品は、コンプレックスを抱えた悪魔とただ単にファンタジーがしたいという夢を掛け合わせた結果、こんな変なものになりました。
私の知っているファンタジーって、もっとこう、冒険! 探検! 仲間! ワクワクが止まらないぜ!で大体ポケモンって感じに名づけられてる楽しそうなやつなんですけど、…あれ?
あらすじ書いた時は特になにも感じていなかったんだけども。
とても不健康な話で、書いていて気持ち悪くなったので、もうこの手の話は書けないと思います。読んでる方にも目眩を感じさせていないか心配です。伝わってないかもしんないけど。
マリア目線が多くて、精神的に上にいる人の気持ちなんて分かんないし、普通に相手をその辺の紳士とか少年とかにしていればよかったなってちょっと思いました。
主人公のマリアは、五年くらい前に見たアニメ映画、「アナスタシア」に影響を受けて出てきました。あの亡霊ばかり登場する話、ものすごく苦手なんですよね。
主人公も犬も、ラスプーチンでさえ、死人しか出てこないんだもの。
物語開始時点ではもう死んでる主人公が「Life is full of choices」とか歌うんだぜ。一緒に殺された犬連れて。人生の選択肢なんてないよ、死んでるんだから。
歌は全部大好き。
そういえば、主人公の相手役は、きっとイバチェフ館で働いていて銃殺を免れた料理人の少年がモデルですよね。
あの話ディテールがすごくしっかりしていて、冒頭におばあちゃんに渡す絵が本物が日記に書いたものだったり、幻想の中のアレクセイが少し足を引きずるようにしているんです。犬が一匹しかいないのにも、意味があるんだと思います。
助けられなかった後悔だとか、若い命が失われたことに対する罪悪感だとか、現実では生きられなかった人生を、せめて物語の中で送らせてやろうって感じの、素敵で、すごく気持ち悪い話です。
アニメ映画の方の主人公は物語以降、アメリカに居住権を獲得しそうな感じのたくましい主人公です。面白いから、ぜひ見てみてください。アマゾンで結構安く見れます。
物語の方は、恋愛ものはあんまり好きじゃない、というか経験値がないから書けないし、安っぽくなるから嫌いなんだけど、主人公とヒーローの生い立ちがあまりにも酷いので、せめて主人公の夢だったものだけでも物語の世界で達成できればな、と結局この結末になりました。同じ穴の貉ってやつです。
本編であまり出していないのに、悲惨な歴史を調べて死体とか見まくって疲れました。物語の中で、何も問題は解決していないんですけど、まあ、この二人が一緒にいるなら、なんとなく大丈夫だろうと思わせる結末に持っていけていたらいいなと思います。
解釈するほど読んでくれる方がいるかは分からないんですが、三重に解釈できるようにしてみました。どちらでもお好きな方を選んでほしいな、と思います。
以下、話を書く前に、最初に考えていた登場人物の設定です。
主人公:マリア
優しく、人懐こく、モテる。陽気。PTSD。誰かと仲良くなるのを諦めようとしない人。人との対話を試み続ける人。
ヒーロー: 悪魔。奴隷。エス。
散々な人生を送ってきたのに、あんまり人を恨んでいない人。黒いツノが生えてる。悪魔が真の力を解放すると、その背中に翼が生える。
「元の世界に貴女が戻るための、手伝いをさせてください」
なにも持っていない空っぽな人。しかも年齢ゆえに下り坂。なんの可能性もないひと。
ヤコフ・ユロフスキー:なぜかこの世界にやってきてしまった哀れな人。元の世界では、王族を殺した罪悪感と、周囲の人に顰蹙を買ったことに怯えていた。
« 異世界が本物だったと仮定して : 作者が考える登場人物のその後 »
マリア : 多分、なんだかんだ幸せに生きて、なんだかんだ幸せに死ぬ。
エス : 自分の中の欠落を自覚しているため、マリアに執着する。それが度をすぎたものだと自覚していても、自分から離れることができない煉獄のような生き方。マリアが六十二、三でぽっくり逝くと、世界の重さに耐えきれなくなり、そのすぐ後に自殺。ちなみにマリアの方が長生きしたら、彼女は泣くけど別に後追いしない。愛されて育った者の強み…!★
分かんない。もっと幸せに生きれるかもしれない。幸せになって。
« 書きながら思いついたその他のパターン »
・「衣装ダンスを抜けた先」
突然始まった銃撃に、マリアはとっさに背面にある物置小屋へ繋がる扉に向かった。
「な、施錠したはずでは!?」
鍵の閉め方が甘かったのか、扉は開いていた。マリアは開いた隙間に身を滑り込ませる。立ち込める硝煙を向こうに封じ込めるように、扉を閉める。
マリアははっと気がついた。
物置だった場所は、いつの間にか森の中へと変貌していたからだ。辺り一面、雪景色だ。そもそもマリアのいた場所は地下だったのだから、地上へつながっていることがおかしい。
混乱していると、針葉樹の影から、上半身が人間、下半身が馬の異様な風体の男が体を覗かせた。ケンタウルスだ。マリアは腰を抜かした。
「お、お嬢さん。氷の女王からこの国を救ってくれえ」
こうして、彼女の、悪しき氷の女王から、獅子の国を取り戻すための冒険が始まった!
・「マッチポンプ式恩返し」
家族写真を撮ると、家族全員地下室に集められた。ヤコフがそこにやってきて、「ニコライ二世の処刑が決まった」と、宣告する。裁判にかけられずの死刑宣告に、当然、ニコライ二世は動揺した。
「何だって? 何だって?」
兵士たちが一斉に銃撃を開始しようとしたその時。
黒い装束に身を包んだ、異様な風体の男たちがその場になだれ込んできた。
「いけいけ、いっけえ!」
彼らは、頑強でガタイのいい北の国の兵士たちに当身を食らわせて、次々気絶させていく。狭い地下室は処刑場から一転、乱闘場に様変わりをした。
たち上がった室内の埃が収まった時、その場に立っていたのは、黒い装束の男たちだ。
彼らは、一斉に頭巾をとると、
「大津の借りを返しにきたぜえ」
と笑みを浮かべて見せた。
「き、黄色い猿たち」
ニコライ二世の瞳に浮かぶのは安堵の涙だった。
「ニンジャだ!」
アレクセイが歓声をあげる。場は一気に和やかな空気に—————
ならないし、ニンジャはいないし、誰も助からなかった。
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